世襲と家制度、生物学的平均回帰現象と進化の関係2022年10月13日 05:06

 岸田総理の秘書問題に関し、昨日のモーニングショーに出演されていた本郷和人氏によれば、政治家、医者、芸能人は3大世襲職業らしい。

 昔、医者の息子の友人がいたが、無理やり父親に医科大学に押し込められ、結局、彼の人生は悲劇的な結果に終わった。

 豊田秀樹「回帰分析入門ーRで学ぶ最新データ解析ー」東京図書(2012)によれば、イギリスの学者フランシス・ゴルドンは親と子の身長データを分析し、親が平均より背が高ければ、子は親より低くなる傾向があり、逆に親が低ければ、子は高くなるという傾向もある、即ち、子の身長は、同一環境にある住民の平均身長に戻ろうとする回帰現象を見出した。友人の父親はこの現象を信じていなかったようだ。

 この平均回帰現象は、生物界共通の現象であるらしい。進化論は環境が大きく変わり、長時間の適者選択が繰り返されない限り、進化は現実にはならないということである。(二河成男「生物の進化と多様化の科学」放送大学教育振興会(2017))

 一方、中世においては、公家、武家、寺家という3つの家系を世襲することが日本の社会制度の基本だったそうだ。即ち、家という概念が、天皇制を支えて日本の国家体制を構築してきたらしい。
 この家という概念は、必ずしも血に直結するものでもなく、側室や養子の存在を許容することもある。このシステムは家を継続し、その正統性が維持できるので、社会の安定のためには便利な制度である。単純な親子世襲より、家の跡継ぎが生物学的な平均回帰現象に陥りにくくなる。このような家制度によって、家の権威が生物学的に平均回帰し劣化していくことを、多少は防げるのかもしれない。しかし、庶民が主権者であるべき民主制に家制度がなじまないのも明白だ。
 
 本郷氏は別の著書の中で、古代中国の科挙制が日本に取り入れられなかった点を取り上げている。律令制は優秀な官僚を庶民から選出するには最高のシステムだろう。しかし、その試験が儒教知識のテストに主眼が置かれているのであれば、基本的に家系を重視する天皇制と相いれないのも明白である。

 現在の日本で科挙制に代わる理想的な政治家任用制を作るとすれば、司法試験、公務員試験、日本史試験、世界史試験、組織論試験、心理学試験、IT試験のいずれも一定のレベルの合格点が取れるだけの資質がほしいところだ。

 世襲政治家に対して、このような基本的な現代日本における政治家の基礎知識を習得させるシステムがあれば、自民党への世襲政治批判はかなり抑制されるだろう。また、平均回帰現象を多少なりとも抑制できるであろう。

 そのうち、モーニングショーの阿部俊樹氏や、本郷氏の言われるように、日本に大きな政治環境の変化や革命が生じることで、日本の政治も大きく変わるのだろう。そして、このような変化が生じれば、ダーウィンの進化論における、生物学的な進化が可能となる長期的な環境変化が生じたと言えそうだ。そのような環境変化を国民の意識変化のみで構築できるのか、外的要因によるのかが大きな課題ではある。

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