デンマーク王室のスリム化と皇室の反スリム化方策2022年10月11日 09:04

 報道によれば、デンマーク王室の現女王が次男の4人の孫の王子敬称を剥奪(英語ではstripらしいので衣服を脱がせるという意味合いもある)したらしい。孫が長男にも4人いるので経費削減のためにスリム化したようだ。この動きは欧州の他の王室でも見られる。

 一方、日本では、皇位継承者が殆どいない。少子化ニッポンを象徴しているのである。しかし、皇室費に対する国民の見方は欧州以上に厳しい。欧州では王室不要論も出ているようだが日本ではそこまでの主張は少ない。これらの問題をどうするべきだろうか。

 なぜ、日本では皇室不要論が少ないのか。私見では、これは、日本人の宗教への態度によるものではないかと思う。キリスト教にせよ、仏向にせよ、海外から渡ってきたものであり、折々の行事や冠婚葬祭では手を合わせるが、その宗教の教えを理解している人の割合は少ない。即ち心から信じているわけではない。しかし、日本人のアイデンティティを考えるとき、一神教よりも、自然崇拝と多神教の考えの方がより親しみやすい。即ち、天皇と皇室に象徴される神道の考えのほうが一神教の考えよりはより安心するのではないだろうか。

 嘗て、ソ連が崩壊したとき、ロシア国民が纏まって内戦に発展しなかったのはロシア正教があったおかげだと思う。今もモスクワ川のそばの国立礼拝堂には何万人もの市民が列をなしている。これらの人々がプーチン支持者の中核となっている。プーチンの権力が失われても、ロシア正教会の勢力が今後のロシア政治を動かすことだろう。

 翻って、日本にロシア正教会のような、或いは英国正教会のような国民の大部分が帰依するような精神的な存在はあるだろうか。米国の場合は、星条旗と同名の国歌が国民統合の象徴とされている。
 日本の場合、現状では憲法に書かれているように天皇制と皇室の存在しか統合の象徴になりえないというのが私の考えである。
 共和制に移行できるほど、国民の民主主義的意識は高くはない。共和制にしたら、大統領が変わる度に、日本には韓国以上の混乱が発生するだろう。

 従って、皇室と天皇制を国民の反発無しに維持することは現政府の最重要の仕事である。

 今回眞子様の件で、マスコミや一部国民は今も騒ぎが続いているが、これを解決するための方策がある。
 戦後マッカーサーが皇室から取り上げ、政府に移管した皇室財産(当時の金額で3000億相当と言われている)を返却し、皇室の経済的自立を図ることが解決策として有効であろう。

 経済的自立がないので、皇族の自由度を縛り、皇族の少子化にもつながる。皇室関係の子女が、皇室から離脱したがるのは当然である。公務という義務だけあって、経済的自立による自由がないのは、国家版の親ガチャともいえるであろう。現在の皇族よりも経済的に裕福で義務もなく自由な生活を送っている成金二世、三世は、現在では数万人はいるのだから。