ウクライナ、憲法改正、核保有への考え方2022年03月13日 04:25

今回のウクライナ情勢に関し、岸田首相などから憲法改正、核保有などへの様々な提案が出されている。
また、メディア、評論家、一般人からも多様な発言が出され、丁度3.11後の原発への反応と同様の状況にある。
それがロシアによる原発攻撃や戦術核の利用可能性などへの懸念とも関わるので、動揺が広がっているように見える。

これらの複雑な状況をどう考え、どうするのが良いのか。

結論から言えば、以下の方策が最適だと思う。

「経済的かつエネルギ的な独立性を高めつつ、軍事的には日米安保条約に依存する。」

これは、ドイツ流の方策である。

先の大戦では、日本は経済的にも軍事的にも米国と対立し、エネルギーを押さえられて、即ち、原油を含む経済制裁を受けて、日米開戦と破局に進んだ。今回、仮に憲法改正と核保有で軍事的にも独立性を高めた場合、米国は黙ってはいないであろう。過去の日本の例を忘れてはいないだろう。今回のロシアの例から、日本の指導部が豹変することも、また、合理的に考えない癖があることも、日本国民が考えている以上に懸念するところである。仮に独自に核保有するとなれば、それは軍事的には、北朝鮮と同様の国家が東アジアにもう一つ生じることになる。それは米国としては避けたいところである。即ち、日本の軍事的な独立性は望んではいない。核シェアリングは仮に合意されたとしても、外交上の表向きの話で、本音として米国は核がどこにどのように運用されているのか分からないようにするのが核抑止力上最適なのである。当然ながら、日本には核のボタンを渡したりはしない。即ち、核シェアリングは幻想である。原子力潜水艦は米中露ともすでに日本近海に多数潜航しており、それに北朝鮮が加わろうとしているということを考えれば明らかであろう。

では、核抑止力を自主的に使えない日本としてはどうしたらよいか。他国から攻められない状況を経済的、エネルギー資源的に作る、即ち、自立性を高め、他国への影響力を強くすることで、自国の存在感を周辺諸国に知らしめる以外にないのではないか。

それは憲法改正とは関係なく実施可能なことである。下手に改正すると、今回のウクライナのNATO加盟問題のように侵略の口実に使われるだけである。

過去に学ばないと歴史は繰り返される可能性が強まる。逆に過去にうまくいった例にも学びたい。

日米安保をうまく利用し、経済大国になっていった日本が、戦火に巻き込まれずにここまでこれた歴史を更に継続する必要はある。現時点ではエネルギーと食料の自給力を高め、同時に経済的には周辺国との関係強化を行うことで、侵略の可能性を減らすことが重要である。
これは、憲法改正や核保有とは関係なく実施できることである。

幸いなことに中国ともロシアとも複雑な歴史的関係はない。ウクライナをロシアの一部だと思い込むようなプーチンのような独裁者は中国など周辺国にはいないだろう。問題は、尖閣列島の防衛と北方領土の回復をどうするかである。ここに食指を延ばされないように、また、領土を実質的に回復できるように上記の影響力の拡大のもとで、軍事的、外交的な努力を行うことが重要である。

今回のロシアのような、或いは第ニ次世界大戦に敗れた日本のような状況にならないようにするにはこの方向しかないのではないかと思う。

なお、電力エネルギー自立については、長期的な計画になるが、日本海、太平洋をネットする高圧直流電力網を構築することで、二国間で紛争があっても他の国からの供給により最低のエネルギー確保が可能となるよう、多国間依存関係を構築することを経済安全保障の柱にしてはどうだろうか。