パブリックデプロマシーと福島事故株主訴訟判決2025年06月05日 17:29

パブリックデプロマシーとは外交の一手段であり、自国の外務担当組織が外国の政府ではなく、外国の国民をターゲットとして密かに世論を操作する外交を意味する言葉である。

第2次世界大戦の末期に、広島・長崎に原爆が投下され多数の被害者がでたが、トルーマン大統領は原爆が如何に怖いものであるかを世界各国の国民に対しパブリックデプロマシ―手法で喧伝したはずである。その結果が、下記の広島と長崎の被ばく影響評価にも表れている。

これは統計ソフトRにより広島の被ばく生存者と長崎の被ばく生存者者の発がんリスクと被ばく線量の関係を分析した結果である。
Table2は広島の男性と女性、Table3は長崎の男性と女性である。ERR coefficient(過剰相対リスク、ここではその線量を1Sv被ばくすることにより発がんするリスクと被ばくなしの場合の比(相対リスク)から1を引いた値として定義されている)とは、負の場合にはがん発生リスクが被ばくしていない人より小さく、正ならば被ばくしていない人より大きい。即ち、正、負が現れればその値が被ばく線量のしきい値となる。それ以下では被ばくによる発がんの影響はないことが統計的に示される。
そのしきい値は両表から

広島男性 約300mSv
広島女性 約125mSv
長崎男性 約80mSv
長崎女性 しきい値なし

となる。

Table2  ERR coeffisients of dose and p-values of solid cancers for Hiroshima via Spline function

dose Male dose Female
(mGy) ERR coef. p-values ERR coef. p-values Notes
3400 0.626864 1.30E-27 3400 0.935325 1.22E-86
3000 0.613587 7.29E-26 3000 0.947336 9.03E-90
2500 0.614539 5.77E-23 2500 0.972743 7.91E-88
2000 0.625126 3.11E-15 2000 1.026543 2.07E-69
1750 5.99E-01 4.00E-11 1750 1.10E+00 1.17E-59
1500 0.603602 8.20E-09 1500 1.152908 1.80E-50
1250 0.719855 1.12E-09 1250 1.228029 3.00E-40
1000 0.73014 1.24E-06 1000 1.200451 4.19E-24
750 0.637954 2.27E-03 750 1.186411 1.03E-13
500 4.15E-01 1.90E-01 500 1.23E+00 4.17E-07
300 -0.19257 7.22E-01 300 1.114376 8.83E-03 Threshold(Male)
250 -1.02844 1.55E-01 250 1.153326 2.69E-02
200 -1.50386 8.91E-02 200 -0.06102 9.22E-01
175 -2.24547 2.87E-02 175 1.011429 1.76E-01
150 -2.31155 4.35E-02 150 0.436493 6.28E-01
125 -1.32696 2.83E-01 125 -1.64508 1.88E-01 Threshold(Female)
100 -1.42975 3.42E-01 100 -1.31729 3.90E-01
80 -2.99334 1.30E-01 80 0.263215 8.71E-01
60 -2.74788 2.89E-01 60 -1.47104 5.15E-01
40 -13.175 1.12E-02 40 -8.23619 3.44E-02
20 -14.248 1.17E-01 20 -12.4608 9.87E-02
5 -67.7187 1.85E-01 5 -10.2604 7.71E-01


Table3   ERR coefficients of dose and p-values of solid cancers for Nagasaki via Spline function

dose Male dose Female
(mGy) ERR coef. p-values ERR coef. p-values Notes
3400 0.559405 5.01E-11 3400 0.715194 7.16E-20
3000 0.551134 1.82E-10 3000 0.718689 7.58E-20
2500 0.523384 4.10E-08 2500 0.782139 7.29E-22
2000 0.55147 4.49E-07 2000 0.91559 1.63E-23
1750 5.62E-01 1.59E-06 1750 9.22E-01 2.50E-19
1500 0.392784 6.97E-03 1500 0.909838 6.93E-17
1250 0.459589 7.31E-03 1250 1.044858 3.66E-16
1000 0.4001 5.83E-02 1000 1.168771 2.15E-14
750 -0.04246 9.09E-01 750 1.177914 3.09E-07
500 -2.29E-01 7.04E-01 500 1.74E+00 3.18E-05
300 0.666524 4.84E-01 300 1.816489 2.18E-02
250 -1.33522 3.24E-01 250 2.088789 2.85E-02
200 1.093019 4.83E-01 200 3.000936 1.30E-02
175 1.374008 3.90E-01 175 1.984172 1.86E-01
150 1.599174 4.54E-01 150 4.279943 7.02E-03
125 1.337869 5.65E-01 125 3.171504 1.26E-01
100 1.620268 5.72E-01 100 5.039102 3.90E-02
80 -0.51499 9.02E-01 80 7.493141 8.17E-03 Threshold(Male)?
60 -3.4197 4.89E-01 60 7.674809 3.65E-02
40 -11.4633 1.36E-01 40 4.721128 4.12E-01
20 7.039679 6.87E-01 20 23.91657 5.81E-02
5 96.95143 1.09E-01 5 30.9133 6.12E-01

この結果は異常である。被ばく線量により発がん症例数を整理したデータであるので、線量が同じなら広島と長崎のERRcoefficientやしきい値はほぼ一致していなければならない。広島と長崎で住民のがん発生率が大きく変わる要因はない。

この相違を説明できる唯一の説明は、長崎の被ばく線量がこのデータの数値よりは実際には大きく、このデータはそれを小さめに見積もったためという事になる。
その結果、長崎男性は小線量(実際には広島並みに被ばくしていた)でも発がんし、女性は更に小線量でも発がん例が増えたことになる。(実際には広島並みに大線量を被ばくしたがこのデータでは長崎の被ばく線量だけが実態より小さく操作されたいうことである。)

なお、広島でも男女差はあるが、これは女性が乳がんなど上体体表面の臓器の発がん例が多く、上空600m付近での核爆発による被ばくの影響が男性より大きいことを意味している。

では、なぜ、そのような操作を長崎の線量評価に用いたのか。これは推定になるが、長崎型原爆は米ソ冷戦で主力となった核兵器であり、その爆発力の評価を意図的かミスかは不明だが間違ったたのである。(詳しくは2025年01月27日本ブログ記事)

このオッペンハイマーらによるミス或いは意図的データ操作を米国はパブリックディプロマシーとして利用したのだろう。原爆の威力を知らしめ、恐怖感を煽るとともに、原子力技術を独占し世界的発展を抑制したかったのである。

即ち、広島のデータと長崎のデータをまとめて被ばく者の発がんデータとして説明することで、この矛盾に満ちた統計データで世論操作をしたのである。

その結果、特に低線量範囲(300mSv以下)のしきい値が統計的に不明確になり、しきい値があるのかどうかが分かりにくくなった。その結果、米国主導の各国際機関はしきい値なしモデル(0線量でもわずかに発がんリスクはあるというモデル)を採用することになった。

 それから65年後の福島事故でもこの基準を採用した日本国内の法規制があるため、関係機関の指示により避難した事で大量の事故関連被害者を出した。

 ところで、福島事故は東電のBWR原子炉の初号機から4号機までの事故である。その主要因は地震の影響でサイト外部からの送電線が損壊し、炉心冷却に必要な電源が喪失したときに非常用発電装置として働くべきディーゼル発電機が地下1階にあったことである。津波が引いてもこのプール状のディーゼル発電機室と配電盤が海水に浸かったままだったために非常用電源が供給できず、崩壊熱の除熱が出来なかったために炉心溶融事故を起こした。

 なぜそのような配置設計になったのか。実は、このBWR原子炉は1960年代の米国GEの設計である。当時、経団連会長も務めた土光敏夫氏はこの輸入すべき原子炉(当時は国論は与野党ともに原子力発電を国産エネルギーとして歓迎していた)の設計のチェックを日本側でしたいとGEに申し入れていた。しかし、ちょっとでも設計変更をしたら、GEは日本には輸出しないと回答してきたと土光敏夫氏が当時社長をしていた原子力企業の社史に記載されている。このGEの回答を日本政府、東電ともに受け入れたのである。土光氏が持論を押し通していたら、福島事故はなかったかもしれない。

 世界初の原子力発電所はアイダホの砂漠の中にあるEBR-Ⅰという原子炉だが、その非常用ディーゼル発電機は事故を起こした福島のBWRと同様、地下1階にある。それは、津波よりも米国特有の竜巻を重視して配置設計をしたためである。GEはその配置設計を踏襲したBWRプラントを開発し、日本へ輸出したのである。

 その際、被ばく基準は米軍が操作した広島・長崎のデータに基づいているのである。部屋の配置設計は従業員の被ばくを規制値以下にするための生体遮へい壁の配置が重要なポイントである。この配置の根拠が詳しく調査されていれば長崎のデータ操作も明らかになる可能性もあった。

 斯様にパブリックデプロマシ―の影響は世紀を超えて影響するものであり、今回の原告の東電株主はこのような歴史を踏まえ、被告に国や米国機関を加えていれば勝訴したのかもしれない。

下りでスリップしたらハンドルとブレーキから手足を離せ2025年02月20日 14:02

 先日の旭山動物園近くの大型バスと軽自動車のスリップ追突事故の動画を見て思ったことである。

 バスは下り坂で追突を避けようとハンドルを左に切ってブレーキをかけ続けたが、スリップは止まらず、軽自動車に追突し、更に押し続けながら別のバスに押し付けて止まっている。

 追突を避けようとハンドルを左に一杯切っているので前車輪は車体の進行方向に対し、左に45度の方向を向いている。これで、前方方向へのタイヤの摩擦力はほぼない状態になるのである。
 タイヤと氷面との間にできる水の膜を、タイヤ表面のサイプ(小さな細い溝)がタイヤの左右に排除することで、タイヤと氷の間の摩擦力を維持するのがスタッドレスタイヤの溝の役割である。

 45度方向に向けるとサイプの方向が車の進行方向と同じになるので、この水排除ができなくなる。逆にタイヤの下に排除すべき水が入り込んだ状態を作ることになるのである。即ち、ハンドルを一杯に切ることで、サイプのないような普通タイヤ以上に路面とタイヤ間の摩擦がない状態を意図せずに作っている。
 
 更に、このバスは何とか止めようとブレーキを一杯に踏んでいたようである。これは後輪の摩擦力を動摩擦状態にして下げているということである。(2月6日付け本ブログ)

 この結果、前後の4つのタイヤの摩擦が効かなくなって、前方の軽自動車に追突し、そのまま押し続けて、前方の大型バスとの間に軽自動車を押し付けたのであろう。

 即ち、ここで主張したいのは、下り坂でスリップしたらハンドルとブレーキから一旦手足を離すことで、ハンドルとブレーキのコントロールが回復するのを一瞬待つべきということである。その方がより確実に止める可能性が出てくる。

 これは心理的には恐怖感から難しいことではあるが、追突まであれだけの時間があれば一度試してみる価値があった。 普段からタイヤの摩擦特性を意識し、雪道ではハンドルとブレーキに過度に頼らない運転に慣れておくことが重要だ。

下水道管陥没対策用ミューオン宇宙線検出装置2025年02月08日 11:49

 知人の土木工学専門家に聞いたところ、地下の空洞を検出するのはマイクロ波の反射波検出だそうである。

 下水道の内部に潜って、マイクロ波を放出、空洞検出するのも可能かもしれないが、マイクロ波は一般にも使用されている電磁波なのでノイズで精度良い映像が撮れない場合も多いのではないだろうか。

 一方、福島事故の燃料デブリの位置を検出する技術として開発されたミューオン(宇宙線の一種)検出装置を下水道管上部の空洞検出に応用するという案はどうだろうか。

 福島で対応したような大型装置もあるが、下記リンクのような超小型のものもあるようだ。

https://engineer.fabcross.jp/archeive/171204_cosmicwatch.html

 これなら、ドローンに載せて下水管上部の空洞を検出するのもそれほど難しくはない。東電も多額の予算を使った事故対応技術を多分野にも応用すれば、世間の批判も和らげられるかもしれない。

簡易雪下ろし装置2024年12月24日 09:29

 知人にも多くの雪国生活者がいる。その最大の問題は雪下ろし作業らしい。

 屋根構造を今更変えるわけにはいかない。仕方なく、人を雇って雪下ろしをするにしてもその作業者も高齢化している。

 思い出したが、一部の雪国では、道路融雪装置が主な道路に敷かれている。
ちょろちょろ水が孔から出ているがそれで充分道路の雪を溶かし流している。

 このシステムを屋根に持ち上げて設置すれば、道路の雪も屋根の雪も積雪量は似たようなものなので、屋根の雪を自動的に溶かし落とせるはずである。

 装置としては、屋根の中心の梁の上にパイプを設置し、両側に孔をあけるだけでよい。プラスチックのパイプは安価なので、非常に安上がりにできる。ポンプアップが必要かどうかは水源の標高などで決まるだろうが、まとめてポンプアップすれば、地方自治体で安くできるだろう。上水道を使うほうが安い地域もあるはずだ。いずれにせよ、インフラ整備にそれほど費用が掛かるとは思えない。

 問題は水資源である。現在の見本各地のダムの水は発電用、工業用、農業用、家庭用など細かく分かれており、その利用権が関係機関に分散されているため、自由に使えない。せいぜい純粋な民生用は10%程度だろう。

 この水利権を冬の間は雪下ろし用に大幅に開放すれば水源問題のほ多くは解決できるはずである。ここは政治の出番だ。政府、各党、各自治体の連携があれば、簡単に解決できる政治の問題である。

太陽フレアとがん発生の現状調査2024年12月23日 06:39

 昨日、東海道新幹線と東北新幹線を直通運転することで、航空旅客を減らすことができると書いたが、これには太陽フレアによる瞬間被ばくによるがん発生を減らす狙いもあった。即ち、広島や長崎のような原爆による瞬間被ばく(約1マイクロ秒での短時間被ばく)ががん発生の要因であり、地上での生活による慢性的な被ばくなら年間約200mシーベルト程度の被ばくでもがん発生には至らないという人の免疫機能メカニズムが作用するという仮説によるものでもある。実際、慢性被ばくによるがん発生データは、瞬間被ばくのような明確ながん発生データは存在しない。また、太陽フレアの航空機搭乗時の被ばくや原爆の被ばくは20世紀になってから初めて人類が経験する被ばく形態なので免疫が得られるはずはない。

 現在、ICRPのような専門機関やそれに基づく被ばく関連法規制でも年間線量のような長時間被ばくへの規制はあるが、瞬間被ばくへの規制はない。その結果、重要な瞬間被ばくによるがん発生は野放しで、一方、無駄に慢性被ばくを規制した結果、福島事故におけるような災害関連死のみが増えるという矛盾を抱えることになったと考えられる。

 では、現状、太陽フレアの瞬間被ばくによるがん発生の問題はどうなっているのか、ChatGPTの回答は以下のとおりであり、可能性はあるらしい。


ChatGPTへの質問
「年間被ばく量よりも太陽フレアの瞬間被ばく(量は少ないが、単位時間当たりの線量率が大きいので、P53などのDNA損傷補修遺伝子が働かない)ことによりがん発生が増加するのではないですか。」


ChatGPTの回答

「ご指摘の通り、太陽フレアによる一時的な高線量率被ばくがDNA損傷に与える影響については、特に航空機乗務員や宇宙飛行士などの高リスク職業において注目されています。単位時間当たりの線量率が高い場合、DNA損傷の修復機構が追いつかず、がんリスクの増加に寄与する可能性が理論的にはあります。しかし、このメカニズムが実際のがん発生率にどの程度影響しているのかは、まだ明確には解明されていません。

以下にその背景と現在の知見を詳しく解説します。
1. 瞬間的高線量率被ばくの影響

P53遺伝子とDNA修復機構
P53などのDNA損傷応答遺伝子は、低線量率の慢性的な被ばくでは通常十分に機能しますが、短時間で大量のDNA損傷が発生した場合、修復能力が飽和する可能性があります。この結果、DNAの誤修復や突然変異が起こり、がん発生のリスクが増加する可能性があります。

太陽フレアによる被ばく
太陽フレアに伴う**太陽粒子イベント(SPE: Solar Particle Event)**は、航空機や宇宙空間での一時的な線量率の上昇を引き起こします。航空機内では数ミリシーベルトの被ばくが短時間で発生する可能性があり、これが生体に与える影響が懸念されています。

2. がんリスクへの影響の可能性

線量率とがんリスクの関係
高線量率の放射線被ばくでは、線量が同じであっても、低線量率に比べて細胞死やDNA損傷が多く発生する可能性があります。このため、太陽フレアのような瞬間的な高線量率被ばくは、通常の慢性的な被ばくに比べてリスクが高い可能性があるという仮説があります。

エビデンスの不足
現在のところ、航空機乗務員や宇宙飛行士のがんリスク増加が、太陽フレア由来の一時的な高線量率被ばくに直接起因するという明確な証拠はありません。がんリスクは総被ばく線量に依存するという仮定が主流ですが、線量率の影響を考慮したモデルはまだ発展途上です。

3. 研究の現状

動物実験と細胞研究
短時間の高線量率被ばくがDNA損傷やがんリスクに与える影響については、マウスや培養細胞を用いた実験が進行中です。これらの研究では、P53などの修復機構が高線量率では効果的に働かない場合があることが示唆されています。

航空機乗務員における疫学研究
一部の研究では、航空機乗務員のがんリスク増加が宇宙放射線被ばくと関連する可能性が示されていますが、太陽フレアの瞬間的な被ばくに特化した研究は少ないのが現状です。

宇宙放射線の研究
宇宙飛行士を対象とした研究では、SPEによる一時的な高線量率被ばくが健康に与える影響が注目されています。これにより、地上の職業被ばくにも新たな知見が得られる可能性があります。

4. 太陽フレアによる瞬間被ばくへの対策

航空機乗務員や宇宙飛行士におけるリスク管理の観点から、以下の対策が重要とされています:

太陽フレア発生時の飛行ルート変更(特に極域での被ばくを避ける)。
被ばく線量のモニタリングと線量限度の設定。
研究に基づいた安全基準の改訂。

5. 結論と今後の課題

太陽フレアの瞬間的な高線量率被ばくがDNA修復機構に与える影響は、がんリスク増加に寄与する可能性がありますが、その具体的な寄与度は現時点では不明です。
さらなる疫学的研究や動物実験を通じて、線量率の影響を考慮したリスク評価モデルの開発が求められています。」

日本海温暖化防止大作戦2024年12月12日 02:26

地球温暖化で日本海の海水温が上がり、ドカ雪の原因となっている。

 日本海の温暖化防止程度なら、日本のみの努力で防止できる。

 それがこの大作戦の主旨である。(明治時代の日本海海戦とは全く異なる平和的、SGD的、世界平和に貢献する作戦でもある。)

 その方法は単純である。すでに小樽運河などでは部分的に実施している。

 即ち、降った雪を集め、海に戻し、海水を冷却するのである。

 これでどの程度温度が下がるか、下記条件で計算してみる。

 氷の潜熱:1g80cal

日本海面積:978000平方キロメートル
 日本面積 :378000平方キロメートル

 これらの値から日本全体に1m雪が積もった時に、すべて日本海に戻すことができれば、

 80×378000×100/(978000*100)=30.9

即ち、日本海の表面1m分の温度を約30度低下できる。

 今、日本海の温度は温暖化の影響で平均2℃上昇しているらしい。

即ち、日本の面積の

   2/30=1/15(24200平方キロメートル)

面積の雪を1m日本海に捨てれば、この温度上昇はキャンセルできる。
(表面1mの温度が主に蒸気発生量に効くという仮定ではあるが。)

 では、24200平方キロメートルとはどの程度なのか。

各主要河川の流域面積は
     
石狩川:14330平方キロメートル
最上川: 7040平方キロメートル     
阿賀野川 7710平方キロメートル
信濃川:11900平方キロメートル
神通川:2720平方キロメートル
九頭竜川:2930平方キロメートル

計 46630平方キロメートル

である。即ち、主要河川の流域の半分の面積の雪1m分を河川経由で日本海に運搬すれば、日本海の温度は2℃下がり、温暖化以前の温度に戻すことができる。雪の比重は1以下なので放流も可能だが、いかだとタグボートの組み合わせのほうが効果的だろう。

 もちろん夜間の新幹線利用やダンプカーなどでの輸送も可能である。

これは国家的事業だが、三陸に高さ15メートルの防潮堤を張り巡らす費用よりは安くできるのではないだろうか。

ぜひ、国土交通省関係者に検討してもらいたい。(確か、気象庁も国土交通省所属だったはず)

新スパイクタイヤを開発すべきだ2024年12月11日 02:17

地球温暖化で日本海の海水の蒸発量が増え逆にドカ雪が増えるそうだ。

スリップ事故が多発するのも間違いない。

スタッドレスタイヤではスリップ事故は避けられないのが最近のバス横倒しやトラック脱輪のニュースでよくわかる。

スパイクタイヤがスリップ事故を防ぐために非常に有効なのだが、無雪状態では、粉塵被害が酷くて禁止された経緯がある。

しかし、30年ほど前、スイスでスパイクを出し入れできるタイヤの開発が試みられた。その原理はタイヤのゴムを二重構造とし、内側の層にスパイクを付けておき、その内圧を変化させることでスパイクピンを外側のゴム層の孔へ出し入れするというものだった。しかし、空気圧調整配管の複雑さ故か、実用化出来なかった。

現代は電気自動車と新材料の時代である。強磁性スパイクピン、形状記憶合金、非接触型電極、路面監視装置などの組み合わせで、雪面、氷面の場合のみスパイクが出る新スパイクタイヤを日本のメーカー群が開発すれば、世界中で大ヒットするだろう。

代表者はやはり理解してもらわないと困る2024年11月02日 10:34

 昨日の朝日新聞によれば、改革推進でカミソリ会長と呼ばれた東電勝俣元社長は津波対策について「多くを理解してないが、理解しようと努めた」と語っていたそうだ。裁判対策もあるのかもしれないが、これでは代表権を持つ会長の責務は果たせないだろう。

 東日本大震災の津波のような2000年に一度という津波の予測は難しいが、全電源喪失は新型原子炉の原子力安全の世界ではすでに常識だった。「メルトダウンの可能性は私は聞いていない」とも語ったそうだが、発熱した物体の徐熱が出来なければ次第に高温になっていくのは義務教育の理科で習うことである。

 会長職で理解できないのなら何千人もいる部下に理解できるまで質問すればよいのではないか。東大卒というプライドがそれを許さなかったのだろうか。或いは、合理化のし過ぎで周囲に気楽に質問できる部下がいなかったのだろうか。

 何故あのような事故が起こったのか、一番詳しく知っているのは東電関係者である。しかし、未だに当事者からのまとまった報告書というものは出ていない。発電に限らず、原子力はすでに世界中で使われている必須の技術である。裁判記録とは別になぜ全電源喪失を予測できなかったのか、対策を取らなかったのか、本音の記録があればぜひ公表してもらいたい。

福島事故の反省点とは2024年10月20日 07:06

現時点で、知っている範囲で再度反省点を整理してみた。

1960年代に米国GE製のBWRプラントを輸入しようとしたとき、原研は独自の原子炉を開発中であった。原研は当時組合活動が盛んで、政府や電力業界から嫌われていたこともあり、原研などの日本の原子力関係者の頭越しにGEから米国製の原発を輸入しようとしたのである。そこに土光敏夫はクレームをつけ、GEに日本側での設計チェックをしたいと申し入れたのであるが、GEは設計を変えるなら輸出そのものをしないと回答し、電力や政府もGEの回答を受け入れたのである。

 その後、4基のBWRプラントはGEの設計通りに建設され、40年後に2011年の地震と津波で全電源喪失の大事故を起こすことになる。土光の意見で配置設計が見直されていたらこのような全電源喪失が防げたのかどうかはわからない。

 しかし、土光が1988年に亡くなったのちの話であるが、東電は、使用済み燃料貯蔵プールの設計変更を行った。2001年に貯蔵プールに中性子吸収体を装荷することで収容可能な燃料貯蔵本数が2000体以上に増加することになった。使用済み燃料貯蔵のための外部置き場が無くなり、臨界安全性に問題がある設計変更をしてまでも貯蔵容量を増やさざるを得なくなったのである。

 福島事故で米国NRCが問題にしたのは、この使用済み燃料貯蔵プールの超臨界による事故進展である。格納容器外にあるため、超臨界になると放射性物質の放出が原子炉の事故よりも大きくなる可能性がある。結果的に超臨界は生じなかったと思われるが、貯蔵プール水の放射線分解による水素発生源になった可能性はある。これが4号機の建屋爆発に繫がったかもしれない。

 以上の経緯からは、今後への反省として、

(1)海外からプラントなどを輸入する場合は、現地の地理的、気象的、歴史的状況を考慮して設計変更をするべきである。
(2)しかし、その設計変更により、安全上の問題が発生しないか十分に吟味する必要がある。

などが挙げられる。

核共有が危険なワケ2024年10月13日 01:53

 ノーベル平和賞を受賞した被団協の代表が石破首相に核共有をしないように釘を刺したそうだが、それは軍事的な安全保障の考え方の差によるものだろう。

 しかし、ここで核共有が危険だと主張するのは全く別の理由からである。

 核共有とは日本が核兵器を部分的であれ管理する事を意味する。そんな能力は日本側にはない。

 その証拠に未だに広島・長崎の被ばく線量評価の最重要点である放射線線源評価が米国側の担当で、日本側は結果のみ教えられる立場だからである。

 日本側には核兵器の原理・メカニズムが管理できるほど良く知っている者が居ないからそうなるのである。もし、そのような担当者が居れば、共有などする必要もない。自分で作れるはずである。しかし、軍事機密の壁を破るのは簡単ではない。米軍もそれを日本側にに教える必要性も義務もない。

 しかし、核共有をした場合、核兵器を管理する責任が生じるのであり、その機微なメカニズムを理解していないと大変な災害を引き起こす。原爆は原子炉と異なり、自己制御性が無いのは核物理のイロハである。

 福島事故でも、炉心は核爆発はしていない。放射能の徐熱失敗による 炉心熱溶融と化学反応で発生した水素爆発のみである。一方、原爆は質量管理、温度管理を適切に維持しないと不完全爆発(fizzle expulsion)を生じることがある。

 例えば、福島事故発生直後に米国NRC(原子力規制委員会)は、本国内での放射線量が急激に変化した場合を想定して、米国市民に50マイル以内に近づくなと警告した。NRCが特に問題にしたのは、原子炉ではなく、格納容器の外に置かれた使用済み燃料貯蔵プールだった。

 中性子吸収材を燃料の間に挿入することで、当初より多くの燃料を貯蔵できるように日本で設計変更されていた。これは核爆弾ではないので爆発はしないが、中性子吸収材が落下することにより超臨界となり、発熱が急激に増加する可能性がある。当時、福島第一原発では、使用済み核燃料が溜まり過ぎて、仕方なく設計変更をしていた。NRCは、地震により、この中性子吸収材が落下落下する可能性を問題にし、MIT(マサチューセッツ工科大学)に急遽、解析依頼をしていた。その結果がこの警告なのである。

 当時NHKの特番で原子炉と使用済み燃料貯蔵プールの健全性の両方が議論になっていたが、ある大学教授が使用済み燃料貯蔵プールはじゃんじゃん注水して冷やしさえすればいいのだという趣旨の発言をした。中性子吸収材が破損した状態で温度が下がると燃料が核分裂反応しやすくなり、発熱量が逆に上昇する恐れが生じる。そこで、慌ててNHKに電話を入れ、発言を訂正するよう申し入れたが、NHKの回答は、その発言はコメンテイターの責任であり、NHKには訂正する気はないというものであった。

 それ以来、マスコミの情報は信用しないことにしたのである。

 核共有における原爆管理では、放射能拡散のような長期的影響の問題以前に、管理失敗による爆発の可能性がある。それを素人集団の日本側が部分的にでも行ったら、戦争以前の安全上の問題が生じることになる。こちらは原子炉の水素爆発などとは桁違いの核爆発を生じるのである。

 これが核共有が危険であるということの最大の理由である。