宇宙に果てはあるのか?2023年03月20日 03:33

 宇宙に果ての向こうは?という質問を知人から受けた。
この質問は宇宙に果てがあることを前提としている。
従って、先ずは宇宙に果てがあるかどうかという疑問に答えなければならない。

 現在の標準理論では、以下のようになるらしい。
(L.クラウス「宇宙が始まる前には何があったのか?、文芸春秋社)

宇宙は138億年のビッグバン以来膨張しているので、空間は互いに距離を拡大している。即ち、2次元的な見方をすると、膨張しつつあるバルーンの表面が宇宙と見なすことができ、球体の表面であれば、果てもないし、中心もない。これが宇宙である。

 ということになる。では、なぜ、我々は宇宙空間を3次元的に見てしまうのだろうか。それは、日々の経験により、近くのものは近くに、遠くのものは遠くに固定しているように見えるからだ。従って、宇宙が時々刻々拡大しているのが認識できない。

 それは目に到達する光の速度が、宇宙空間の大きさに比べ、遅すぎるためである。光の速度が十分早ければ、夜空の星が拡大しているのが目で観測できるだろう。星の遠ざかるのが直感できるだろうから。(現在は天体観測の技術向上により、遠くの星ほど遠くに離れていく様子が観測、実証されている。)

 要するに、光の速度が十分早ければ、宇宙空間が拡大しているのが目で見て実感でき、3次元空間などという固定した空間はないと直観できるのである。そうなれば、宇宙の果てという固定した空間における偏見は無くなり、そのような概念は浮かんでこない。
 そのような認識ができないのが、光の速度が宇宙の膨張速度に追いついていない現在の宇宙における人間の認識の限界なのである。

 或いは、別の仮定として、我々の寿命が100億年だったらどうだろうか。宇宙の膨張が一生の間に実感できるのである。お互いの距離が生きている間に見る見る広がっていく。これならば、光の速度が現在と同じでも、宇宙の拡大を実感でき、3次元空間が固定されたものではないと直観できるだろう。

 このように生物やヒトを作らなかったのはなぜか。もし、宇宙が有限な時空であったなら、ヒトは生きる意味を見出すことができないのではないか。いつかは宇宙がなくなると直観するからである。そのようにはヒトを作らなかったということは神様の思し召しということではないだろうか。
(注)しかし、私は無神論者です。