量子コンピュータの解説が分かりにくいワケ2023年03月30日 06:28

 どこの解説サイトを見ても、量子コンピュータとは何なのか、読んでいるとますます分からなくなる。
 そのワケを考えるに、量子コンピュータとはまだ開発段階で、実用化もされず、形態や開発目標も定まっていないので開発者自体が量子コンピュータに対する概念をはっきり持っていないことにある。従って、解説も抽象的にならざるを得ない。

 そうはいっても、開発が進んでいるタイプに限れば、量子コンピュータはどのようなものかを理解できるだろう。今回、理研を中心とした開発チームが進めている、超 伝導型ジョセフソン接合タイプの量子コンピュータはどんなものか、下記サイトの論文で分析してみた。

 まず、前提として、量子コンピュータでは従来コンピュータのような2ビット素子による四則演算は出来ない。即ち、計算の汎用性はない。解ける問題は限られるのである。まるで昔々に抵抗とコンデンサー、コイルの組み合わせで作ったアナログコンピュータのように、電子回路と解ける問題には密接な相関がある。それで、理研もこのコンピュータを公開利用してもらい、どのような応用問題なら解けるのか、今後はどのようなソフトとハードを開発していけばよいのかという課題への答えを得ようとしているのであろう。

 ところで、この超伝導型ジョセフソン接合タイプの量子コンピュータについては、下記のふたつのサイトに開発者による詳しい解説があった。
https://www.google.com/url?sa=i&rct=j&q=&esrc=s&source=web&cd=&ved=0CAIQw7AJahcKEwiAmorWkIL-AhUAAAAAHQAAAAAQAg&url=https%3A%2F%2Fwww.jstage.jst.go.jp%2Farticle%2Foubutsu1932%2F69%2F11%2F69_11_1299%2F_pdf&psig=AOvVaw1ymFVp5TTBVsHb2fjaBUyR&ust=1680213322154290

https://www.google.com/search?client=firefox-b-d&q=%E9%87%8F%E5%AD%90%E3%82%B3%E3%83%B3%E3%83%94%E3%83%A5%E3%83%BC%E3%82%BF%E3%80%80%E8%B6%85%E4%BC%9D%E5%B0%8E%E3%80%80%E3%82%B8%E3%83%A7%E3%82%BB%E3%83%95%E3%82%BD%E3%83%B3%E6%8E%A5%E5%90%88

これらを我流に解釈すると以下のようになる。
(1)この量子コンピュータは半導体素子上にジョセフソン結合という回路を有する量子ビットと演算回路から構成され、量子ビットは複数(今回は64ビットらしい)有する。各ビットごとに、量子状態、即ち、その電子の量子レベルが基底状態か中間状態(量子もつれ状態)か励起状態かのいずれかに設定する。演算処理は各量子ビットに対し外部から信号系で操作し、その量子レベルを変える。
(2)演算が終了した状態で、各量子ビットの量子状態を観測するために、ユニタリー変換という演算処理を行う。各ビットに対して行い、そのビットが0(基底状態)なのか、1(励起状態)なのかを観測する。
(3)全量子ビットのビット状態を観測することで一連の量子計算の結果が分かる。

といったところである。

 問題は、量子レベルが不安定で、演算中に意図しないレベル変更が生じることである。これをノイズと称している。これが生じると演算結果は信用できないことになる。これを防ぐために、超低温にして、発熱による状態の不安定さを除去しようとしているが、演算処理には外部からの信号回路の接続が必要なので、ある程度のノイズが入る可能性を排除できない。これが最大の実用化上の課題になっている。

コメント

コメントをどうぞ

※メールアドレスとURLの入力は必須ではありません。 入力されたメールアドレスは記事に反映されず、ブログの管理者のみが参照できます。

※なお、送られたコメントはブログの管理者が確認するまで公開されません。

名前:
メールアドレス:
URL:
コメント:

トラックバック

このエントリのトラックバックURL: http://yokoyamashindo.asablo.jp/blog/2023/03/30/9573135/tb

※なお、送られたトラックバックはブログの管理者が確認するまで公開されません。