食糧自給とエネルギー自給の相関関係2022年09月19日 14:14

 ロシアのウクライナ侵攻以来、エネルギー自給とともに食料自給も重要であることが再認識されている。最近は原発の再稼働を政府が本腰を入れてきたのはその表れかもしれない。

 食料自給で重要なのは、農業飼料の確保である。その中に放射性物質が含まれるカリウム肥料がある。カリウム-40は福島事故で問題となっているセシウム-137と同様ベータ崩壊する放射性同位体で、天然カリウムに0.01%含まれる。日本へのカリウムの総輸入量は、2013年において約235千トンである。
(出典:鉱物資源マテリアルフロー
https://mric.jogmec.go.jp/report/page/2/?category%5B0%5D=material_flow

 これは、カリウム-40の原子数に換算すると、4.33×10の29乗個となる。これは、カリウム-40の年間輸入重量が29トンであることを示している。

 一方、福島事故でのセシウム‐137で52京ベクレルである。
(出典:https://www.yomiuri.co.jp/shinsai311/feature/20210304-OYT1T50094/

これは、セシウム-137原子数に換算すると7.1×10の26乗個となる。また、このセシウム-137の重量は、0.16トンとなる。上記の年間カリウム‐40輸入量より3桁小さい。

 どうして、カリウム‐40の放射能が問題にされないのか。それは、半減期が約10億年と長く、半減期約30年のセシウム-137に比べゆっくり崩壊するため、短期的には放射能が目立たないためである。
 しかし、その消滅までの総放射能は毎年農地に散布されるカリウム‐40の原子数に比例する。即ち、消滅までの全機関の環境への影響はセシウムー137の3桁以上大きいことになる。

 エネルギー自給のための原発事故影響にくらべ、食料自給のための肥料輸入による放射能影響の方が長期的なインパクトは3桁以上大きいということである。

 エネルギー自給も食料自給も放射能の影響の検討抜きでは成立しないということになる。このような放射能の人体に対する影響があるのかないのか、どちらが大きいのか、早急に検討する必要がある。