エネルギーが相対的である理由2022年06月01日 06:42

 原子に結合した電子のポテンシャルエネルギーを通常負の値にとることは理解できたとしても、エネルギーの絶対値をなぜ定義できないのだろうか。
 例えば運動エネルギーは古典論では
 1/2*mv^2
で定義されているのだから、ポテンシャルエネルギーも絶対値で定義できそうな気がする。
 しかし、上記の運動エネルギーもよく考えれば、速度は今想定している空間が動かないものとして定義しただけなのである。従って、このエネルギーも相対的な(その場限りの)定義である。
 宇宙の静的空間が分からない限り、万物の絶対速度は分からない。
同様に重力ポテンシャルエネルギーも、ある重力場でのみ定義可能なエネルギーである。
 熱エネルギーはどうか。絶対温度があるので、一見熱エネルギーだけは絶対値で定義できそうである。しかし、絶対零度という状態は単に定義だけであり、それは完全真空の空間にしか存在しない状態、即ち、宇宙の静的空間ということになる。
 従って、熱エネルギーというものも仮想空間における熱的エネルギーの定義であり、仮想状態を0とした相対的なものとみなすことができる。
 では全体としてどう考えればいいのか。
 それは、その問題空間で何らかの状態変化が起こるとし、その状態変化に関連するすべてのエネルギーを相対値(即ち、その空間での相対的エネルギー)を求め、状態変化が起こってもその相対値の合計は保存されるとして、エネルギー保存則を適用することである。
 これにより何が得するのか。
 例えば質量とエネルギーの等価則をアインシュタインは見つけ出し、核分裂で膨大なエネルギーが発生することが明確になった。E=mc^2である。古典論と組み合わせれば、Ek:運動エネルギー、Et:熱エネルギー、Ep:その他のエネルギー形態
  mc^2=Ek+Et+Ep
 質量の微小変化で、粒子の運動エネルギーになったり、その粒子の熱エネルギーになったり、電磁波エネルギーになったりするが、その変換係数が実験的に計測されれば、種々のエネルギー形態の配分が容易に予測できるという実用的な意味があるのである。

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