テルミナートルがレオパルト2供与の理由なのか。2023年02月04日 06:35

 ロシア国営通信スプートニクによれば、テルミナートルと呼ばれる戦車支援戦闘車が2022年末から2023年初めにウクライナ前線に投入されたらしい。
https://sputniknews.jp/20230202/14792791.html

 これが、ウクライナ歩兵を狙い撃ちしてロシア側が有利な戦いになる可能性が強い。この戦闘車を叩くには、優秀な戦車が必要だというのが、NATOのレオパルト2など新型戦車供与の一つの理由だろう。

 ネットで調べると、テルミナートルの生産工場の位置はニージニー・タギル市にあるということまでわかる。ロシア側も情報戦では負けてはいない。

  このような強がりをニュースで流すその根底にあるのは、ロシア国民の潜在意識にある他国への恐怖感だろう。この国は歴史的には常に南方からの軍事圧力を感じてきた。ナポレオンやナチスの侵略がその典型である。

 21世紀になり、今度はNATOが怖くなってきた。そして、プーチンは圧倒的な国民支持率を背景に、ロシア帝国の再現が可能だろうとウクライナに攻め入った。しかし、ウクライナの国民の意識はNATOよりもロシアが怖いという逆転現象が起きていることに気づかず、現在の膠着状態に陥ってしまっている。

 日本は現在、自民党の圧倒的な議席数の元、敵基地反撃能力まで保有するという歴史的な防衛戦略変換を行いつつある。

 国民の支持という名のもと、多くの歴史的な失敗が繰り返されてきた。ナチス台頭も、今回のウクライナ侵攻も、太平洋戦争もすべて、国民の支持のもとに行われた行為である。

 かえって、米国のように、二大政党による捻じれ政治のような状況が歴史的には良い結果を生じるということなのだろう。

 そういう意味では、ショルツ首相が連立政権の中でレオパルト2の供与を渋ってきたことも良く理解できる。

 今後は、ロシア国内で、プーチンの独走を押さえられる勢力が伸長することを期待せざるを得ない。それは、ワグネルのような民間軍事組織や現政権への反対勢力の存在である。この民間軍事組織がなぜ存在できているのか。それも、ロシア国民の潜在意識にある恐怖心のためである。モスクワ近郊の闇市では横流し品の武器が白昼堂々と売買されている。それだけ、国民の中に自衛意識が強いということだろう。

 国内に民間軍事組織があり、武器も容易に入手できるということは、もしもロシア国内に戦火が及んだ場合には、現政権は容易に倒れる可能性が強いということでもある。この場合の混乱を考え、西側も戦場がウクライナ国内に治まることを願っている。最新戦闘機をウクライナに供与できないという理由でもある。