ロシア軍がチェルノビル原発を最初に占拠した意味2022年02月25日 05:07

ロシアが最初にウクライナで占拠した施設はチェルノビル原発であった。
ロシアの狙いは、チェルノビルの1号機から3号機を占拠して、ウクライナの電気エネルギー源を押さえることにある。
事故を起こした4号機は関係ないことである。この放射能を拡散しても今回の戦争に影響はない。人体影響の大きい短半減期の放射能は減衰してしまっている。
今後、ウクライナがNATO側により近づいた際には、ロシアは原油や天然ガスの供給路を断つことでウクライナのエネルギー源を締め付け、けん制することができる。しかし、チェルノビル原発が再稼働し、増設されればその効果はなきものになる。1号~3号機は閉鎖され、5,6号機は建設途中であったが、新たに別の場所に建設するより、早期に再稼働できるのは日本の例でも明らかである。
ウクライナ当局の放射線量上昇の発表があったが、ロシア軍の原発占拠を根拠に、欧州側の参戦をウクライナ側が促したいためでもある。欧州側は参戦に後ろ向きであり、IAEAは、放射線上昇の影響は小さいと発表している。

原子力発電所は燃料補給は1年に一回で済む。うまく設計すれば10年に1回でもよい。
しかし、火力発電所は頻繁な燃料補給が必要である。ウクライナの火力発電所を止めるにはパイプラインや補給路を止めればいいので、それはロシア側は既に押さえている。
国にとって最重要インフラである電気補給を完全に止めるには、原発の稼働を押さえる必要があったのである。
日本もこのことを良く理解しなければならない。日本の石油備蓄は発電用に使えるのは半年分もない。ロシアや中国に補給路を断たれたらすぐに停電になるということである。
再エネ発電は一回嵐が来れば、直ぐに止まり送電ネットワークが麻痺するので、軍隊による占拠は不要である。

ロシア軍が市街地から撤退しても、安全確保の名目でチェルノビルの占拠は続けるだろう。それは国家の電気エネルギー源を押さえることが主目的だからこそである。

この観点からも日本では特にエネルギ―源の多様化が重要である。