不連続連載小説 松尾大源(5)2024年04月13日 12:36

 常長ら遣欧使節一行は、アカプルコから陸路メキシコを横断する旅に発った。

 スペインが植民地支配するメキシコとはいえ、当時の征服者に統治を任せるスペイン政府システムは現地で様々なトラブルを起こしていた。大きな問題もなくメキシコ湾岸に到着できたのは、日本から持参した大量の金銀の力とソテロの交渉能力のおかげであった。

 常長一行は、多くの原住民が罹患した天然痘には誰も感染せずにメキシコを横断し、当時、世界を制覇していたスペイン艦船に乗ることができたのである。

 大源は使節団一行の中では若手ではあったが、ソテロの言いつけは固く守り、現地人とのトラブルもなく出航までは順調な旅であった。しかし、メキシコ湾に出たとたん、暴風雨に見舞われ、再び、船底で必死に船酔いと戦う日々が続いた。

Tc-99はどこに消えたのか?(その2)2024年04月12日 06:55

 Tc-99(テクネチウム-99)はテクネチウムという人工元素の同位体のひとつで、陽子と中性子の合計が99個の同位体である。

 この同位体は、一般にはウランー235の核分裂で生成されるモリブデン‐99という同位体を核分裂生成物の中から化学分離し、更に自然崩壊することで生成するテクネチウム-99mがガンマ線を放出して生成される同位体である。

 テクネチウム-99mとテクネチウム‐99の差はその原子核が励起しているかどうかの差であり、テクネチウム‐99mは141KeVのガンマ線を放出し、半減期6時間でテクネチウム-99に変わる。

 SPECT検査(SinglePhotonEmissionComputedTomography)という核医学検査においては半減期が短く、且つ、放出されるガンマ線が一種類であることが検査を行うのに適している。テクネチウム‐99mはこの条件によく適合しているので、9割以上のSPECT検査で使用されている。日本では、2017年度に300TBqのテクネチウム-99mが使用された。
(久保他、核医学ノートp.21、金原出版)

問題となる可能性のあるのは、テクネチウム-99mが患者に注入(一般には静注)された後、回収が難しいために、崩壊したテクネチウム-99が患者から体外に排出されることである。それが検出可能かどうか。

 上記書P.108 によれば、脳血流SPECT検査では、テクネチウム-99m370~740MBq静注後、5分以内にSPECTを行うが、一日後にはほとんどがテクネチウム‐99に崩壊する。テクネチウム-99は半減期22万年の長半減期核分裂生成物であり、使用済み燃料廃棄物の地層処分で問題となる同位体と同じものである。(元々モリブデン‐99が核分裂生成物から分離したものであるので当然同じものが医療用でも生成する。)

 では、例えば370MBq注入された患者の保有テクネチウム-99の放射能はどの程度かと言えば、半減期の比、3.1E-9を乗じた値。、即ち、1.2Bqなのである。これが体外に放出されても、水で薄められれば検出は不可能になる。

 放医研の下記報告では、環境中のテクネチウム-99の検出限界は
約0.3mBq/lだそうである。4リットルの水で薄められれば患者からの排泄物から検知はできなくなるということである。

 https://www.jstage.jst.go.jp/article/jhps1966/33/1/33_1_35/_pdf

 しかし、日本全体では年間300TBqのテクネチウム-99mが使用されているので、テクネチウムー99としては年間93万Bqが環境に排出される。これは毎年蓄積していくので、地層処分で問題となる1000年後での蓄積量は930MBqということになる。1000年後に環境中で検出されたテクネチウムー99が、地層処分された核廃棄物から漏洩したテクネチウムなのか、医療用テクネチウムからのものなのか、区別ができなくなることが問題になるかもしれない。

ザポリージャ原発の核攻撃シミュレーション2024年04月10日 11:24

下記のリンクによれば、通常の原爆で原子炉を攻撃しても、攻撃された原子炉自体の放射能や爆発によりすぐに死者が出る可能性はほぼない。それよりも投下された原爆の核爆発による直接的被害が圧倒的に大きい。

即ち、恐れるべき対象は原発ではなく、原爆自体なのであるが、この混同をあえて行っている一部マスコミがあるようだ。

https://drive.google.com/file/d/1M6JZNz7TBhtppjQwjL5aWrOKc0Ti7DlR/view?usp=sharing

リニア新幹線問題解決法〜その22024年04月04日 00:26

 昨年7月に以下のブログを書いた。
ここで、ポイントは二軒小屋上流の田代ダムから発電のために大部分を富士川に横流ししている事である。

現知事はこれを知ってか知らずか県民を騙してJR東海に嫌がらせをしたのである。
下記の静岡県出身者も某大学卒であったが、この問題を全くしらなかった。牛を飼ったり、野菜を作ったりした事はない人であるが。
現知事は選挙民を騙す事には長けているのだろう。
基本、大井川は、その下流でも畑薙第一、第二ダムや井川ダムといった巨大なダムを連ねているので、50年前から水無川だった。
これらを選挙民を騙して現知事は当選したという彼の政治手法の典型である。

以下は23年7月のブログの再掲である。

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静岡出身の知人によれば、リニア新幹線トンネル掘削工事による大井川水系への影響についての静岡県知事の問題提起は水利権に関わる歴史的経緯を考慮すれば、故無きものではないということである。

 しかし、JR東海による静岡県民心理の読み違えが問題の本質であろう。これを解決するのはある意味簡単である。

 それは、静岡県内にリニア新幹線の駅を設置することである。リニア新幹線の静岡南アルプス駅候補としては静岡工区の千石川非常口の北にある二軒小屋付近に設ければよい。
現計画では静岡工区の千石川非常口は事故時の非常口のようだが、これを駅のある正式出口にすればいよい。これは比較的簡単に設計変更できるはずである。
 この新駅設置をJR東海に静岡県から申し込むだけで殆どの問題は解決するし、静岡県の面子も立つ。
 二軒小屋には元々静岡県の関連林業企業などが設置した宿泊施設があり、南アの中核的登山基地である。昔、ここに泊まって、大井川のイワナ釣りを楽しんだことがあるが、上高地に雰囲気が似ている。
 畑薙ダムから歩きだと丸一日かかるが、ここに東京から1時間で行けるとなると、日本有数の観光スポットになる。

 首都圏の登山人口比率を1%としても毎年少なくとも十万人がリニア新幹線の二軒小屋駅を訪れる。
 また、二軒小屋は今は休業しているが。上高地のように帝国ホテルなどを呼べば、南アルプスの屈指の観光地になる。
 更に、荒川岳にロープウエイなどを延ばせば、日本のグリンデルワルトにもなり得る。
地元では南アルプスの良さが分からないのかもしれないが、静岡県は県を挙げてこの新駅をJR東海に要求すればよい。

 大井川の水流問題などは、二軒小屋に隣接する田代ダムの水の富士川側への流量を減らせば簡単に解決する。富士川の発電所は東電所掌なのだから、JR東海にこの水利権交渉を任せれば簡単に解決する。

 ともかく、県知事も支持する県民も地元の観光資源の良さに気づいていない。JR東海は東京と名古屋しか頭にないので、更に悪い。スイス人の頭の良さを見習ってほしい。そして、最近の日本人の自然志向にちょっとは気づいてもらいたい。ビジネス客だけが乗客ではない。

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補足

二軒小屋に駅を作ると自然破壊だという意見があった。富士山であれだけ自然破壊をしている登山者からの意見である。単純に入山規制をすればいいだけである。いまでも畑薙ダムから二軒小屋まではディーゼルバスが大気汚染を広げながら登山者を運んでいるのである。

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頻尿時トイレの仕方〜主に高齢男性向2024年04月01日 05:55

このブログは品より、実質的利益を優先している。

頻尿時にトイレで困るのは、座る途中で漏れてきて周囲や下着を濡らす事である。

最近はテレビのえいきょうもあr、男性も洋式トイレで座る様に家族から指示される(^_^);。

だが、座るという動作は下腹部から一瞬力を抜く事でもある。その際に、脳から安心信号が出てもらしてしまうのである。

こうならない為には、放尿直前まで下腹部に力を入れた状態を維持する事である。

これは、立ったままの状態を維持する事である。

即ち、家族からなんと言われようと、昔ながらのすたいるにすべきなのであr。どうせ散らかすのだから後でゆっくりといれないを清掃すれば良い。

詳しくはわからないが、昔、山村でお年寄りの女性が道端で立ち小便をしているのをみかけた。女性でも可能な方法かも知れない。

小林製薬のカビ毒安全性評価2024年03月28日 00:14

https://research.kobayashi.co.jp/material/benikoji/benikoji_report03_1.html

に紅麹のカビ毒、シトリニンの安全性評価論文がある。

中国産はシトリニンが検出されたが、小林製薬のものからは検出されなかった、という良くある比較対象試験である。

この英語論文は査読が通っているが、査読者も多少は責任があるだろう。

すくなくとも、小林製薬の意図は分かるのだから、遺伝子変異や品質管理にコメントすべきだった。

これは製薬会社と大学との歪な関係の一例でなければ、幸いである。

甲子園のカメラマン席を無くせ2024年03月27日 23:38

昨日も甲子園でカメラマン席に選手が飛び込んだ。

ちょっと考えれば、あのカメラマン席が如何に危険か分かりそうなものである。ファールを追っていたら、膝の高さの壁があり、その向こうは1メートル以上の深い穴である。

このような構造は、甲子園以外では一箇所あるかどうかである。大リーグでも見たことは無い。予選の行われる地方の球場にはほぼ無いだろう。

選手は甲子園で初めてこの構造に出くわし、怪我のリスクとファールボールを追って、カメラマン席に突っ込んでいく。

良い絵と選手の健康のどちらが優先されるのか、高野連の御偉方は分からないのだろうか。

もっとも、某マスコミが主催者に名を連ねているのでは、選手のリスクという優先順位より、根性論が大切にされるのかも知れない。

怪我人が出る前にあの様な危険な構造は潰すべきだ。

予選で慣れている、ダッグアウトとは異なるのである。

ロシアの銃規制状況2024年03月24日 10:44

 ロシアの専門家ではないが、コロナ前にモスクワを訪れたとき、機会があってモスクワ近郊の観光市場に行ったことがある。
 そこにはいろいろな出店があったが、その中に様々な銃をそろえて展示している店があった。聞いた話では退役軍人や南部の紛争地域から戻ってきた戦闘員が様々な武器を横流ししているそうだ。

 もちろん非合法だと思うが、私が珍しいからスマホを向けて写真を撮ろうとしたら、大声で怒鳴られ、危なく銃撃されるところだった。

 そこの警察はどういう取り締まりをしているのかよくわからないが、裏では武器が流通しているように感じる。何しろ泊まったホテルには経済マフィアっぽい一団が高級ラウンジでなにやら相談しているのを目撃した。

 真相は謎だが、国境の南には多くの紛争地帯がある。警察国家であっても、テロ集団が活躍する素地は十分あるように感じた。

オーケストラを奏者の後方から聴いてみたら2024年03月24日 06:44

 昨日、オーケストラを大ホールで聴いた、或いは拝見したともいえる。
その座席がオーケストラの後ろの2階席である。

 初めての経験なので、いろいろ面白かった。
打楽器奏者が良く見えるのである。あの撥さばき(瞬間的に撥を取り換えないと追い付かないし、一瞬の手の滑りが演奏には致命的な影響を与える。その見ていての緊張が臨場感を高める。

 また、金管奏者は、時折、管の一部を外して、床に向けて振っている。これは中にたまった水分を切っているのではないだろうか。それも演奏の合間なので、結構緊張感がある。

 打楽器も、金管も迫力を持って、弦楽器よりも大きな音で聞こえるので普段とは違って、寝ることはなかった。(済みません、これまでは気持ちが良かったので寝てしまっただけです。)

 そういうわけで、素晴らしい経験だった。指揮者の表情や身振りもよくわかり見ていて楽しい。

 ただ、次回もその席で聞きたいかと言えば、やはり、音のバランスが通常の前方の席とは異なっていて違和感があった。指揮者が聞いている音とは異なるのだから、指揮者が意図した音楽にはなっていないのかもしれない。

 次回は前方、上部の席で聞いてみようと思う。

Tc-99はどこに消えたのか?2024年03月18日 20:09

 SPECT検査で使用したモリブデン‐99(Mo-99)の娘のテクネチウム-99m(Tc-99m)はガンマ線を出して孫のテクネチウム‐99(Tc-99)に世代交代をしたはずである。しかし、この孫核種はなかなか曾孫核種(ルテニウム-99(Ru-99)に変わらない。変わってくれれば安定なので放射線は出さない。しかし、孫核種のTc-99は平均世代交代(物理用語では半減期ー別に減るわけではなく、別の核種に変換されるだけである。)に22万年もかかる。そのため、世代交代時に放出されるベータ線やガンマ線がなかなか見つからないだけの話である。即ち、半減期が長いということは放射線を出す確率も低いわけだから、実は影響力は小さいということなのである。
 しかし、マスコミは、半減期が長いと、いつまでも無くならないので問題が大きいといういい方になる。それならば、安定核種はいつまでたっても無くならないのだから、放射性物質よりも一番問題が大きいということになる。
 どちらが正しい認識なのか、常識があれば理解はできるだろう。
実は水素の原子核(陽子)ですら、安定ではなく、わずかながら放射線を放出して崩壊する。長半減期が危険だというマスコミの言い方を真似れば、水素こそが最も危険な放射性物質ということになる。陽子は半減期10の30乗年で中間子と陽電子に崩壊することが分かっている。陽電子は電子と反応し、ガンマ線を発生する。即ち、普通の水から勝手にガンマ線が出ているのである。

 ところで、SPECT検査を受けた数千万人の患者、元患者から放出されているTc-99はなぜ、見つからないのか。それは、その崩壊で放出されるベータ線のエネルギーが低い(294KeV)ので、地中や宇宙から放出される放射線(主として1MeVレベルのガンマ線)がTc-99のβ線エネルギーよりも数けた大きいため、環境ガンマ線の減速による低エネルギ―ガンマ線の雑音(バックグラウンドとも称する)に紛れて、検出しにくいのである。即ち、ベータ線検出器は最初にベータ線とガンマ線の合計線量を検出し、次に表面にベータ線のみ遮へいするフィルターを付けてガンマ線のみの線量を検出して、その差分からベータ線の線量を測定するのだが、その差分がバックグラウンドであるガンマ線線量に比べ数ケタ小さいので検出が困難なのである。
 
 検出器精度が仮に良いものができれば、Tc-99は日本中、特に病院や患者の下水から大量に発見されるはずである。しかし、それは、他の放射線の影響に隠れていてわからない。即ち、影響がないということになる。

 地中処分される核のゴミと言われる廃棄物も長期的には現在の病院などから放出されているTc-99と同様の長寿命放射性核種だけになる。
世界には。日本より放射線のバックグラウンドが10倍以上高い地域がある。例えば、インド南西部などである。その地域のがん発生率は日本よりも低いことが報告されている。この事実を考慮すれば、放射性物質が、長寿命だから危険だというマスコミの論理は間違いだということにきずくことができるだろう。