白馬乗鞍のバックカントリー遭難の考察2023年01月30日 08:16

 白馬乗鞍岳手前の天狗原で雪崩が起き、海外のスキー客が巻き込まれて遭難したそうだ。
 40年前の5月の連休に栂池スキー場から天狗原、白馬乗鞍岳、蓮華温泉を経由し、大糸線の平岩まで山スキーで2泊3日のツアーをしたことがある。5月なので、雪崩の可能性は小さく、また、栂池スキー場から白馬乗鞍岳まで、当時はやっていたヘリスキー(ヘリコプターでスキーヤーをバックカウトリー?まで運ぶサービス)もあった。また、白馬乗鞍岳の裏側にある蓮華温泉は雪の中なので徒歩かスキーでないと到達できないが、営業中であった。

 従って、栂池スキー場の上部には境界を示すロープはなく、だれでもバックカントリーの雪山に行ける状態になっていた。

 我々は冬山装備とツエルト、食料を持ち、山スキーで白馬乗鞍を目指したが、上から一般スキーヤーがたくさん降りてきて驚いたことがある。ヘリコプターで山頂まで運ばれたスキーヤーである。

 勿論、1月の降雪直後と、5月の残雪期では雪崩の起こる確率はことなるが、バックカントリーであることは同じである。

 また、スキー場の境界のロープにどれだけの意味があるかも問題である。スキー場のリフトなどを使わずにその外側から白馬乗鞍を目指すことも十分可能なのである。その場合は、バックカントリーで遊ぶことは許されないのだろうか。

 バックカントリーとは何なのだろうか。そして、遭難時の責任やワイドショウで言われているようなルールを守るという際のメールとは何なのだろうか。

 これは、登山や海の遊びでの遭難時の問題とも共通の課題である。

 要するにメディアでは、遭難した結果で、ルールを守ってないと非難しているように思う。

 登山の場合は、遭難に備え、遭難保険がある。
 バックカウントリーや海においても遭難保険に加入することは必須だ。
 登山では危険な山に対する入山規制が行われている。丹沢など低山でも遭難は起こっているのだから、零にすることはできない。厳しく登山を規制したら、かえって地元の利益に反することも多い。

 問題は、どのようなルールで規制するかであろう。登山届だけでなく、バックカントリーの場合もその届け出を義務化するだけでもかなり遭難を防げる。また、スキー場ではある程度人員も配置されているのだから、そこで、ツアー客のチェックをすることも可能だ。
 スキー場経営や外国客の受け入れのための必要経費として、チェック体制の整備をする以外にないのではないだろうか。

 そして、最も重要な了解事項は、スキー場からバックカントリ―側に出る際の注意書きである。カナダのスキー場では、境界外に出る際の立て札に、自己責任であることが明記されている。年間10人程度の遭難死がでることも珍しくない。従って、ニュースにもならない。
 遭難しても生還するのは自己責任である。
 救助隊側も決して危険を冒すことなく、自己責任で行動することになる。費用やリスクを冒した結果は保険などの契約の範囲で考えなければならない。
 このような自己責任のルールが日本社会でどこまで浸透するか、安全が担保されている日本では難しいかもしれないが、この自己責任ルールをアウトドアで徹底することが、この閉塞感のある日本をかえていく一つのきっかけになればいいと思う。