プリウスロケットとなっていたかも2021年09月07日 05:12

ハイブリッド車では、制御系を構成するソフトウエアと従来のガソリンエンジン及び電気モーター、蓄電池から構成されるハードの調和は難しいものである。
プリウスでは、電気モーターとエンジン駆動力を車輪につながる流星歯車に同時に入力して車輪の駆動力を得るモードがスタート直後の発進時にはありうると販売店のメカニックから聞いた。
ところで、オートマチック車にはクリープ現象がある。これはアイドリング状態でも、ある程度の駆動力を車輪に伝え、常に僅かにを車輪を回転しようとする機能である。これがないと、緩い上り道でもバックしてしまい、安全な発進が困難になる。
ここで、モーターだけでは十分なクリープ力を与えられないほど蓄電池が放電した状態を考える。この場合に、上記のようなモーター力とエンジン力を同時に車輪の駆動力として用いる制御方式となっている。
 このような状態で、プリウスのスタートボタンをおすとどうなるか。
ブレーキペダルを踏んだ状態でしかスタートボタンは押せないので、通常、この状態では発進することはない。
しかし、バッテリー容量が低い状態では、発電と駆動力の確保のため、エンジンが自動的にかかるソフト仕様(プログラム)になっている。
この時のエンジン回転レベルがどのように制御されているのかがここでは安全上の大きな問題点となる。
 エンジン回転数が低すぎればクリープ力が小さすぎて坂道では発信するのが難しくなる。(後退する可能性が生じる。)一方、回転数が高すぎれば、クリープ力が強すぎて、ブレーキペダルから足を離した途端に急発進することになる。。
最近、購入してから10年以上経過したプリウスが、スタートボタンを押すと、エンジン回転数がかなり高い状態になることが数回生じた。エンジン音が高く、振動も強めなのである。それはスタートボタンが押した場合にいつも生じるということではなく、多くの場合は、低い回転数のままか、エンジンは止まったままである。そのような場合には従来のやり方でにブレーキペダルから足を離しても、スムーズに発進する。
しかしながら、高回転数でエンジンが掛かったときに、いつものように足をペダルから離したら凄いクリープ力で前に進もうとした。
そこであわててブレーキペダルを踏み直したが、もし、あのまま普通にペダルから足をはずしていたら、5メートル先に居た人にぶつかっていたであろう。
 その後は、ふだんよりちょっとずつブレーキペダルを緩め、五倍くらいの時間をかけて発進した。そのあとは、エンジン回転数が低下し、普通に運転できたが 非常に怖い思いをした。
 このような高回転エンジンスタートがいつまた起こるかは予測できない。プリウスでは、エンジン回転数の制御はスタートボタンを押したのちは、常に自動的にプログラムがきめているのである。スタート時に高回転にならないように運転者が指定することはできない設計になっている。

国土交通省の不具合情報サイトに載っている急発進事象は高年式の古いハイブリッド車が多いように思う。
経年したハードに対しプリウスのソフトウェアはどのように安全性が検証されているのか知りたいところである。
 なお、上記の事象を生じたプリウスは、購入以来、トヨタ指定の定期点検を欠かさず受けており、この事象が生じた後の販売店のメカニックによるチェックでも異常はないとの話なので、この異常なクリープ事象の原因は不明のままである。したがって、今のところこのプリウスの運転はしないようにしている。どうしたらいいだろうか。

 後日談:
 9月10日午前に、「変わった信号が検出された」とメカから電話を受けた。店に行って工場責任者の話を聞くと、上記事象時に対応する時点で、2回のブレーキ+アクセルの同時踏みでのスタートの信号記録が出ているという。即ち、誤操作が原因だという話である。では、それが正式のトヨタの回答であるならば、書き物にしてくださいと頼んだら、それはできないとの答えであった。
 プリウスのような運転機構と駆動機構が直接つながっていない車種はブレーキペダルの信号はブレーキランプ系統から、アクセルペダルの動きは、アクセルペダル上部のリレーにつながる信号系統から得られているとのこと。では、制御システムのプログラムのどこかに不具合がある場合、エンジン回転数の異常は直接検出できないようになっているらしい。
 書き物にしてもらえない理由を聞いても答えはなく、同時踏みの実演をすることもなく、工場責任者は若い担当者に説明を任せて別の会議にもどっていった。
 なぜ、自分がいまさっき言ったことを書き物にできないのだろうか。こちらとしては、別に同時踏みを否定も肯定もしていない。単に工場責任者の言ったことを本人の書き物として記録に残しておきたいだけなのだ。やはり、検査に自信がないのだろうかと感じた。
 
 若い担当者がいる場で、ブレーキとアクセルの同時踏みでのスタートが可能か実演してみたが、ブレーキを踏んだ状態ではどうやってもアクセルは深く踏み込めず、回転数は上記の異常事象時のような高回転にはできない。
 また、異常事象時での車の発進のために、ブレーキから足を瞬間的に離したが、高回転が続いたため強いクリープ力が維持され、直ぐに踏みなおすという断続的な繰り返し操作が必要だった。
 工場責任者の言うような、ブレーキアクセル同時踏み説ではエンジン回転数がブレーキから足を話した瞬間下がるはずなので、納得できないと話したら、若い担当者は反論できず、同時踏みが原因だと断言はできないと言った。また、スタートボタンを押した直後のエンジンの回転数はバッテリ容量条件などで変わり、クリープ力が変わることがありうると話してしてくれた。
 これは、工場責任者との話では出なかった重要な点である。

 その後、工場責任者も戻ってきたが、このままでは、水掛け論状態になるので、今後は、この車に乗り続けるつもりはないことを伝え、引き下がることにした。
 
 このように、運転者の誤操作を理由として異常事象の処理をすることは、複雑な制御系と簡単な検出系でできた装置の場合、普通のことなのだろう。ハードをある程度簡易化にしないと、製造コストは上がるばかりである。特に経年劣化がある装置で、その劣化の状態まで明確に検知できるようなことまで設計に取り入れたら、非常に高価な車になりそうなことは分かる。当時、ホンダのハイブリッド車が安く新発売されたためか、その暫く後に販売開始されたこの型のプリウスは発売前に急に値下げすることになったのも設計製造に影響した可能性がある。
 
 それにしても、怖い話ではある。ブレーキアクセル同時踏みこみが真の原因ならばよいのだが、このような異常事象の発生がプリウスロケットの原因の一つでないこと、この事象がこの型の車の廃車までに再現しないことを願う次第である。