ワクチン接種を嫌う2つの理由2022年07月26日 07:41

 周りの様子を見聞きすると新型コロナワクチン接種を嫌がるのに2つの理由がある。
 一つは副反応の影響が大きい人々である。これはよく分かる。感染したほうがましだと思えるほど副反応に悩まされる。それでも仕方なく指示に従って打って、発熱などに耐える。
 もう一つは、「ワクチンとは人工物だから、体内に注入するのは自然に反する。人間は自然のままであるべきだ」という理由で撃たない人々である。
 この主張には哲学的な課題が含まれる。即ち、人間は自然なのか、人工物とは自然のものか否か」という課題である。
 西洋哲学では歴史的に自然と人間を対立した見方をしてきた。
そして、西洋科学の粋とでもいえるワクチンは人工物の最終形態であろう。実際、ワクチンにより、自然生物の原子形態ともいえるウイルスに立ち向かうのである。この戦いは、自然と人間の戦いの究極の姿であろう。
 そして、反ワクチン派は、この戦いは不自然だからワクチン接種などすべきではないと主張する。何となく同調したくなる。
副反応も、将来の体への影響も不安である。
 しかし、ワクチンを人間が作り出した最高の成果物であるとみる見方もできる。人間は自然のなかで生き抜くために多くの工夫をしてきた。その多くは人工物である。即ち、人間は人工物を作る生物として自然の中で進化してきたということである。
  言いたいことは、自然物も人工物も人間に対する影響という点では哲学的に簡単に区別をすることはできないということである。それは、人間も自然により作られたものだから、人間の作ったものはある意味自然の産物でもあるからである。
 この見方をすれば、人工物を一律に否定できないし、当然、自然の中には人間に害悪を及ぼすものもある。それにはある種のウイルスも含まれる。

 それならば、頭からウイルスを否定することなく、その時の状況で個々人にとって、社会全体にとって、ワクチンを含む人工物への適切な態度をとることができるようになるだろう。

 すでに子どものころから、我々は大量の人工物と自然物の洪水のなかで、生き抜いてきたのであり、その中には多くのワクチン注射も多くのウイルス被ばくもあったのである。