量子もつれ問題の解りやすい説明案2022年11月27日 02:57

量子もつれに関し幾つか解説サイトを見たが、多くは、量子もつれ状態の二つの光子の一方の光子のスピン量子数が測定されれば、もう一方の光子の光子のスピン量子数は、両光子がどれだけ離れていようとも、その瞬間に、対となる量子数であると「分かる」というものである。
この「分かる」という意味が分からなかった。アインシュタインがそれを不気味な遠隔作用だと言ったという逸話が、ますます事象を謎めいたものにしていた。
しかし、その後、この問題の計測実験に関する説明サイトを調べていくうち、話は比較的単純なものであると理解できるようになった。即ち、よくあるサイトの説明は、順序が逆で、量子もつれにある二つの光子を作ることが実験的に可能になったということなのである。量子もつれの状態の二つの光子は、相反するスピン量子数を持つことが量子論の定説なので、一方が測定できれば、他方は距離に関係なく定められるのは不気味でもなんでもない。即ち、量子論の正しさを証明した、或いは、正確に言えば、裏付ける実験が出来たというだけの事である。

量子論が成立した頃、実験的にその正しさを確認するのは困難だった。光の場合、多数の光子があっても、個々の量子数を測定することはできず、まして、量子もつれ状態の二つの光子対を作ることは不可能だった。しかし、その後の実験技術の進歩により、位相の揃ったレーザー光を特殊な結晶に照射することで、量子もつれ状態の光子対が僅かながら発生することができ、それらの量子数を実測して、量子論から予測されていた量子もつれ状態の実在が証明されたということである。

より、具体的には、数万のレーザー光子を偏光作用のある結晶に照射し、量子もつれ状態の電子対を一対作る。この光子対を各々遠方に分離して引き出し、量子数を測定すると、互いに対になった量子数であることが実証されたということである。
従って、量子もつれの光子対を、光ファイバーを用いて通信に使えば、光ファイバーの一端に到達した光子の量子数と、他端の光子の量子数の合計は0になっていなければならないので、情報が漏洩した場合には量子数のズレから盗聴の事態があったことが原理的に分かる事になる。これが、量子通信での盗聴防止原理であると理解できた。

コメント

コメントをどうぞ

※メールアドレスとURLの入力は必須ではありません。 入力されたメールアドレスは記事に反映されず、ブログの管理者のみが参照できます。

※なお、送られたコメントはブログの管理者が確認するまで公開されません。

名前:
メールアドレス:
URL:
コメント:

トラックバック

このエントリのトラックバックURL: http://yokoyamashindo.asablo.jp/blog/2022/11/27/9543937/tb

※なお、送られたトラックバックはブログの管理者が確認するまで公開されません。