新型コロナの治療費と医療崩壊、国民総保険制度2021年01月27日 05:00

 新型コロナ患者の入院治療費は4週間で約23万点だそうである。
健康保険制度の診療点数は1点10円なので、230万の医療費になる。しかし、新型コロナは第2類伝染病なので支払いは無料である。代わりにこれを国費から支払うことになる。菅首相が病床についての医療崩壊に関する質問で、つい国民総保険に触れてしまったのは、故のないことではない。
 厚労省が従来医療制度の基本である診療点数をどう決めているか、その趣旨は生かさず、殺さずであろう。需給調整を市場に任せる資本主義では、病床利用の点数が高ければ医者は過剰診療になり、たくさん病床を用意するであろう。点数が低ければ、あまり病床がなくなり、多くの患者は入院できない。従って、ほどほどの点数にして、必要十分な病床で医療費を抑制してきた。
 しかし、ここで、新型コロナという予測のつかない、しかし、短期的には大量の病床が必要な病気がでてきた。これをすべて従来の病床数と国費で賄うことなどできそうもない。点数を上げて病床数を増加させたら、当面はよいが、長期的には過剰診療で医療崩壊は免れない。このままの点数では、すでに医療崩壊が始まっている。
 市場資本主義と医療は両立できないという見本であろう。医療も国防と同じく市場には任せられない分野ということで、審議会などという無責任な集団に依存してきたつけが回ってきた。中国などと同様、厳しい規制が短期的には望ましいが、ニュージーランド、台湾など西側でもうまく対応している国もある。この教訓を将来に生かすためにこれまでの記録を詳細に残しておくべきだ。
 それにしても、感染した某国会議員の医療費が無料になるのか。感染者リスト公開ミスなどよりもこちらの方をマスコミに追及してもらいたいものだ。