ワクチンパスポートの私的宴会での運用について2021年09月14日 05:08

 政府は経済活性化のため、ワクチンパスポートを活用する方針のようだ。だれが新総裁になろうと、政権交代が起ころうとこの方向は世界的傾向だ。では、日本でワクチンパスポートというものは、世間ではうまく運用できるだろうか。陰性証明もパスポートに含まれるものとして考えてみる。
 ルールというものは、前提として相互に信頼していること、参加者がそのルールを了解していることでなければ成立しない。
 家族や親しい友人ならば、この前提は成立するだろうが、ちょっと疎遠な関係ならば、どのような事態になるだろうか。
 例として、久しぶりの同窓会の開催というものを考えてみる。
参加者の予定は約50人である。
 まず、会の案内状にワクチンパスポート、陰性証明が適用されるという文面をどう書くか、だれが、入国審査官役をするのかということになる。
 これは、常識的には幹事役であろう。幹事役は信頼されているとみなされなければ、会は最初から成立しないはずだ。
 次に、参加者が、だれが、ワクチン接種済みで、だれが陰性証明なのかを知りたいと言った時にどう幹事が回答するかである。
 このルールはもともと政府による経済活性化が目的であり、厳密に感染防止を求めるものではない。しかし、50人も人間がいれば神経質な参加者もいるであろう。
 従って、案内状には幹事のみがワクチンパスポート、陰性証明チェックを行い、幹事以外には知らせないと明示する必要がある。
 従って、受付時の審査が他の参加者に見えないようにする必要もありそうだ。

 次に、宴会で、ワクチンの話になった時に、だれかが、陰性証明だと分かった時に、会場にある種の差別的な挙動、言動が生まれる可能性である。これで会の雰囲気は一気に盛り下がる可能性がある。
 従って、案内状や宴会前に、ワクチン接種の話は、宴会などではしないようにアナウンスすることも考えられる。しかし、新型コロナがほぼ全員の関心事なのだから、ワクチン接種の話ができなければ、それもかなり空々しい雰囲気になる。
 これは、幹事の腕の見せ所で、予め、感染リスクはあること、陰性証明の参加者には、差別もありうることを案内状、宴会開始時にアナウンスすべきであろう。それが嫌であれば、参加を断ることになる。そのような制度を政府が推し進めるのであるから、参加者はその認識をあらかじめしておけば、トラブルは起こらないはずだ。

 他に考えられる課題としては、会場までの道中で参加者同士が濃厚接触する場合である。例えば、マイカーに数人の参加者が同乗する場合が考えられる。この時点では幹事も参加者も、ワクチン接種の有無などの状況は分からない。
 しかし、従来、マイカーに相乗りして宴会先まで旅行していたとする。
今回はどうするか。これもマイカーを運転する人、同乗する人に対し、事前のワクチンパスポートの確認はできないが、それを前提にマイカーを使うことを案内状に明示する以外にないだろう。

 通常、このような宴会後には、数人ずつの部屋割りでの宿泊となる。
部屋割りでワクチン接種有無を問題にされると更に厄介な課題が生じる。部屋ごとに接種有無で分けることができるとは限らない。これも、案内状にあらかじめ書いておく必要がある。

 これらのことを考えると、同窓会のような私的な集会にワクチンパスポート方策を適用すると参加者は激減する可能性もある。
 それが同窓会や仲間の親密度のレベルの反映なのか、コロナへの恐怖心のレベルの反映なのかは分からないが、各自が判断すべきことであろう。
 ただ、政府、自治体に対しては、私的な会合へのワクチンパスポート適用の際のこれらの課題に対する標準ガイダンスを提示してもらいたい。これらが明確でないと、クラスター騒ぎが起きたときに、陰性証明参加者や幹事が責められることになる可能性も多少ながらあるだろう。

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