事故は高齢者のためか高年式車のためか2021年09月19日 08:15

 高齢者がプリウスなどで事故を起こしやすいとよく言われている。
 しかし、よく考えると、車というものは平均10年程度は持つものである。特にトヨタ車など品質管理が進んでいるものでは買い替えや廃車の必要性があまりない。即ち、平均的に見れば、高齢者は、使用年数の長い高年式車を持っていると考えられる。

 高年式車であれば、必然的に経年劣化が生じている。制御系であれば、ブレーキパッド部やスプリング部など材質の劣化が進んで新車とは微妙に応答が変わってくる。
 
 先日、起動時のクリープ力に不具合を起こしたプリウスも、ブレーキペダルを離したときにスムーズなブレーキ力の減少ができなくなっていたように感じる。即ち、踏力による微妙なブレーキ制御が難しく、足を徐々に離しても、突然、ブレーキ力が無くなるような状態になっていたのである。
 このようなブレーキ状態で、エンジン回転数が通常より高い状態でスタートしたうえに、立体駐車場でのスタートなので、やや下り坂になっている方向に車を発進させたため、平坦な場所よりクリープ力が強く働いて制御が困難になったと考えられる。
 プリウスでは、一般のガソリンエンジンAT車のような流体クラッチは組み込まれていない。即ち、車輪に直結する流星歯車機構にエンジン力と電気モータ力が同時に入力される構造になっているのでエンジン回転数が高いと車輪の回転力が大きい状態、即ちクリープ力が大きい状態になる。仮にこの車の制御システムのどこかに不具合があると、異常に強いクリープ力が生じることになり、それを抑えつけるのはフットブレーキしかないということになる。
 
 このような、不具合が増える高年式車は、微妙なフットブレーキ操作ができないと暴走しやすいということになる。このような複合現象を見逃して、高齢者が運転する車は暴走しやすいと単純に解釈されていないかどうかを確認する必要がある。

 なお、このごろの四駆車には、後輪に小型電気モータが直結した構造のものが増えてきた。EVの機構もクラッチ相当の構造がない似たようなものであろう。これら、クラッチ機能なしの駆動系では、制御プログラムに不具合があるとフットブレーキだけが車を止める手段になりかねない。時間的余裕があれば、シフトをニュートラルにいれるなどの駆動力切り離し手段が取れるが、瞬間的にはフットブレーキに頼ることになる。
 ぜひ、スクラムボタンのような非常用車停止装置を追加してもらいたい。