中性子を用いたインフラ健全性検査の改良案 ― 2026年01月13日 15:14
今朝のNHKニュースで、理化学研究所(理研)などが開発した中性子を用いたインフラ健全性検査技術の開発について報道されていた。
理研は得意の加速器技術を用いて、下水管などの構造物の劣化を中性子照射と中性子検出の組み合わせで、計測する技術を開発している。システムはRANSと呼ばれている。陽子加速器で発生させた中性子を構造物(下水管の場合はコンクリートなど)に照射し、その反射強度を測定する。中性子なので反射した中性子は後方散乱中性子と呼ばれている。中性子の原子核による散乱は、玉突きでのボールと似ていて360度方向のどの角度にも散乱可能である。入射した方向に戻る散乱が後方散乱と呼ばれている。これを測定することで、散乱体の厚さが推定できる。散乱中性子を中性子検出器で測定してその強度から下水管のコンクリートの厚みを測定したりできる。
このような検査方法は放射線非破壊検査と呼ばれており、よく使用されている方法は、イリジウムなどの放射性物質から発生するガンマ線を検査対象の構造物に透過させてその透過率から構造物の残った厚さを測定することである。しかし、この方法では下水管の厚さを測るには下水管の下に検出器を置かなければならない。
RANSでは中性子の反射強度を測るので中性子線源、中性子検出器共に下水管内に配置できることが売りになっている。
問題は、陽子加速器である。近年小型化が進んだとはいえ、小型でも加速器の全長は5m程度ある。
https://www.riken.jp/press/2019/20191118_4/index.html?utm_source=chatgpt.com
これは、BNCTという中性子を用いたがん治療装置と同様、中性子を発生させるために、陽子を当てるターゲットを、従来用いられてきたベリリウムからリチウムに変更することで、中性子発生率を向上させたことによる。
しかし、5mでも日本の入り組んだ道路下の下水管内にこのシステムを潜り込ませたり移動させたりするのは困難だろう。
そこで、別の中性子源を利用することを考えたらどうだろうか。
一般には軽水炉ではカリフォルニウム中性子源という自発的に核分裂をする中性子源が用いられているが、RANSチームもそれは検討したらしい。しかし、中性子線源強度が弱く、米国から大量に輸入する必要があるが陽子加速器並みに強くするには軽く数百億はかかるという。また、被ばくを避けるための遮へいや、RANSで用いるための線源のパルス化も難しいという欠点がある。
ここで改良提案は以下のとおりである。
(1)アンチモン-ベリリウム中性子源を用いる。
(2)パルス化装置については、エネルギーが決まった単色中性子なので、不要となる。
(1)のアンチモン-ベリリウム中性子源とは、アンチモンの金属棒を原子炉で照射して、その棒をベリリウムの円筒容器の内部に挿入すると放射化したアンチモンからガンマ線がベリリウムと反応して中性子を発生する装置である。したがって、挿入しない限り中性子は発生しないので遮へいは容易である。ただ、照射したアンチモンは発熱するので適当な徐熱装置が必要だが、ブロワーで空気冷却すれば良い。アンチモン棒は長さが0.5m程度なので、都市空間での下水管への適用は容易だ。
(2)については、ガンマ線エネルギーが決まっているのでパルス化もエネルギー測定に必要なTOF装置も必要なく、十分な精度で散乱中性子を測定できる。
問題はアンチモンのガンマ線強度をいかに上げるかだが、これは実用レベル原子炉の中性子束を使えば十分可能であろう。
理研は原子炉を所有していないので、加速器のみで何とかしようとしているのかもしれないが、ALL JAPANでJAEAや電力などの協力も含めてRANSの高度化、実用化を図ってもらいたいものだ。
理研は得意の加速器技術を用いて、下水管などの構造物の劣化を中性子照射と中性子検出の組み合わせで、計測する技術を開発している。システムはRANSと呼ばれている。陽子加速器で発生させた中性子を構造物(下水管の場合はコンクリートなど)に照射し、その反射強度を測定する。中性子なので反射した中性子は後方散乱中性子と呼ばれている。中性子の原子核による散乱は、玉突きでのボールと似ていて360度方向のどの角度にも散乱可能である。入射した方向に戻る散乱が後方散乱と呼ばれている。これを測定することで、散乱体の厚さが推定できる。散乱中性子を中性子検出器で測定してその強度から下水管のコンクリートの厚みを測定したりできる。
このような検査方法は放射線非破壊検査と呼ばれており、よく使用されている方法は、イリジウムなどの放射性物質から発生するガンマ線を検査対象の構造物に透過させてその透過率から構造物の残った厚さを測定することである。しかし、この方法では下水管の厚さを測るには下水管の下に検出器を置かなければならない。
RANSでは中性子の反射強度を測るので中性子線源、中性子検出器共に下水管内に配置できることが売りになっている。
問題は、陽子加速器である。近年小型化が進んだとはいえ、小型でも加速器の全長は5m程度ある。
https://www.riken.jp/press/2019/20191118_4/index.html?utm_source=chatgpt.com
これは、BNCTという中性子を用いたがん治療装置と同様、中性子を発生させるために、陽子を当てるターゲットを、従来用いられてきたベリリウムからリチウムに変更することで、中性子発生率を向上させたことによる。
しかし、5mでも日本の入り組んだ道路下の下水管内にこのシステムを潜り込ませたり移動させたりするのは困難だろう。
そこで、別の中性子源を利用することを考えたらどうだろうか。
一般には軽水炉ではカリフォルニウム中性子源という自発的に核分裂をする中性子源が用いられているが、RANSチームもそれは検討したらしい。しかし、中性子線源強度が弱く、米国から大量に輸入する必要があるが陽子加速器並みに強くするには軽く数百億はかかるという。また、被ばくを避けるための遮へいや、RANSで用いるための線源のパルス化も難しいという欠点がある。
ここで改良提案は以下のとおりである。
(1)アンチモン-ベリリウム中性子源を用いる。
(2)パルス化装置については、エネルギーが決まった単色中性子なので、不要となる。
(1)のアンチモン-ベリリウム中性子源とは、アンチモンの金属棒を原子炉で照射して、その棒をベリリウムの円筒容器の内部に挿入すると放射化したアンチモンからガンマ線がベリリウムと反応して中性子を発生する装置である。したがって、挿入しない限り中性子は発生しないので遮へいは容易である。ただ、照射したアンチモンは発熱するので適当な徐熱装置が必要だが、ブロワーで空気冷却すれば良い。アンチモン棒は長さが0.5m程度なので、都市空間での下水管への適用は容易だ。
(2)については、ガンマ線エネルギーが決まっているのでパルス化もエネルギー測定に必要なTOF装置も必要なく、十分な精度で散乱中性子を測定できる。
問題はアンチモンのガンマ線強度をいかに上げるかだが、これは実用レベル原子炉の中性子束を使えば十分可能であろう。
理研は原子炉を所有していないので、加速器のみで何とかしようとしているのかもしれないが、ALL JAPANでJAEAや電力などの協力も含めてRANSの高度化、実用化を図ってもらいたいものだ。
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