布マスクはつけないほうがよいのか?2020年04月18日 10:30

本気で感染防止するにはマスクよりもウイルスが届かない距離として約1.8mのsocial distanceだけ互いに離れるほうが重要と欧米(古い言い方!)では言われています。

外出自粛のなか、食料品などの買い物が逆に混雑し、レジなどで密集して並ぶのはかなり危ないのではないかと思います。
日本のニュースで、social distanceのことをはっきり言わず、3密という定性的な言い方なのは、電車通勤が不可能になるからでしょうか。

その代わりに、日本では殆どの人がマスクをしているので、万一感染者が咳をしてもマスクをしている限り、かなり防げることが、背景にあるでないかとも解釈できます。ただ、前提であるマスクも全員がつけているわけではありません。特に今回感染症を気にしてない人ほどマスクを付けない傾向があるように見えます。

下記サイトでは、東京で配布され始めた布マスクは一般的に使われるサージカルマスク(不織布マスク)と違って咳の飛沫は防げないことになります。(*1)
*1)https://www.pref.tottori.lg.jp/39478.htm

布マスクの効果については、下記のサイトにNATROM先生の解説があり、布マスクも使いようのようです。
http://natrom.hatenablog.com/


ただ、使い方によっては布マスクはマスクを全くしないよりもリスクがあるようです。WHOも最近までは使用を推奨していませんでした。その根拠となった論文全文*2)は以下のもので、多数の医療従事者を対象とした2種類のマスク装着群とコントロール群(従来通りの対策)の3群に対する疫学調査の結果です。
*2)https://bmjopen.bmj.com/content/bmjopen/5/4/e006577.full.pdf

布マスクであれ、付けないよりも付けたほうがリスクが高くなるというのは、マスクを使う我々の直感には反しますが、この調査結果は以下のような説明ができるのではないでしょうか。

マスクをしない場合は、肺呼吸で吐き出されたウイルスが空気中に拡散される。即ち、喉の有害物質排出機能が正常に機能する。
一方、布マスクはメッシュが粗く、吸入の時はマスク無しと同じようなものなのに、吐き出されたウイルスは布マスクの表面に捕獲され、更に、マスクの扱い方が悪くて、手で触るのため、手が汚染されて感染リスクが高まる、
ということではないかと思います。

この論文の図2などからは、確かに感染リスクは布マスク、コントロール群、サージカルマスクの順に減っています。

ただ、この論文はハノイの14の病院の約1600人の医療従事者を対象に2011年ごろ行われた疫学調査によるものなので、病院の換気状態にも依存すると考えられ、換気が良い病院であれば、コントロール群(上記*1にもあるように調査以前からマスクを着けている医療者も含まれる)よりも、布マスクをつけたグループのほうが感染リスクが上がることもあるかもしれません。昔の日本では大学病院ですら空調がなく、夏は窓開けっぱなしということが良くありました。2011年のハノイはどうなのかは分かりませんので不確かな推論です。

結論としては、非感染と分かっている場合、十分換気が良い環境ならば、マスクの適切な取り扱いに自信のない人は布マスクはつけないほうが良いということになります。多くの医療関係の論文同様、やはり分かりにい結論になりました。