空は何故青いのか?2023年03月21日 06:14

 現在の標準理論では、以下のようになるらしい。
(L.クラウス「宇宙が始まる前には何があったのか?」P.92抜粋、文芸春秋社)

「晴れた日に空を見上げれば青空がみえる。しかし、それはヒトが可視光線を見るように進化したからに過ぎない。太陽からやってくる光のピークは可視光線領域にあり、それ以外の波長は大気で吸収されてしまうからだ。」

 即ち、太陽から発生する電磁波のうち、見えるものは可視光線だけであり、空気で吸収されやすい低エネルギーの赤色側の光線は吸収されるので、残りの色である青が見える。

 では、青色よりも高エネルギー側の紫外線やガンマ線はどうなっているのか。

 紫外線は大気圏より上部のオゾン層で吸収される。従って、オゾン層を破壊するようなフロンガスの放出は規制されることになった。

 一方、ガンマ線は大気中で一気圧分=水10メートル分の減衰を受ける。これは核分裂ガンマ線に対し、10桁の減衰である。

 しかし、成層圏近くを飛ぶ国際線ジェットや宇宙飛行士はこの減衰を受けないのである程度のガンマ線被ばくを受ける。通常は数ミリシーベルトレベルであるので問題はない。

 問題なのは、年に数回生じる太陽フレアの爆発時である。この時、瞬間的ではあるが、単位時間当たり5~6桁上の陽子線や中性子線が太陽から放射される。これは太陽表面での爆発的な核融合反応によるものである。

 同書のP.43に書かれているように、太陽には水素、酸素、鉄、ナトリウム、カルシウムが含まれている。太陽フレア爆発により発生する高強度の中性子線がこれらの中重核種に衝突するとガンマ線が発生する。
そのけた違いのガンマ線も太陽フレア時には地球まで降り注ぐのである。
 このガンマ線は瞬間的な被ばくであるので、いまだ正確な測定はなされていない。ただ、パイロットやCAにおける異常な白血病の発生率の増加は観察されている。
https://biz-journal.jp/2018/12/post_25921.html#google_vignette

 彼らはICRPの放射線被ばく基準は守っているはずである。その値は福島の帰還困難区域の線量よりは十分低い。
 なぜそうなるのか。
 
 それは、ICRP被ばく基準が年間線量のみを想定し、太陽フレアのような瞬間的な被ばくを想定していないためである。即ち、瞬間的であるため、時間積分線量は非常に小さいが、時間的な線量率は非常に高い被ばくである。このような被ばく現象は、原爆や水爆、JCO事故などの核爆発事故でしか人類が経験してこなかった。

 しかし、高空を多くのヒトが飛び回る時代である。太陽フレアの爆発に晒される機会は増える。

 早急に実施するべきことはICRP被ばく基準(これが日本の被ばく関連規制にそのまま流用されている)に対する、時間線量率を考慮した見直しである。もともと、ICRPの基準は、広島・長崎の原爆による瞬間被ばくでのがん発生率を基礎データとしている。これを年間線量規制に流用したところに大きな齟齬があった。

 このままでは、福島ではがん発生は増加せず、東京から海外に行く人々のがん発生は増加することになるのである。このようなゆがんだ法規制体系は変更すべきである。

 高空では青空はどす黒くなる。それはヒトにとって危険な兆候ということになる。