理系のための料理入門2019年09月18日 19:49

料理学校でも、料理本でも理系の方はなぜこんなレシピになるのか、ここは徒弟制度がのこっているのかと思うだろう。
何しろ、根拠もなく、料理の手順や食材の量が一方的に書かれ、それに従うしかないのである。
即ち、何の理論も理屈もなく、経験だけがものをいう世界なのだ。
理系の人間にはそれがたまらなく嫌だ。
そこで納得できる料理論を展開したい。

(1)料理の目的はなんだ。
これは食材を人間が摂取できるように加工する段取りだと定義したい。勿論美味しいに越したことはないが、その前に、摂取できることが第一前提だ。この前提と味や食感、見た目の問題が混同されて訳の分からないレシピになってしまっているのが理系人間が料理が嫌になる主要因であろう。
従って、まず、摂取できるとは何かから始めたい。
(2)食材の種類
摂取できるためには当たり前だが口に入る必要がある。また、のどに引っかかって息ができなくなると命にもかかわる。
食材は物質でできているので、その材質は、気体、液体、固体のどれかになるであろう。まあ、このうち気体、液体は口に入れても量を考慮すれば問題ないだろう。(ここで、有害な食品といえないような物質は対象外とする。但し、アルコール類は例外とする。)問題は固体である。固体食材には植物性、動物性と無機物、有機物がある。無機物、有機物の代表は、塩、金属、炭、生物の化石、鰹節などあるが、これらは細かく砕けば何とかなるし、一般には食材の1%にもならないであろう。大半は野菜類、穀物、肉、魚介類、山草、海草である。これらは、すべて細胞でできている。細胞は生きているときは水を含むので一部液体ともいえるが、ここでは固体に分類する。これらの細胞物質は、乾燥したら水分が大きく減少する。それらは鰹節のように硬い有機物に近くなるので、削って薄くするか、水を加えて柔らかくしないと胃腸が受けつけない。従って、コメのような硬く乾燥した穀類、穀類を固めた蕎麦のような食材はすべて、水に浸し、細胞膜内に水が浸透しやすくなるようゆでる必要がある。
次に材質ではなく、その大きさである。口にいれたり、ゆでやすくするにはあまり大きな塊は不適である。従って適当なサイズに切る必要がある。特に茹でたり焼いたりする時間を短くするにはできるだけ小さいほうがいいが歯があるので、食いちぎる動物的食感も必要なのでほどほどのサイズにしたい。粉のようなものは食べにくく、年寄りには誤嚥性肺炎の危険もあるので水でペースト状にしてから食べなければならない。また、細胞質のものを最も摂取しやすくする形態はスープである。この前、かぼちゃスープを作ってみたが、細断、煮炊き、ミキサーで1時間以上かかってしまったのは固体から液体にする材質変更という理系で最も手間のかかる工程であったからである。
以上、まとめると、適当なサイズと硬さにすることが理系料理の基本ということになる。
(理系でなくても同じだが粉ものと同様、理屈をこねています。)
(3)煮たり、焼いたり、茹でたりする根拠は何か。
適当な大きさと硬さになれば、あるいは液体、気体ならそのままでもすべて食べることはできる。しかし、通常、更に煮たり焼いたり茹でたりする。日本人なら刺身で魚介類だけでなく、馬やクジラも生で食べる。
(ここで脱線して、昔ラスベガスで、西洋人にクジラを食べる野蛮人と非難されたことがある。しかし、それを勧めたのは実は日本を占領していたマッカーサー米軍である。当時、タンパク質入りの学校給食を占領軍は教育委員会に指示していたが、当時の安いタンパク質源はクジラ肉しかなかったのである。(今では逆に希少だが)これを米軍は認めて、クジラ肉食の習慣を学校給食で団塊の世代に押し付けておきながら、今頃、クジラ肉食をやめろとは米国人の勝手さが目に余る。(話が古すぎました。))
加熱して調理するのは、柔らかくして吸収しやすくするというメリットより、食中毒にならないようにするのが第一の目的である。液体の卵などを加熱するのも同じである。従って、あまり火が通っていないのは問題であるが、細胞はすべて焼きすぎると硬く炭化物に近くなってしまうので、それも消化に悪い。この二つのバランスから調理時間が決まることになる。
(4)味付け
最後に味付けである。理系人間が最も不得意とするところであり、仕事が飯より好きな人間ならこの項はスキップするであろう。しかし、洋の東西を問わず、調味料は非常に重要であった。アヘン戦争は肉のにおいを消すために胡椒を独占したいイギリス人がその資金を得るためにアヘンを中国人に売り、中毒にさせようとしたところから始まったそうである。(歴史にはフェークが多いのでこの程度は許されるはず。)日本人なら調味料はさしすせそであるが、西洋人はかきくけこである。(からし、きくらげ、くさや、けし、こしょう、ではだめでしょうか。)
これらを適当にふりかけながら作れば理系としては結構おいしくなるはずです。(個人の感想です。!!)
加熱時間最適化研究リンク(御茶ノ水大香西先生による貴重な研究です。)
http://www.netsubussei.jp/group/kousai.pdf

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