オブジェクト指向とスピノザの哲学の関係2022年06月16日 05:13

Pythonを含め、近年の多くのプログラムはオブジェクト指向である。
オブジェクト指向のオブジェクトとは、「やさしいPython」高橋麻奈(SBクリエイティブ)によればモノの概念に基づいて、プログラムを作成することという方法である。
 ではオブジェクト指向の対語はなんだろうか。おそらく、FORTRANやCOBOLといった、かつて主流だったプログラム言語であろう。これは記述式文章をコンピュータに理解させるために構造化したものと見なすことができるが、結局は言語の概念である。
 即ち、モノと言語の対比である。

 オブジェクトとはモノなので、前書によれば、クラスがあり、属性があり、メソッドがある。このように理解するとオブジェクトの概念が分かりやすい。

 実は、この概念は400年前の哲学者スピノザが、個物に対して示していた概念とそっくりである。

 スピノザの解説本(例えば「スピノザ エチカ」國分功一郎(NHK出版)では、神は実体で不変のものであるが、個物はその態様であるーと記述されている。神が実体は何となくわかるが、態様とは様々な属性を有し、神が万物に宿っているので、その実体が宇宙に存在している形態として、実体から変化した個々の存在形態のことだーとのことである。
 これはモノであるオブジェクトの概念と同じだと思う。英語でオブジェクトは対象物だが、サブジェクト(主体)の対比語でもある。

 このようにオブジェクトの概念をスピノザ哲学でいう様々な属性を持つ個物だと捉えれば、分かりやすいのではないだろうか。(却って分かりくくなったと思うなら、スピノザ哲学を齧ってみるとよい。IT技術者のこの世の悩みも同時に解消されることとと思う。)

 欧米で最初にオブジェクト指向と言い出した当時のプログラマーはユダヤ教、キリスト教とスピノザの関係を当然知っていたのであろう。