原子力規制と原発再稼働の関係2022年09月22日 10:34

 9月20日の朝日新聞に初代原子力規制委員会委員長田中俊一さんのインタビュー記事が出ている。事故やトラブルは必ず起こるのでどの程度に抑えるかという考え方が重要だ。日本は無謬性を求めすぎて変になるーという趣旨の記事である。
 もっともだと思う。彼は原発の再稼働が必要かどうかは関係なく、技術と安全性の関係にのみ集中して、個々のプラントの安全審査を行ったのである。
 この視点で常に電力供給体制を見ていくことが国民の信頼を得る上でもっとも重要である。
 最終的には政治決着するにせよ、再稼働を早めたいのなら逆にその安全性を追求して規制側の懸念を排除することに集中するのが早道であろう。
 国民も絶対安全という視点から脱却しなければ、すべての技術は絶対安全はあり得ないのだから、エネルギー供給自体が止まるということも考慮した上で行動する必要があるのだろう。

 ただ、現在の原子力規制にはふたつの疑問がある。
 一つは、ICRPによる被ばく基準が本当に妥当なのか、瞬時被ばくと長期被ばくの人体影響の大きな相違を弁別していない。瞬時被ばくは分かりやすく言えば原爆による数ミリ秒での高線量率被ばくである。長期被ばくは年単位での低線量率被ばくである。ICRP基準ではこの差を明確には扱っていない。これはDNA修復のメカニズムの知見に反する基準である。このような基準のもとで安全規制を行うのはバランスを欠く設計を意味している。
 二つ目はこれに関連するが瞬時被ばくの起因事象である反応度挿入型事象について、その防護措置が十分か、審査が十分なされているのか明確にする必要がある。
 これらの疑問も含め、YOUTUBEに審査基準や審査過程を公開しているからというだけではなく、元となる基準の妥当性を含めて国民に公開してもらいたい。