核爆弾と原発の放射線2022年06月22日 07:16

ロシアのウクライナ侵攻が続くなか、核兵器禁止条約会合への日本のオブザーバー参加が望まれる一方、原発再稼働可否の議論も起こっている。
 核兵器、原発と従来の兵器、爆弾との定性的な差は、放射線を生じるか否かであろう。では、核兵器と原発の放射線は同じなのか。
 どちらも、ウランやプルトニウムの核分裂がエネルギー源である。最近の核兵器では核融合反応も核分裂反応と併せて利用するようになったが、透過性の強いガンマ線は核分裂反応により発生する。
 では、核分裂反応で発生するガンマ線とは何か。
 これには2種類ある。核分裂の瞬間に発生する即発ガンマ線と核分裂で生成した2個の核分裂生成物から発生する遅発ガンマ線である。
 ともに核分裂反応で発生する全エネルギーの3%ずつを分担している。しかし、即発ガンマ線は核分裂反応の瞬間(原爆であれば1ミリ秒以内)に発生する。一方、遅発ガンマ線は数年に渡りゆっくり放出されるという大きな差がある。
 核爆弾、原発ともに一秒間以内に10の10乗個以上の多数の核分裂を生じている。これらの核分裂により、2個の核分裂生成物が生じるが、ウランやプルトニウムの分裂の仕方は多数あり、生成される核分裂生成物は200種類以上あるため、その半減期は数秒以下のものから数百年のものまで広い範囲に渡る。この結果、遅発ガンマ線放出までの時間については、平均的に見ると数年に渡りゆっくり放出されるというわけである。
 即ち、原発では原子炉が停止している状態では、即発ガンマ線は発生せず、遅発ガンマ線だけが発生している。原発が運転中に発生するガンマ線は全て原子炉周りの遮へい体がシェルターの役割を果たし、遮へいされている。事故時に原子炉から漏洩した核分裂生成物により遅発ガンマ線により被ばくする。
 一方、核兵器では、シェルターに入っていない限り爆発の瞬間に多量の放射線を浴び、急性放射線障害となりうる。
 遅発ガンマ線では、広島・長崎・福島などで観測されているように、明確な人体影響はまだ報告されていない。
 なぜそうなるのか、生体の免疫機構の究明とともに早急に国力を挙げて究明すべきことであろう。

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