スマホが使いにくい訳2021年10月17日 02:10

 IT関連の大規模トラブルが続いている。
 銀行システム、SNSサーバーに続き、スマホの通信システムにまで拡大してきた。これでは益々スマホの使用に不安感を持つ人が増えるだろう。

 どんな新技術も、使い慣れない人にとっては出来れば使わないで済ませたいというのが本来保守的な人間の性であろう。しかし、使用によるメリット、ディメリットの差が大きければ、ほとんどの人は使用に踏み切る。かっての3種の神器と言われた家電やマイカーなど現在では普通に受け入れられている。

 では、スマホではどうか。ガラケーのままでいいという熟年の知人もいた。また、スマホを使いこなしてないと思われる人のほうが明らかに多い。
仕事などの関係で必要に駆られ、仕方なくアプリを追加しているだけである。
 でも、本人はできることなら、用件は電話で済ませたいーという声が中高年者には多い。

 その理由を良く考えると、以下があげられる。
(1)キー入力が面倒
(2)使い方が分かりにくい
(3)詐欺まがいのアプリ、サブスク
(4)信頼できない

(1)については、音声入力も実用的になったが、すべてのアプリが対応できるわけではない。やはり、慣れるしかないか、せめて、安価で簡易な視線利用入力装置が開発されることを待つしかない。
(2)については、根本的には、オブジェクト指向という現在のソフト体系を見直し、ハード側に必要な動作機能を持たせるという方向にすればかなり改善される。タッチパネルで、必要な機能を選択していくのではなく、ボタン一つ一つに一貫した機能を持たせることで、最小限の入力で用件を済ませられるようなソフトとハードの組み合わせでできた装置の開発である。その代わり、機能は現在のスマホのOSへのアプリ組み込みのような万能性を失うが、多くの中高年にとってはそれで充分である。
 しかし、それはかなりの機能喪失をともなうので、実際には、アプリ開発者が、もっと人間工学的な視点でソフト自体の挙動を分かりやすく表示できるように見直すことが当面必要だ。
 同時に利用者も自分の常識が一般人の平均的期待値とどの程度乖離しているのかを常に認識しておく必要がある。個々人の過大な要求や、こうあってほしいという応答、機能をアプリに要求することはできない。

(3)が実用上もっとも不安に感じる点である。例えばあるアプリを便利そうだからといわれ、ストアからダウンロードする。表示される画面は複雑怪奇でよくわからない。そして、動かそうと触っているうちに、有料サブスクが自動契約されてしまう。そして多額の請求が一括引きされてしまうが、引き去り額の詳細を調べるのも大変なので知らない間に損をしてしまうーというパターンである。
 画面上からそのアプリを削除しても、サブスク契約を解除したことにはならないので、アプリを再インストールして、サブスク契約状況をアプリごとに確認するという面倒な手順を踏まなければならない。
 そして、この問題の苦情をどこにいえばいいのかもはっきりしない。パソコンのトラブルでもハード会社とソフト会社で電話のたらいまわしされることが良くあったが、スマホでは更に複雑な会社関係になっている。余計なアプリはインストールしないようにしたほうが良い。


(4)については、アプリよりもOS自体の問題が多い。OS自体にも多くの矛盾、バグが含まれており、それをバージョンアップと称して修正しているが、最初から、OSがそのような問題を含んでいる不完全品であることをメーカーは利用者に明示すべきである。しているつもりかもしれないが、日本の消費者は商品は完全なはずだと誤解しているのでその誤解を解くことから始めなければならない。

 デジタル庁ができるのであれば、上記のような消費者不安を煽るアプリやシステム構成を、きちんとチェックし指導してもらいたい。
 EUではGAFAなどに強力な指導をしているが、日本の官僚はそれだけの技術力と調査能力を有しているのだろうか。ともかく頑張ってもらいたい。