AIによる雪崩発生予測は可能か?2023年01月31日 07:44

 また、外国人による遭難騒ぎがあったようだが、冬山では雪崩による死亡事故が最も多い。居住地でも雪崩による災害は、雪下ろしも屋根の雪崩であることを考慮すれば多数を占めるだろう。
 日本は山岳地形が8割を占める。土砂崩れを含め、顆粒状の物質の崩落事故が自然災害の多数をしめることは明白である。

 そこで、様々な物理モデルによる雪崩事象の分析が行われているが、今のところ、高精度の雪崩予測ができたとの話は聞こえてこない。短期の天気予報では近年かなりの精度で予測できるようになってきたが、雪崩予報は、県ごとに積雪地は全て雪崩注意報が出っぱなしというお寒い状態である。雪崩警報とか、雪崩緊急速報などというものは聞いたことがない。

 そこで、仕方なくAIを用いた雪崩予測が可能かということになる。ここでAIとは、多数のデータをもとに計算機に条件と結果を学習させ、どのような状態であれば、雪崩の確率が増えるかをある程度定量的に評価させ、それによって、特定の地域、時間、積雪状態、その他の条件ごとに雪崩の確率を予測させることである。

 昔から、雪崩が起こる場所とか、天気状況、斜度など、いくつか経験的に言われてきたことがある。また、雪をある程度掘って、内部の滑り面の結合強度を腕の力を使って調べ、雪崩可能性を評価する弱層テストなどといった方法もある。しかし、このような半経験的な方法だけで、精度良い予測をすることも難しそうだ。

 この際、疫学的な流行予想と同様、AIを活用した雪崩予報システムを全国的レベルで開発してもらいたい。
 そのためには、まず、データの収集である。衛星による全国の画像分析から、雪崩の発生地点、発生規模、前後の状況、天気データを人工雪崩、住宅での雪下ろし中の雪崩落も含め、可能な限りデータを集積し、最近進歩が著しいAIを用いた統計手法で相関関係を分析する。
 そのためには、気象庁、警察、消防などの関係機関のデータベースがすべて必要になる。他の国土交通省各部署、農水省、JAXAの協力も必要だ。
 日本は日本海のお陰で、世界でも珍しい豪雪地帯である。人口密度も高い。

 AIの利用が進んでいる現在、日本が率先して雪崩予報システムを開発し、更には土砂崩れ予報システムに結び付けられれば新たなIT技術として世界に売り込めるのではないだろうか。

IOCとウクライナ侵攻と古代オリンピック2023年01月31日 11:24

 IOCはロシアの選手のパリオリンピックを認めたと報道されている。バッハ会長が現時点でこのような表明をしたのは、予選が始まるからだとのことだ。
 
 近代オリンピックは古代のギリシャのオリンピック精神から始まったはずである。
 古代ギリシャでも戦争は絶えなかった。オリンピック期間だけは停戦して競技を行い、相互理解を深める機会とした。

 この精神に従えば、予選が実質的に始まっているパリオリンピックは、すでに停戦すべき期間に入っていることになる。

 ロシアのウクライナ侵攻(特別軍事作戦という名前でも同じだが)が、ロシアが進めており、ウクライナがロシアを攻めているわけではない。
 国内の親ロシア派との内戦があったとしても、ロシアの直接的な軍事作戦は昨年2月まではなかった。戦争の形にしたのはロシア側である。

 その戦争を一時的にせよ休戦するという古代オリンピック精神に則るなら、IOCはロシアに働きかけ、直ぐに停戦させるべきである。国内のIOC関係者も古代オリンピック、近代オリンピックの恩恵をさんざん受けてきているのだから、予選期間であっても、ロシアの戦闘を止めさせるよう、IOCに働きかけ、予選にも参加させないように活動するのが、オリンピック精神ではないだろうか。