今冬の電力危機と原発再稼働問題2022年10月18日 14:31

 報道によれば、今夏と同様、冬にも電力需要が逼迫することが予想され、政府は数基の原発を再稼働する方向で動いているとのことである。
 一方、世論調査によれば、半数程度が再稼働には反対のようである。それは、福島事故の影響が大きいだろう。政府や電力会社を信頼していないということである。
 確かに、放射性物質、放射線による人体影響はまだ正確には分かっていない部分が大きい。従って、できれば原発には頼りたくない。
 一方、再エネによる十分な発電量が確保できるかといえば、その不安定さ、コストの高さから化石燃料に頼らざるを得ない。
 そうなると二酸化炭素排出による地球温暖化のほうが問題だという考えも十分納得できる。また、Nature Japanによれば、石油・天然ガスの井戸からも放射性物質が放出されているらしい。
https://www.natureasia.com/ja-jp/research/highlight/13476
 地熱がトリウム、ウランの放射性崩壊によるものなのであり得る話ではある。
 このトリレンマをどう解決できるであろうか。

 その一案は、放射能フリーの原発を開発することである。完全な放射能フリーはどんな技術でも、人間でもあり得ないが(人間も4000ベクレルの放射能を体内に持っているので)、化石燃料により放出される放射能と同レベルの放射能までは許容されるはずである。これまで100年以上その放射能と共存してきたのである。
 また、農業肥料で使われている年間のカリウム肥料に含まれる放射能と同レベルの放射能も許容されるであろう。

 次の案は、停電でも凌いでいくということである。多少の死者がでても放射線被ばくを考えれば仕方がないと思うことも可能である。

 被ばく影響であれ、地球温暖化影響であれ、医学的問題、環境問題の見通しをすべて明らかにするのは不可能である。従って、電力不足問題など特に社会的な合意に関わる問題は、関連する課題に関して、できるだけ多数の国民ができるだけ詳細な知識と正確な認識を持つことで、政治的な決着をつけるしかないであろう。

 その判断が間違っていたとしても、それが仕方のない人類の選択の歴史であると思う。

 そのためには、人知を結集して、現在課題となっているあらゆる技術的問題、医学的問題の最新情報を、国民に分かりやすく開示することが最重要である。それを行うのは行政府の役割であろう。