だんじり祭りは未舗装路で行うべきではないか?2023年10月21日 17:06

 また、だんじり祭りで犠牲者が出た。

 だんじりの屋台は江戸時代から変わっていないだろうが、屋台を引き回す道は大きく変わった。事故が起きているのはいずれも整備された舗装道路上である。

 その結果、引き回しの際の速度が江戸時代の2倍以上に速くなる。運動エネルギーが速度の2乗に比例するのは、江戸時代も現代も同じニュートンの法則に従っている。

 車を運転すればわかるが、砂利道では自動車も舗装道路の半分以下にならざるを得ない。車輪を用いるだんじりの屋台も同じだろう。即ち、江戸時代に比べ、現代の舗装路での屋台の速度は2倍以上、運動エネルギーは4倍以上になっている。死者が頻発するのも当然だ。

 伝統的な屋台の構造を変えたり、引き回しの人数を減らしたりすることは祭りの運営上難しいだろう。

 変えられるのは、引き回す道での速度が抑えられるよう、昔ながらの未舗装の凸凹道にすることだろう。伝統を守りたいのなら、多少の不便は我慢すべきである。後継者がいなくなるよりはましだろう。主催者は考慮してもらいたい。

ブルキニとトップレスのパラドックス2023年10月16日 07:38

CNNによれば、ドイツのプールではジェンダーフリーの影響で女性はトップレスが標準になったようだ。(確認はしていないが)
https://www.cnn.co.jp/world/35201212.html

一方、イスラム教徒はブルキニの着用を求められているので、トップレスとブルキニが同じプールで混在しているらしい。

その昔、知人の話では、ドイツのバーデンバーデンでは温泉は混浴で全員全裸だったらしい。日本でも酸ヶ湯に行けば同じようなものだが、銭湯では男女別浴であり、LGBTQの人々が悩むことになる。一方、スイスのバーデンでは全員水着を着て温泉に入っていた。

このようなバラエティは文化と宗教の混在が進む現代社会の特徴かもしれない。すべてを同時に解決することは困難だ。

そこでドイツのプール問題だけに絞り、ある女性は上半身裸で、ある女性は全身着用という混乱を解決する方法を考えた。

それは、男性も女性もLGBTQもすべて全身を覆う水着を着用することである。即ち、文化や宗教というものは性区分と分かちがたくつながっている。その区分の仕方が各文化、各宗教でそれぞれ異なるのだから、プールを男女区別してもLGBTQの人には新たな問題を与えることになる。それならば、性区別がつかないような水着を着るしかないのではないか。ドイツならそれだけの余裕があるような気がする。

19世紀ごろの西欧の海水浴写真を見ると男も上半身を覆う水着を着ていたのだから、現代でもできないことはない。

パレスチナ問題の解決策2023年10月12日 10:07

 戦争の原因は単純に言えば生存に対する危機感だろう。
現代では、これに、民族、国家、宗教が絡んで複雑極まりない。西欧も戦争に明け暮れた歴史を持つが、中東はさらに複雑だ。ただ、西欧は科学技術の発展が貧困に打ち勝つことができ、飢えから早めに脱却できた。
中東の混乱は英国の無責任な外交により、インド植民地と同じ発想でイスラエル建国を傍観し、パレスチナ難民を生んでしまったためであろう。米国政府はユダヤ資本との関係からイスラエルを支援し緊密な関係を築いてきた。
 しかしパレスチナのような高人口密度で歴史のある地域に近代国家を作るには、原住民を排除せざるを得ない。北米や、インドやオーストラリア、ニュージーランドならば少数の或いは無力な原住民を排除できただろうが、パレスチナではそうはいかなかった。
 まして、聖書とコーランという信じるものが異なるのだから、どちらも精神性が絡んだ聖戦ということになる。

 米英政府の支援でイスラエル国家の建国を支援し。維持しているのだから、中東紛争の第一責任は米英両政府にある。

 北米の原住民を保護しているように、まずはパレスチナ難民を保護すべきである。それが米英政府の贖罪の第一歩である。このままガザ地区へのイスラエル侵攻を認めるならば復讐の連鎖が続くだけだろう。

 そのためには、アフリカなどで行っている国連平和維持軍を早急にガザに派遣し、イスラエル軍とハマスの戦闘を仲裁することである。それだけの責任を米英政府は持つべきだろう。

 そして、長期的にはパレスチナ難民の生活環境の改善によるテロ活動の抑制と、パレスチナ国家の設立を支援すべきだ。

 米国の歴代大統領の中にはこのような政策をとってきたものもいたが、バイデン大統領は、無作為の罪を犯してきた。まるで、ジャニーズ問題に対するマスコミの対応と同じである。そして、長年の無作為により今回の事態を招いたのである。

 BBCもジャニーズ問題を取り上げるように、パレスチナ問題の原因と解決策を自国政府に提案すべきだろう。

 さらに、

 次いで、

ヨーロッパにおける人種差別経験2023年07月22日 16:07

 フランスでアルジェリア移民の青年が警察官に射殺され全国的な騒動になっている。
 
 どこの国でもそうだが、少数民族は差別の対象となり、それが時に国内騒乱の原因になる。

 フランスやドイツなど従来中部ヨーロッパでは白人比率が高いので肌の色での差別意識が時に強く出ることがある。
 アメリカでは人種問題は既に多くの事件を起こしてきたので、公式には差別がないことになっているが、ヨーロッパでは、まだまだ意識は低い国が多い。

 10年ほど前、南仏ニースでマチス美術館に行こうとして、バスに乗ったが、運悪く同系統の番号で逆方向のバスに乗ってしまった。そのバスは高級住宅街を通るので、セキュリティチェックがその入り口で行われた。バスに乗り込んできた警備員は、「フランス語を話せないやつはバスを降りろ」というのである。(なぜその言葉が分かったのか今では思い出せないが、雰囲気で言っていることが分かった。相手は武器を所持していた。)

 仕方なく、我々日本人数人と、アフリカからの難民らしい10人程度はバスを降り、大通りまで歩いて戻ったことがある。

 路線バスに乗る観光客はいないという前提で観光地ニースは動いていたのであろう。

 また、数年前にアムステルダムで市電に乗って観光していたら、警官が乗り込んできて、有色の若者を捕まえたことがあった。隣の席のご婦人に何があったのか聞いたら、「彼は不法移民らしい」との話である。彼女からは「あなたはここで働いているのか、それとも訪問者なのか?」と聞かれた。やはり、公共交通機関に一人で乗る他国人は警戒されるということのようだ。

 他にも、日本人がひとりで街を歩き、観光客でもビジネスマンでもないと見做された場合には、差別的な扱いを受けることがたまにある。それは、相手も一般市民の場合が多いように思う。

 理屈や理念では分かっていても、日本人でも差別的な状況はあり得る。まして、黄色人種が数人でヨーロッパに行く場合には、現時点でも注意して行動する必要がある。せめて現地語で普通に挨拶できる程度には語学を習っておくかそれなりの翻訳装置を持参したほうが良い。ヨーロッパはハワイとは異なるのである。

不快指数と暑さ指数、シーベルトの不快な関係2023年07月18日 05:16

 不快指数は日本気象協会のサイトで今でも報告されている。昔はよくテレビでも発表されていた。

その定義は、Wikipediaによれば、

 湿度を使用する場合、乾球温度(=気温)を T d (°C)、湿度を H(%)とすると、

0.81 T d + 0.01 H ( 0.99 T d − 14.3 ) + 46.3
 であり、

  65-70が快適、80-85で全員が不快、85以上は暑くてたまらない
 ということになっている。

 


 最近、環境省が発表している暑さ指数(WBGT、 Wet Bulb Globe Temperature)は、気温、湿度以外に輻射熱も考慮した指数で1950年代から米国では使わていたそうだが、

 屋外での算出式

  WBGT =0.7 × 湿球温度 + 0.2 × 黒球温度 + 0.1 × 乾球温度

屋内での算出式

  WBGT =0.7 × 湿球温度 + 0.3 × 黒球温度

となっている。

  ここで、黒球温度とは、

 「薄い銅板 (0.5mm) 製の中空の球体で、表面を艶消しの黒色仕上げとしたものの中心に温度計を差し込み平衡温度を測定した場合の温度」で、弱風時に日なたにおける体感温度とよい相関がある。

 一方、乾球温度は気温、湿球温度は乾湿温度計での湿球温度です。

 WBGT温度では

気温(参考) WBGT温度 運動指針
35℃以上     31度以上     運動は原則中止
31~35℃ 28~31度 厳重警戒
28~31℃ 25~28度 警戒
24~28℃ 21~25度 注意
24℃まで     21度まで     ほぼ安全

となっており、各地のWBGT温度は環境省のサイトで見ることができる。

 

 気になったのは、WBGT温度の単位である。環境省のサイトでは

「暑さ指数(WBGT(湿球黒球温度):Wet Bulb Globe Temperature)は、熱中症を予防することを目的として1954年にアメリカで提案された指標です。 単位は気温と同じ摂氏度(℃)で示されますが、その値は気温とは異なります。 暑さ指数(WBGT)は人体と外気との熱のやりとり(熱収支)に着目した指標で、人体の熱収支に与える影響の大きい ①湿度、 ②日射・輻射(ふくしゃ)など周辺の熱環境、 ③気温の3つを取り入れた指標です。 なお、当サイトにおいては気温との混同を避けるため、暑さ指数(WBGT)について単位の摂氏度(℃)を省略して記載しています。 」

となっている。即ち、正式にはWBGTの単位は℃なのだが、気温などの℃との混同を避けるため、
単位なしでWBGT温度などと記載せざるを得ない。

 これは、放射線の線量や被ばく影響などの線量を定義に関わらず、すべてシーベルト(Sv)で記載していることを連想させる。国際放射線防護委員会(ICRP)など放射線測定学会、業界、法令で使われている線量単位は定義に関わらず、Svなので混乱を生じているが、このことへの反省かもしれない。ICRPは米国の石油業界が原子力の普及を抑えるために設立支援したとも聞いているので、混乱は承知の上なのかもしれない。因みに、線量関係の定義には以下のようなものがある。

防護量
 等価線量(Sv:シーベルト) 人の臓器や組織が個々に受ける影響を表す。
 実効線量(Sv:シーベルト) 個々の臓器や組織が個々に受ける影響を総合して全身への影響を表す。

実用量
 周辺線量等量(Sv:シーベルト) 
 方向性線量等量((Sv:シーベルト) 
  環境モニタリングにおいて用いられる防護量の近似値
 個人線量等量((Sv:シーベルト) 
  個人モニタリングにおいて用いられる防護量の近似値

 これも環境省のサイトに表示されているものである。これらが、すべてSv単位で語られているのである。福島の年間1ミリシーベルト制限はどれなのか、どのマスメディアも明らかにはしていない。
このような混乱を放置して、無用な混乱を招いているが、不快極まりない。
その不快指数はどのような単位になるのだろうか?笑い事ではすまされない。

千賀投手の背番号はあの34だ!2023年07月12日 09:01

 MBAのオールスターで選ばれたメッツの千賀滉大投手の背番号をテレビでみて、思い出した。
あの不滅の伝説の投手、金田正一と同じ34なのである。
 もちろん意識して選んだのだろう。
 金田投手も草葉の陰で喜んでいるに違いない。

 野球の力は偉大だ。

アルメニアとプリゴジンの誇り2023年06月25日 05:13

 数年前、モスクワに滞在したときに、路上でアルメニアへの派兵への参加を呼び掛けるポスターをよく見かけた。これは、当時から続いていたアルメニア(ロシアが支援)とアゼルバイジャン(宗教的な繋がりからトルコも支援)の紛争における兵士募集のポスターだった。両国とも旧ソ連の共和国であり、両国の紛争を抑えることは、ロシアの義務と見なされていたのだから、派兵せざるを得ない。しかし、なぜか、そのポスターには、自衛隊のポスターとは異なり、連絡先の住所もない。電話番号だけなのである。アルメニアという大きな文字と兵士の姿だけが目立つデザインなのである。

 当時から、すでに、ロシアの徴兵制は破綻していたようだ。それがこのようなポスターに現れていた。想像するにあのプリゴジン率いる軍事民間会社ワグネルがとして、アルメニア紛争に対応していたのだろう。それが、プーチンのロシアが経済発展と旧ソ連の名主の地位を両立するための方法として選択したものだった。

 そして、ワグネルは上手くアルメニア-アゼルバイジャン紛争を鎮め、現在の一見平穏な状態に収めている。これはワグネルのトップであるプリゴジンの手柄ともいえる。

 ロシア人は特に名誉を大切にする国民である。その特性が、国民の間で、バッジ蒐集の趣味が一般的なことに現れていると以前ブログに書いた。しかし、プリゴジンがその手柄に対する褒賞として名誉ある褒賞、その印である徽章を得たというニュースはなかった。

 同じく、旧ソ連の構成国であったウクライナとロシアの紛争が今回の戦争である。プーチンはプリゴジンの助言を受けることなく、ショイグ国防相とその取り巻きだけと相談してウクライナに侵攻し、今回の膠着した状態を引き起こしてしまった。

 プリゴジンは愛国心からワグネルの派兵部隊を結成し、ウクライナに派兵したが、ロシア正規軍とぶつかるのは、誇り高き国民性から当然の成り行きだった。今回のワグネルのクーデター擬きは当然の帰結であり、今後もプーチンは枕を高くして眠ることはできないだろう。

 ロシアのあるホテルは地下通路でクレムリンと繋がっているらしい。今頃、プーチンはその通路の再点検を命じているのかもしれない。

最も怖い天災2023年06月19日 11:24

先ごろ、地震が滅多に起こらないと思われていたフランスでM5級の地震が起こり、多くの家が倒壊したとのニュースがあった。

 地球はどこでもなんでも起こりうるということだろう。

 地震雷火事親父とはよく言ったものである。現代の親父はプーチン大統領ではないだろうか。勝手に怒って多くの市民と財産を犠牲にしている。

 ここでは、それとは関係のないもっと怖い天災としての小天体の地球への衝突を考えてみる。

 年間10個程度は地球に隕石が落ちてきているらしい。その中には、数年前にシベリアに落ちた100kgレベルの隕石もあるし、恐竜をほぼ絶滅させたという巨大隕石もある。

 NASA等はそのような事態を検知するため、観測を続けているが、実際に小天体が衝突すると予測された場合、どのようなシナリオがありうるだろうか。

 小天体といっても大きさも重さも発生源もさまざまである。大部分は大気との摩擦でもえてしまうのだが、地表まで到達するものも確率的にはそれなりにあるので隕石が見つかるということになる。

 従って、対応シナリオといっても、どのようなサイズのものがいつ頃落ちてくるのかを分類して議論するべきだろう。

 やはり、恐竜を絶滅させたような巨大隕石が予想された場合が、最悪シナリオである。
 地球はしばらくは全面核戦争以上の運動エネルギーを受けた結果、高温状態になり、大気も殆ど失われることになる。地上にいても、地下であったも人類はほぼ死滅するだろう。恐竜も小型の鳥以外は生き延びられなかったのである。

 ここで参考になるのは、小松左京のSF「復活の日」である。映画でしかこのSFは知らないが、この映画では、人類をほぼ絶滅に追いやったのは生物兵器である致死性ウイルスである。それを積載したジェット機の墜落により世界中にウイルスが拡散し、隔離された南極越冬隊のみが生き延びることができたというシナリオである。

 このシナリオを小天体衝突に当てはめると、現在の国際宇宙ステーション(ISS)に滞在する宇宙飛行士が南極越冬隊員に相当する。従って、ISSの飛行士は常に複数の男女である必要がある。これらの男女は、映画のオリビア・ハッセイと草刈正雄よろしく、男女の情を抑えて、多くの子孫を生産する義務を負う。
 地上に残された我々は、その支援を最後の日まで続ける義務を負う。分かりやすいシナリオである。

 その次に分かりやすいシナリオは影響が機微な通常の隕石レベルの小天体である。
 ある程度の確率で人や家屋に衝突するが、運が悪いとあきらめてもらうしかない。

 そして、最も分かりにくく争いになりそうなのが、その中間のレベルの小天体である。

1910年のハレー彗星接近では、フランスの天文学者の説により、地球の空気が失われるといううわさが流れ、大パニックになったそうだ。天文学の重要性が分かる逸話である。現代では、次回のハレー彗星接近でこのような間違いはないだろう。

 高性能の観測が整備されている現在、最も怖いのは、未発見の小天体が突然現れ、その小天体との衝突が避けられないということが数日~数年前に分かった場合である。数日前なら原爆シェルターか地下街に避難し、後は運を天に任せる以外にないだろう。その時点で地球のどの地点に落ちそうか分かれば、それ以外の土地や海上にヒトが押し寄せ、大混乱になるだろう。しかし、死者数を抑制するという意味では、高精度の軌道予測は重要である。

 結構対応が難しいのは、数年前にかなりの大きさの小天体の衝突が予測された場合である。衝突日は分かるだろうが、それまでのタイムスケジュールの中で、大混乱が予測される。その中身は、国際関係や国の存立を揺るがすものになるだろう。ある程度、落下位置が分かり、それが仮に日本だったとすると、再度、小松左京のSF「日本沈没」が参考になる。日本から大陸に避難しようと大勢の日本人が中国や韓国に渡ろうとするが、それまでの歴史的な問題から、入国を拒否されるのである。今、日本国は難民認定を厳しく制限しているが、このような状況が生じることを想像すれば、せめて世界の標準レベルの難民政策をとるべきだろう。

 即ち、宇宙の小天体衝突というような、非現実的とも思える状況というものが、現在国会で審議されている身近な法律問題に直結しているものであるということを再認識すべきだろう。

ドニプロ川カホフカダムは誰が破壊したのか?2023年06月10日 04:42

 カホフカダムの破壊工作については、Wikipediaによれば、すでに昨秋からウクライナ、ロシア双方から、相手が破壊することに対する警告がされている。

また、BBCによれば
 https://www.bbc.com/japanese/features-and-analysis-65830004
にあるように、旧ソ連が、ドイツ軍の進撃を阻止するためにドニプロ川のダムを破壊した実績がある。

 それほど、このダムの破壊が戦略的価値がある大きな出来事なのである。ウクライナの反攻を止める簡単な方法である。一方、ロシアにとっては、クリミア半島の給水が止まるという長期的な不利益がある。それは昨秋のロシア側の警告の理由でもある。

 実は、あるロシアの元KGBから聞いた話だが、モスクワは世界中の海と水路で繋がっているそうである。確かに、モスクワ近辺の地図をよく見ると、運河が縦横に周辺の川と連携しており、ドニプロ川にもドニエプロ側にもアゾフ海にも水路で到達することができる。

 プーチンにとっては、クリミア半島の農民が灌漑用水が無くて困ったとしても、今回のウクライナ反攻を阻止できれば、一帯の水路を支配でき、最終的にクリミアも支配下におけるのだから、旧ソ連時代のやり方をもう一度繰り返せばよいと思ったであろう。

 何しろプーチンもKGBの将校だったのだから、旧ソ連のやり方は十分承知しているはずだ。戦争で自国の民衆の犠牲のもとに戦局を有利に進めようとするのは、世界の常識だろう。



 ところで、ザポリージャ原発6号機の冷却問題だが、ドニプロ川の水位が下がれば、冷却は困難になる。昨年9月11日に停止したそうだが、その後の崩壊熱はどの程度だろうか。
長時間照射軽水炉燃料の、炉停止後9か月目の崩壊熱は、定格時に比べ、0.05%程度である。
ザポリージャ6号は熱出力が約3000MWだから、現在の崩壊熱は約15MWである。まだ自然循環では除熱出来そうもないが、非常用電源設備が生きていれば十分除熱可能だろう。運転員の頑張りに頼らざるを得ない。

チャールズ三世戴冠式と皇室の微妙な関係2023年05月07日 05:28

 チャールズ三世の戴冠式を見ながら考えた。

 イギリスも日本も立憲君主制ということになっている。表現の自由も建前上は保障されている。しかし、両国の王室はどうしてこんなに違うのか。

 思い出すのは、5年ほど前にモスクワに旅行した時のことである。クレムリン近くのホテルの窓から見えたモスクワ川に沿って並ぶ数千の人々の行列の光景を見て、国家とは、国民とは何かを考えさせられた。

 彼らは、モスクワ川沿いに建つロシア正教会本部のミサに参列するため近郊から集まってきた民衆である。待ち時間が長いので、多くの仮設トイレが堤防上に設置されている。半世紀の共産主義政権の弾圧にも拘わらず、ロシア正教が民衆の心の中に生き延びていたということである。毎朝、クレムリン近くでは、教会からの大きな鐘の音が響き渡る。

 ソ連崩壊後は、その宗教を今度はプーチン政権が国家統一のための道具として利用しているという構図である。プーチンはロシア正教会との連携の上で、ウクライナに侵攻したのがニュースを見ていてよくわかる。

 もう一つ印象的だったのは、赤の広場を散歩しつつ、レーニン廟を見ていた時のことである。一人の青年が、観光客も多い中、レーニン廟の前でプラカードを掲示し始めた。その瞬間、どこからともなく、ミニパトが現れ、その青年をミニパトに押し込み連れ去った。その間、1分もかからない。青年は一言も発することなく、抵抗もしなかった。

 言論の自由が奪われているということはこのような状態なのだろう。
 中国では、経済発展の中で、国民の意見は政治にどう反映されているのだろうか。かつて、作家小田実は、「中国に自由は無くなったかもしれないが、飢餓も無くなった。」とベストセラーの中に記した。しかし、飢餓が無くなった状態では、政治に縛られない自由を求めるのが人間なのだろう。食料が豊富でも、精神的に抑圧された中で生活することは辛いことなのである。

 世界国家や国連が幻想である以上、我が日本もこのような国家と個人の関係をどうするかに無関心ではいられない。何らかの国民統合のシステムが必要なはずである。

 しかし、日本には、星条旗も、ロシア正教会のような宗教も、共産党独裁政権もない。それでどういう精神的な国民統合のための支柱がありうるのだろうか。
 
 日本には共和制に耐えられるだけの知性が育っているのだろうか。フランスのような共和制は、激しい混乱を生じかねない。彼らは数度の革命により、現在の個人の尊重による共和制と大統領制を獲得してきた歴史がある。多くの日本人はそのような個人主義社会に耐えられるだろうか。

 残念ながら、宗教心も薄く、個人主義にもなじめない現在のにほんでは、暫くは天皇制を国民統合のシステムとして政治利用をするしかないというのが私の結論である。

 少なくとも、半数以上の日本国民は天皇制に反対はしていない。それは、長い歴史と伝統の力もあるだろうが、歴代の天皇の人柄、行動が多くの日本人に尊敬され続けてきたということが非常に大きいと思う。

 イギリス王室の現状はその逆で、エリザベス女王はともかく、他の王族は一般民衆と同じレベルのように見えてしまう。それは情報化社会における民主主義制度の帰結だろう。

 我々はテレビを通し、イギリス王室の現状を対岸の火事のなかで荘厳な慈雨が降っているのを見るかのようにイベントとして楽しんでいる。しかし、参列された秋篠宮御夫妻は、ヘンリー王子の挙動をどうご覧になったのか、そして、チャールズ三世の様子をどう感じたのか。

 戴冠式のチャールズ三世の様子を見ると、上皇が、早期に引退し、今世天皇に引き継いだのは非常に良い判断だったと思う。そして、日本の皇室が、秋篠宮家に対する週刊誌記事などの影響を受け流し、少なくとも上手くやっているように見えるのは国民にとって大きな幸運である。
 
 今後も女性天皇など後継問題など、皇室存続における大きな壁が生じるだろうが、イギリスのような王室分裂状態にならないよう、皇室全体で国民の尊敬を獲得し続けられるよう知恵を出していただきたい。マスコミも、イギリスのタブロイド判の真似はせず、共和制に代わる唯一の方策である立憲君主制維持のための知恵を出してもらいたい。それが、80年近くも平和を維持してきた日本が分断されずに生き延びる唯一の方法なのだから。