がん治療と原爆、宇宙線被ばくの関係2023年11月23日 07:16

 前立腺の放射線治療では最大60シーベルト受ける。
 広島原爆の生存者の被ばく量は最大4シーベルトで、放射線影響で固形がんが数倍増加した。

 では、前立腺がんの放射線治療でがんが治るのはなぜか?
一見、大きながんパラドックスがあるように見える。

 しかし、免疫機能は「細胞内の化学変化過程で十分機能するには一定の時間が必要である」と考えれば謎は解ける。
 原爆は瞬間(1ミリ秒以下)での大量被ばくだが
 一方、放射線治療の被ばく時間は数時間レベルである。
原爆のような強烈な放射線発生装置はいまだにないのである。

 両者の単位時間当たりの被ばく量にはおよそ6桁の差がある。

 放射線治療では、がん周辺の正常細胞部では免疫機能が残っているのでがん化しにくい。しかし、がん細胞部ではがん抑制遺伝子が失われている上に、増殖のための細胞分裂が正常細胞に比べけた違いに活発になっている。細胞分裂が活発だと、DNAがほどけて一本鎖になる不安定な期間が長くなり、放射線被ばくで損傷するため、がん細胞が優先的に死滅する。

 原爆では、瞬間被ばくであり、過去人類が経験した事がなかったため正常細胞であってもがん抑制遺伝子などによる免疫機能が時間的に間に合わず、がん細胞に変化したまま残ったのである。

 ICRPはこの原爆被ばく生存者のがん発生実績調査を主たる根拠として、年間被ばく許容限度を決めた。
 これは、1ミリ秒と1年を同じ時間だと考えているに等しい。マウスなどで急速照射をしていると称してはいるが、原爆の瞬間被ばくを模擬しているとは言い難い。

 そこで気になるのが、最近増えているCAにおける乳がんなどの発生数増加である。その原因は、従来、宇宙線の恒常的な被ばくと考えられているようだが、そうではないはずである。それは、年間数回発生する太陽フレア(太陽表面黒点での核融合反応の異常増大)発生における初期のインプレシブ相におけるX線の急激な増加による瞬間被ばくの影響と考えられる。これは成層圏における太陽の核融合反応による水爆被ばくに相当する。

https://iopscience.iop.org/article/10.3847/0004-637X/818/1/56
のPDF図2、図3)

黒点の大きさは地球の数倍になるので、この瞬間的に発生する大量の宇宙線はほぼ平行ビームとして飛行機の搭乗者を襲う。そして、運悪くこの瞬間に飛行機に搭乗していたCAの乳房(旅客も同じだが)はがん細胞を生じることになる。

 このような宇宙線はジェット機や宇宙ロケット以前には、地上に生活して、大気の宇宙線遮へい(約3桁下になる)の恩恵を受けていた人類は受けた経験がない。

 原爆被ばく者のがん発生データでも女性の固形がん発生率は男性より2倍程度多い。これはパイロットよりも特にCAにがん発生が多いことと符合している。

 即ち、ICRPは年間被ばく量や3か月単位被ばく量で規制しているが、このような瞬間被ばくは規制対象となっていない。これが福島の規制(1~20ミリシーベルト/年)と放射線がん治療(最大60シーベルト)のレベルがけた違いでになっているというがんパラドックスを含むすべての放射線規制問題の不整合の原因である。

 なお、上記仮説における瞬間被ばくにおける男女差について、理由づけるとすれば、人類が発生して以来、200万年ほど、男性は狩猟で大量の太陽光線を浴びる傾向があったが、女性は森の中で子育てに時間を掛けていたために太陽フレアに対する免疫性がそれほど獲得できなかったという状況も考えられる。

関東大震災時に台風が来ていたのは偶然か?2023年09月02日 14:24

 先ほどテレビ朝日で関東大震災での火災拡大には当時の台風が大きく影響したとの報道がされていた。

 半世紀前、蔵王山中で、東北大理学部の研究員が火山性地震活動と気圧変動の相関を調査していたが、低気圧による火山活動変動があるのならば、台風による地殻変動影響も考えられる。

 数年前、駿河湾に大型台風が上陸したその直後に、千葉県南東沖で震度4の地震発生があり、この相関がある程度の確率であるのではないかと思った。敦賀湾では高波発生で地殻への圧力は高かっただろうが、千葉付近では高波がなかったので地殻への負圧が生じていた可能性がある。

 阪神大震災も関西国際空港開港数年後に発生したが、大阪湾では断層が関空島で止まっていたらしい。これも関空島の近くへの局所的な圧力が影響しているのではないだろうか。

 このような単純な地殻への圧力変化と地震発生の相関はどこかで今も研究しているのだろうか。東北大が今後研究資金を潤沢に使えるのであれば、理学部での上記研究を拡大して実施してもらいたいものだ。

ネットリンク書籍は可能か?2023年08月28日 09:50

 ここでいうネットリンク書籍とは、本の内部にurlやQRコードが書かれている書籍のことではない。書籍の印刷された文字をタッチ或いは読みあげることで、その関連リンクが目の前のIT機器(パソコンでもスマホでもいい)に表示されるような書籍である。

 実際、何か難しい内容あるいは記憶力が必要な内容の情報を系統的に理解する(即ち高度な学習)のためには、ITよりは書籍のほうが楽である。書き込みもできるし、目にも優しい。ITで読むと、その時は理解した気になるが、復習ができない。簡単には目的の個所にたどり着けない。書籍なら、ページをくくるだけなので簡単だ。IT機器を起動して目的の個所を検索するのが面倒なのである。

 しかし、書籍での最大の問題は、どこかを読んでいて、わからない単語があるとその検索が大変なことである。索引を見てそこのページにたどり着ければまあ良いが、索引に出ていないことも多い。教科書などは索引自体がないことも多い。

 このような、ネット記事では簡単にリンク先を見つけられるシステムが紙の書籍でできれば、最高である。今のところ、可能性としては、主要なキーワードに小さなQRコードを付けて印刷し、スマホでそのQRコードを読み取ってスマホ又はパソコン画面にリンク先を表示するシステムである。

 即ち、Googleレンズを用いて、書籍に印刷されたurlをIT機器を通してリンクする方法に似ている。この場合、urlが読書の邪魔になるが、QR
コードが気にならないほど小さければ、通常の読書の邪魔にはならないだろう。

 さらに進んだ方法としては、音声認識ソフトを用い、今読んでいる書籍の番号をあらかじめ登録しておき、読んでいる途中で、わからない単語が出てきたらその単語にリンクされた結果がIT機器に表示され、あるいは音声で回答されるようなシステムである。

 このようなシステムとリンクした紙の書籍ができたら、現在の出版業界、書店業界の復興に寄与するのではないだろうか。学習の効率も大幅に向上するはずである。

太陽フレアの本当の怖さ2023年08月23日 03:50

江戸川区のサイト
https://www.city.edogawa.tokyo.jp/e007/bosaianzen/bosai/oshirase/taiyou-furea.html
によれば、地球への影響は、

携帯電話やテレビなどの放送が視聴不可
カーナビゲーションシステムの機能不全
電力設備で誤作動が起き、広域停電の発生
等とされている。

 しかし、図をよく見れば、太陽フレア発生後8分後にX線や電磁波が最初に地球に到達することが分かる。これはインパルシブ相と呼ばれ、光と同じ速度で到達するので、事前の予測ができなければ、その被ばくは防ぎようがない。

 現在、宇宙天気予報などと騒がれてはいるが、太陽フレアの発生頻度が11年周期であることなどが分かっているだけで、正確な発生日時が予測できないのは台風の発生日時が事前よそくできないのと同じである。即ち、現在の宇宙天気予報では、太陽フレアを地球で観測した後の放射線による影響の身を対象としてその影響が予報できるだけである。

 (この図の放射線は、陽子や中性子などの素粒子、プラズマは荷電粒子や電子と称している。これらは、電磁波よりも遅れて地球に到達する。即ちX線や電磁波は光の速度で到達するので、その発生は、発生日時の正確な事前予測ができなければ、X線の被ばくは防ぐことが不可能である。)

 特に上空にいるヒトは、地球大気による遮へい効果の恩恵を受けられないので、X線をもろに被ばくすることになる。

 天文学事典 図8-17によれば、このX線は硬X線(高エネルギーX線)なので、上空のヒト(飛行中の旅行者、パイロット、CA等)はかなりの被ばくを受ける。

 パイロットは太陽フレア発生時に飛行していたことが分かると、所謂勤務調整を受けるので、年間平均被ばく量はそれほど増加しない。問題は頻回旅行者やCAである。米国ではCAの乳がん発生率が一般人の1.5倍であることが報告されている。

https://www.arpansa.gov.au/cancer-prevalence-among-flight-attendants-compared-general-population

 このインパルシブ相は太陽における核融合爆発から発生する高エネルギーX線被ばくであり、広島・長崎の原爆爆発によるガンマ線被ばくと同じものである。(ガンマ線は核分裂生成物から発生する高エネルギー電磁波、X線も高エネルギー電磁波であることに留意)

 2025年は平均年数回発生する太陽フレアの頻度増加の次回ピーク年に当たる。広島・長崎の被ばく者のがん発生増加が観察されているように、今後も頻回飛行機旅行者やCAにおけるがん発生の増加がみられるだろう。

 インド南西部やブラジルの一部などの地上での「年間」線量は、事故後の福島東部の「年間」線量よりも一桁高いが、がん発生率は世界平均を下回っている。
 一方、「単位時間線量率」(1秒あたりの被ばく線量率)は、太陽フレア発生時にCAが受ける「単位時間線量率」の約5桁程度下であると見積もれる。広島・長崎の被ばく者が受けた「最大単位時間線量率」もCAが太陽フレア発生直後に受ける「最大単位時間線量率」と同程度であると考えられる。

 アルコールの一気飲みの害と年間アルコール摂取の害(量に依っては益)を一緒にすることは大きな誤解を生むが、どのマスコミも政府(放射線安全規制検討会等)も国際放射線防護委員会(ICRP)もきちんとその差を認識していない。これは免疫学の知識の不足によるものではないだろうか。

高度を下げれば太陽フレア被ばくリスクは避けられるのか?2023年08月18日 04:42

https://www.kyoto-u.ac.jp/sites/default/files/2021-08/20210902-yamashiki-775a07a81c9971d9973e87661b5ba0a1.pdf
によれば、航空機の巡航高度を現在の12キロメートルから9キロメートルにさげることで、太陽フレアによる危険な線量率(80μSv/h)の被ばくを避けられるらしい。

 しかし、問題はこの線量率の設定である。これは過去の巨大な太陽フレア発生時の「地表レベル」での線量率から評価したものである。

 一方、天文学事典図8-17では、太陽フレア発生時の詳細な観測結果として、インパルシブ相と称するフレア爆発の初期において、硬X線(高エネルギーX線)の1分程度の幅のピークがみられる。この線量率変化は秒速で変化する大きな値である。この初期ピークにおける線量率変化が上記80μSv/h(80μSv/時間)の制限では考慮されていない。これは、単位時間幅が3600倍(時間と秒の比)も異なることから明らかである。

 X線は大気層で3桁以上の減衰を受ける。

 上空ではこの硬X線のインパルシブ相における高線量率被ばくが地表の数千倍になり得る。これが、CA等の乳がん発症の主要因ではないかと考えられる。

 上記論文に関しては、この効果も含めて基準を見直してもらいたい。高度12キロから3キロ下がった程度では、空気によるX線遮へい効果には大差はないのである。

放射線によるヒト細胞の新陳代謝活性化条件2023年08月15日 05:18

 ある大学OB会誌に紹介されていた下記論文にはある意味で驚くべき結果が示されている。

https://journals.plos.org/plosone/article?id=10.1371/journal.pone.0199117

この論文での結果には、
「低線量 によって引き起こされる遺伝子発現の変化を調べるために、0.1 Gy の X 線に曝露し、その後 24 時間培養したヒトの U937 細胞のマイクロアレイ分析を実施した結果、試験管内のU937細胞におけるCARD9、HIST1H2BH、およびmir4497遺伝子の発現が増加(1.8倍以上の変化)する一方、減少を示す遺伝子は存在しなかった。」
と記載されている。
これらのヒト遺伝子(CARD9、HIST1H2BH、およびmir4497遺伝子)がタンパク質活性化に関わるものだそうで、新陳代謝の活性化のためのものである。

 この0.1Gy(100mGy)という放射線量は、一般人のガンマ線被ばく制限規制値1mSv/年の100倍、福島立ち入り制限地区設定値の20mSv/年の5倍である。
 (Gy値とSv値はガンマ線、X線では同じ値となる。ガンマ線は放射性物質からの放射線、X線は加速器などからの放射線であるが同じ電磁波である。)
即ち、一般人制限値の100倍被ばくしたほうが新陳代謝は活性化するということになる。

 この論文での照射した時間条件など詳細は不明だが、1年はかけていないだろう。即ち、がん治療などと同様の数時間程度の短時間照射による結果である。

 一方、福島など現規制値の元となっているICRP(国際放射線防護委員会)の基準値は、広島・長崎の原爆被ばく者の健康データから設定しているが、低線量領域(200mGy以下)での放射線影響は明確になっておらず、300mGy以上の高線量被ばく者データを単に0に外挿した値を用いているに過ぎない。

 原爆でのガンマ線照射時間は1ミリ秒以下の瞬間被ばくである。このような瞬間被ばくでの影響と数時間又は1年間のゆっくりした被ばくを同一視して設定していることに大きな問題がある。

 上記論文の研究者には被ばく時間を数秒レベルにした場合での影響の検討もしてもらいたいものである。

 なお、8月8日午後のTBSーBSの放送で「原爆直後に広島に入ったKGBの職員が放射線障害で死んだ旨ロシアの歴史学者がコメントした」そうだが、2022年8月9日 18時10分の朝日新聞デジタルの記事では、「最初にソ連のスパイ2人が広島、長崎に入ったのは1945年8月16、17日だ。日本の敗戦が発表された翌日で、原爆を投下した米国の調査団よりはるかに早い時期だった。
 うち1人は被爆地で残留放射線を浴びたためか、急死した。2人は報告書を当時のソ連の最高指導者スターリンらに上げたとされるが、現在は所在不明だ。」
 となっていて、死亡原因は不明である。おまけに他の一人は死んではいなかったということになる。
 このようにTBSは事実誤認したらしい歴史学者のコメントで、放射線影響の誤報を行ったのではないだろうか。朝日ですら正確に記載しているのに。
 これも瞬間被ばくと長時間被ばくの影響を混同しているためだろう。彼らはアルコールの一気飲みと通常の飲酒の影響の区別も同様につかないのかもしれない。

最も怖い天災2023年06月19日 11:24

先ごろ、地震が滅多に起こらないと思われていたフランスでM5級の地震が起こり、多くの家が倒壊したとのニュースがあった。

 地球はどこでもなんでも起こりうるということだろう。

 地震雷火事親父とはよく言ったものである。現代の親父はプーチン大統領ではないだろうか。勝手に怒って多くの市民と財産を犠牲にしている。

 ここでは、それとは関係のないもっと怖い天災としての小天体の地球への衝突を考えてみる。

 年間10個程度は地球に隕石が落ちてきているらしい。その中には、数年前にシベリアに落ちた100kgレベルの隕石もあるし、恐竜をほぼ絶滅させたという巨大隕石もある。

 NASA等はそのような事態を検知するため、観測を続けているが、実際に小天体が衝突すると予測された場合、どのようなシナリオがありうるだろうか。

 小天体といっても大きさも重さも発生源もさまざまである。大部分は大気との摩擦でもえてしまうのだが、地表まで到達するものも確率的にはそれなりにあるので隕石が見つかるということになる。

 従って、対応シナリオといっても、どのようなサイズのものがいつ頃落ちてくるのかを分類して議論するべきだろう。

 やはり、恐竜を絶滅させたような巨大隕石が予想された場合が、最悪シナリオである。
 地球はしばらくは全面核戦争以上の運動エネルギーを受けた結果、高温状態になり、大気も殆ど失われることになる。地上にいても、地下であったも人類はほぼ死滅するだろう。恐竜も小型の鳥以外は生き延びられなかったのである。

 ここで参考になるのは、小松左京のSF「復活の日」である。映画でしかこのSFは知らないが、この映画では、人類をほぼ絶滅に追いやったのは生物兵器である致死性ウイルスである。それを積載したジェット機の墜落により世界中にウイルスが拡散し、隔離された南極越冬隊のみが生き延びることができたというシナリオである。

 このシナリオを小天体衝突に当てはめると、現在の国際宇宙ステーション(ISS)に滞在する宇宙飛行士が南極越冬隊員に相当する。従って、ISSの飛行士は常に複数の男女である必要がある。これらの男女は、映画のオリビア・ハッセイと草刈正雄よろしく、男女の情を抑えて、多くの子孫を生産する義務を負う。
 地上に残された我々は、その支援を最後の日まで続ける義務を負う。分かりやすいシナリオである。

 その次に分かりやすいシナリオは影響が機微な通常の隕石レベルの小天体である。
 ある程度の確率で人や家屋に衝突するが、運が悪いとあきらめてもらうしかない。

 そして、最も分かりにくく争いになりそうなのが、その中間のレベルの小天体である。

1910年のハレー彗星接近では、フランスの天文学者の説により、地球の空気が失われるといううわさが流れ、大パニックになったそうだ。天文学の重要性が分かる逸話である。現代では、次回のハレー彗星接近でこのような間違いはないだろう。

 高性能の観測が整備されている現在、最も怖いのは、未発見の小天体が突然現れ、その小天体との衝突が避けられないということが数日~数年前に分かった場合である。数日前なら原爆シェルターか地下街に避難し、後は運を天に任せる以外にないだろう。その時点で地球のどの地点に落ちそうか分かれば、それ以外の土地や海上にヒトが押し寄せ、大混乱になるだろう。しかし、死者数を抑制するという意味では、高精度の軌道予測は重要である。

 結構対応が難しいのは、数年前にかなりの大きさの小天体の衝突が予測された場合である。衝突日は分かるだろうが、それまでのタイムスケジュールの中で、大混乱が予測される。その中身は、国際関係や国の存立を揺るがすものになるだろう。ある程度、落下位置が分かり、それが仮に日本だったとすると、再度、小松左京のSF「日本沈没」が参考になる。日本から大陸に避難しようと大勢の日本人が中国や韓国に渡ろうとするが、それまでの歴史的な問題から、入国を拒否されるのである。今、日本国は難民認定を厳しく制限しているが、このような状況が生じることを想像すれば、せめて世界の標準レベルの難民政策をとるべきだろう。

 即ち、宇宙の小天体衝突というような、非現実的とも思える状況というものが、現在国会で審議されている身近な法律問題に直結しているものであるということを再認識すべきだろう。

太陽光パネルが発熱源になる可能性の検討2023年06月12日 11:41

 田舎のほどほどのサイズの山林が無価値で放置されているので、周囲の土地に倣って、メガソーラーにならないかと調べてみたが、どうも億単位の投資が必要になるらしい。残念ながら諦めた。
 そのついでと言っては何だが、本当に太陽光発電が環境に良いのか再検討してみた。それも良く言われるパネルのリサイクル問題ではなく、エネルギー収支そのものの話である。

 太陽光は地球に吸収されるが、それがすべて熱エネルギーになる訳ではない。地球が反射し、宇宙に逃げていく分もある。地球温暖化に関し、地球の熱収支がどうなるのかはかなり微妙な問題らしい。

 ここでは、山林を削り、太陽光パネルで発電した場合の熱収支について検討してみたい。太陽光パネルの熱効率(電気への変換効率)は90%程度はあるらしい。即ち、殆どの太陽光を電気エネルギーに変換できることになる。一方、電気エネルギーになったエネルギーは送電ロスが場所にもよるが10%はある。これは全て熱として送電系から大気や地面に放熱される。家庭や工場、電車などで使われる電気はこれまた機械の摩擦エネルギや電線内の抵抗により最終的に熱エネルギに変換される。エネルギー保存則が正しければ、太陽光パネルで吸収された太陽光エネルギーは基本的に熱エネルギーとなってしまう。これは地球を暖めるということではないだろうか。

 翻って、山林のままだったとする。山林というのは殆どが木と下草から構成されている。それらは、所謂植物である。(動物もたまにはいるが無視する。)植物は殆どが光合成反応により細胞分裂し、成長する生物である。即ち、太陽光エネルギーを物質に変換する機能を持つ。この変換効率はどの程度なのか、無学で分からないが、少なくとも0%ではありえない。例えば50%と仮定すれば、地面への熱放出は残りの50%であるはずだ。

 これを太陽光パネルの熱エネルギ放出と比較すれば、明らかに山林を太陽光パネルにすることで地球にその時点で吸収される熱エネルギーは50%程度は増えてしまうということになる。

 ゆくゆくはその増殖した山林も燃やすことで熱にはなるとは思うが、少なくとも短期的には山林を削って作った太陽光パネルは地球を温暖化する方向に働くはずである。

 このようにして、私は田舎のヤマのメガソーラー化を諦めたことに対する正当性を理由づけることに成功した(ことになっている)。

被ばく量とがん発生率の相関関係の謎2023年06月11日 16:10

二つの放射線被ばく量とがん発生率に関する論文がある。

一つは英国原子力作業従事者のがん発生率に関する論文で

https://www.google.com/url?sa=t&rct=j&q=&esrc=s&source=web&cd=&ved=2ahUKEwi72KCkjbL_AhWB0mEKHUPHDlAQFnoECA0QAQ&url=https%3A%2F%2Fwww.rea.or.jp%2Fwakaruhon%2Fhonbun%2FNo12honbun.pdf&usg=AOvVaw1YAUV1yMHamGbobK562fDZ

まとめとして、
「英国では原子力施設で働く放射線業務従事者について、死亡原因
と放射線被ばくの関係を調べるための調査を行っています。(この
ような統計的調査を一般に疫学調査といいます)放射線業務従事者
約10万人を調査対象としており、1945年から1988年まで
の調査では調査対象者の平均線量は33.6ミリシーベルトでした
が、「がん」および「がん以外の病気」による死亡率はいずれも英国
国民平均に比べて15%以上低い値でした。」

と記載されている。
即ち、自然からの被ばく線量2.1ミリシーベルト(日本の場合)を考慮すると、
英国では、日本の自然放射線の15倍程度の人口放射線を浴びた原子力業務従事者のがん発生率が一般人より15%低くなるという統計データがあるということになる。


ふたつ目の論文は、米国の航空機客室乗務員に関する調査で、

https://www.arpansa.gov.au/cancer-prevalence-among-flight-attendants-compared-general-population

客室乗務員の年間電離放射線量は3.07ミリシーベルトで、乳がん、子宮頸がんの有病率は一般人の約1.5倍となっている。


即ち、英国のデータでは、年間約34ミリシーベルト浴びるとがんによる死亡率は15%減るが、米国のデータでは、年間約3ミリシーベルト浴びるとがんは約1.5倍増えるということになる。地上の自然放射線は約2ミリシーベルトだから、ちょっと浴びるよりも15倍浴びたほうが健康によいというデータに見える。

この関係は一種の謎であり、その理由は両論文では明らかにはされていない。


このような一見矛盾した統計データが出てくる原因についての、私の推定は以下のとおりである。

それは、日本国政府も採用している基準である、国際放射線防護委員会(ICRP)の被ばく基準の設定に問題があるということである。

ICRPの基準は、広島・長崎の生存者におけるがん発生率に基づき、原爆の被ばく線量とがん発生率に比例関係があると仮定している。
この仮定のもと、自然被ばく線量の地域的揺らぎの範囲内として、一般人の被ばく許容線量を年間1ミリシーベルトとし、また、原子力作業従事者は職業であることから年間50ミリシーベルトにしている。

しかし、広島・長崎の原爆は爆発の時間である約1ミリ秒で浴びた瞬間的な被ばく事象による放射線量であり、年間(365×24×3600×1000ミリ秒)における被ばく線量ではない。

一方、客室乗務員は年間5回程度発生する太陽フレア(太陽表面の短時間核融合反応増大現象)による被ばくを浴びる。これはガンマ線も含まれ、それは秒単位で浴びる瞬間被ばくとなる。

上記、原子力作業者の1秒当たりの被ばく量は、
年間被ばく労働時間を約1000時間と想定した場合、総計34ミリシーベルト浴びるので

 34/(1000*3600)=9.4×10のマイナス6乗ミリシーベルト/秒
となる。

一方、上記、客室乗務員の1秒当たりの被ばく量は、
太陽フレアが年5回発生、被ばく時間が1秒とすると、客室乗務員の単位時間当たり被ばく量は

 3/5=6×10のマイナス1乗ミリシーベルト/秒

となる。

即ち、客室乗務員は5桁も大きな瞬間被ばくを受けている。即ち、広島・長崎の被ばく者に近い被ばく形態なのである。

このパラドックスは、1.8リットルの醤油を1年間でゆっくり飲めば健康に良いが、一気飲みをすれば重大な健康被害があるという議論に似ている。

生物学的には、がん抑制遺伝子が機能し、ゲノム損傷を修復するためには有限の時間が必要なのである。瞬間の大量被ばくではがん抑制遺伝子が十分機能できないのではないだろうか。

何故なら、原爆も高空での太陽フレアも、生物の進化の歴史でこれまで経験したことのない被ばく形態なのである。免疫機能であるがん抑制遺伝子が働く可能性は小さい。

このように瞬間被ばくのデータをもとに長時間の被ばくの影響を単に時間積分総線量のみで規定するICRPの基準自体に大きな欠陥があると考える。

念のために言うと、客室乗務員だけでなく、国際線で高空を飛行する一般乗客も同じ被ばくを受けるのである。

2025年は太陽フレアの活動が活発化すると言われている。

早めにこの問題の対策を行い、太陽フレアによる瞬間被ばくによるがん発生増加を抑制しなければならない。しかし、太陽フレアからのガンマ線は光と同じ速度で地球の大気上層に到達するのだから、今のパイロット並みの対策しかないのかもしれない。
(太陽フレアが発生したときに乗務していたことが分かったパイロットはしばらく乗務を停止する勤務調整をしているそうである。)

このままでは、がん発生のリスクに関し、最も危ないのは客室乗務員と頻回の一般利用客だけということになるのかもしれない。

6月13日追記
ではなぜ一般人より被ばく量の多い原子力従事者のがんが少ないか、という理由だが、これには2つの理由が考えられる。

ひとつは、ある程度、放射線を浴びている事で、がん抑制遺伝子の活動が活発化し、免疫機能が向上することである。

もう一つは、紫外線消毒と同様、ガンマ線を浴びることで、体内外の細菌が死滅し免疫機能に余裕ができて、前癌状態に対する応答に対応することが容易になると考えられることである。

客室乗務員の被ばくとがん発生の相関関係2023年05月14日 06:36

 米国での客室乗務員の被ばくやがん発生などの調査が下記のサイトにある。

 https://ehjournal.biomedcentral.com/articles/10.1186/s12940-018-0396-8

 これによれば、米国のCAの乳がんや皮膚がんの発生率は、一般人の2倍近い有意な増加が認められている。

 一方、日本の場合、下記の保険物理学会サイトで航空機乗務員への被ばく基準として年間5mSv以下が推奨されているが、系統的な調査はされていないようである。この年間5mSvというのは、上記の米国での調査での平均被ばく線量と大差はない。

https://www.google.com/url?sa=t&rct=j&q=&esrc=s&source=web&cd=&ved=2ahUKEwik1Jn5ovP-AhXP4GEKHT0vCE0QFnoECAsQAQ&url=http%3A%2F%2Fwww.jhps.or.jp%2Fupimg%2Ffiles%2Faircraft-guideline.pdf&usg=AOvVaw2uJlhhrVM-xBafwbl6Qvbk

 なぜ、米国で一般人と有意な差が生じているのだろうか。

 私見だが、太陽フレア発生時のガンマ線被ばくが影響している可能性がある。上記の保険物理学会サイトでは、太陽フレアに対する注意の指摘はなされているが、規制方策は明確ではない。

 太陽フレアはコロナ内での爆発的な核融合反応発生であり、その瞬間にガンマ線も発生している。そのガンマ線は防護も正確な測定も不可能に近い。なぜなら、地球に到達していることを事前に感知することは不可能だからである。

 個人線量計を客室乗務員が装着していたとしても、長期のガンマ線線量にはカウントされるが、瞬間被ばく時の時間線量率は計測できないシステムである。

 しかし、生体のがん発生メカニズムを考えると、時間積分線量は小さくても瞬間的な高線量率被ばくが最も危険だと思われる。
 即ち、瞬間的高線量率被ばくでは、DNA損傷を修復するためのP53等の修復遺伝子の機能が働くための時間的余裕がないので、損傷が放置される可能性が低線量率被ばくに比べ増大すると考えられるからである。
 また、太陽フレア時には、大量の中性子、陽子などの粒子線も地球に到達する。

 これらの太陽フレアによる瞬間的ガンマ線、粒子線の高空における被ばくは、広島・長崎の原爆被ばく以外、人類は経験したことがない。即ち、免疫機能が働かない被ばくとなる。
 (なお、地上での太陽フレア被ばくは1万mの大気層による遮へいがあるので、高空より10桁程度小さくなる。)

 これは、客室乗務員だけでなく、乗客も同じ状況になる。2025年は太陽フレアが最も活発になる時期である。早急にこの問題の調査検討を行う必要がある。