やはり長崎原爆データはおかしい2026年08月16日 09:45

映画オッペンハイマーでは、トルーマンや軍部と長崎原爆を開発したオッペンハイマーらのグループの対立が描かれ、尾崎博士の長崎の鐘では被爆翌日にB29から大量にまかれた長崎原爆の規模が分かるビラの記載があったためか、出版までにGHQの検閲に2年を要したという。これらは、長崎原爆の出力データに対し、何らかの捜査が入ったのではないかという疑いに繋がる。

公開データによるウラン型広島原爆とプルトニウム型長崎原爆のモンテカルロ計算値として即発中性子寿命は2桁程度の差がある。これも長崎原爆がDNA損傷をより多く残す傾向を示している。

最近の解析では、長崎原爆のほうが発がん線量のしきい値が広島原爆よりもかなり低く、女性では広島では閾値があるが長崎ではしきい値が現れない。これは長崎原爆のほうが記録上同一被ばく量であっても発がんしやすいことを示している。

原爆被爆者の記録が間違っているのか、広島の原爆と長崎の原爆の構造や物理特性の差によるものか現時点では不明だが、これが現在の各国の被ばく防護基準のベースデータになっている以上、その差の原因は解明されるべきだ。

そのためには、まずは、今では古くなった長崎原爆を含む原爆構造の詳細と放射線源データの評価の見直しが必要である。

現時点で日米共同で設立したはずの放射線影響研究所は放射線線源データだけは米国側の専任事項であり、日本人研究者は見ることができないし、もちろん公開もされていない。公開されている部分は原爆の外部の放射線量だけであり、どうやってそれを出したのか米軍内部関係者以外はチェックすることができないのである。

原爆投下時刻の差と爆発時間の差の複雑な関係2026年07月31日 08:53

今日の朝日新聞には広島ー長崎の原爆の投下時刻の差、75時間をつないで今年は祈りの行事の計画があるということだ。

この時刻差はトルーマン大統領が日本の降伏受諾のタイミングと予期されたソ連との冷戦の長崎型原爆被害による示威のためのタイミングを睨んで設定したものだと思う。

長崎型のプルトニウム原爆は大量生産が比較的容易だが、爆発の確実性は実験をしないと確認できない不安定性を含んだものだからである。

この結果、日本は2重の被害を受けたわけだが、その被ばく者生存者データの利用が不適切だったために三重の被害を受けていると思う。

それは両原爆の爆発時間の差を被ばく者データ分析の中で敢えて(としか思えないが)無視しているためである。

最近行った、モンテカルロ計算による両原爆の核分裂連鎖反応の世代時間は、長崎原爆は広島原爆より約2桁短い。即ち、被ばく量ではなく、被ばく時の被ばく線量率が大きく異なる。(7月21日本ブログ参照)

これは、両市の被ばく者生存者のがん発生率等の被ばく影響に大きな影響が出るはずである。このような瞬間被ばくは20世紀まで人類は浴びたことがなく、免疫も十分には働かなかったはずだが、それを無視した統計解析が行われており、現在の世界各国の被ばく防護関連法規のベースとなっているICRP(国際放射線防護委員会)の勧告に採用されている。この基準では瞬間被ばくのような高線量率への対応ができていない。

このため、もう一つの20世紀以降の瞬間被ばくである太陽フレアによる高空での瞬間高エネルギー被ばくを防ぐことができない。大気による遮蔽がされていないためである。これが米国航空会社のCAにおける乳がんや子宮がんの異常な増加につながっていると考えられる。これは旅客も同じリスクを持つが調査はされていない。これが第3の被害である。

その主原因は米軍の軍事機密により、原爆の爆発事象が日本側に詳しく伝えられなかったことにある。現在でも広島の放射線影響研究所が発行している両原爆の線源データにはほとんど解析可能な情報がでていない。爆発時間は両原爆とも1マイクロ秒以下と書いてあるだけである。
これは線源計算が米国籍研究員の専任事項になっていることによる。

7月21日ブログに示したモンテカルロ解析は公開の原爆構造情報(Wikipedia)をモデル化し、静的モデルにおける核動特性解析を何とか行った結果である。このような解析を十分な精度で行うことでICRP基準も質的な変更をせざるを得なくなるが、そのためには両原爆の機密情報を米側が公開または日本側に開示することである。北朝鮮も使おうとしない(ミサイルにも搭載困難なという理由で)この旧型の両原爆の詳細情報を日本政府はなぜ米国に要求しないのだろうか。

反核運動団体やマスコミも反対運動や祈り以外にやるべきことを米国に要求すべきではないだろうか。

また、ICRP基準の見直しに対し、無用な摩擦を避けようと反対する電力事業者や一部原子力業界関係者、必要以上の遮蔽強化により利益を受ける建設業界関係者も、既得権益の確保のみでなく、一般公衆、増え続ける航空旅行者や現行法規制に従うことで生じた福島災害関連被害者等への配慮のために以上のような基準見直しを許容すべきである。

正夢か錯覚か2026年05月21日 07:22

 数年前の夏のことであるが、以下の経験をした。

(1)ある朝起きる前に、小学校の恩師の夢を見た。これまで時には思い出すこともあるが、初めて突然の恩師の夢を見たのである。
(2)その夕方、電話が鳴った。小学校の同級生からであった。その時、この電話は恩師が亡くなった知らせだとすぐに直感し、同級生からその言葉が出る前に冷静に対処できたのである。

このような事象は心理学的には正夢の錯覚だという説明となっている。
菊池聡「錯覚の科学」放送大学出版会、P155では下記のようにぶんせきできる。

これが錯覚である随伴性指標ΔPは下記の表の事象数から

       電話知らせあり    知らせ無し

夢あり       A          B

夢無し       C          D


  ΔP=A/(A+B)ーC/(C+D)

が誤差以上に大きい値なら錯覚ではない。

ところで、この恩師の知らせの場合、私の記憶では、B、Dは0であるし、Cでもなかった。

即ち、ΔPは1なので正夢のはずであるということになる。

但し、CとDはともに0なのでこれは不定という説明も可能かもしれない。

正夢なのか、不定なのか、いつか脳波の研究が進むと何かわかるのかもしれない。

錯覚の科学のテキストでもまだ錯覚の説明ができない事象もあるようなのでこれが正夢ということになれば、恩師からのお知らせを受けられて感謝しかないということになる。

AIとの付き合い方2026年05月02日 11:09

 様々なAIツールが世間を騒がせている。
実際、利用すると便利で簡単に答えを出してくれる。分かった気にさせてくれることが多い。コスパ,タイパは最高だ。

 ただ、問題はその信頼性だ。このブログでもさんざん書いたが平気でうそをつく。人間よりは嘘をつく頻度は低いかもしれないが、自分が良く分からない分野の知識を仕入れようとするために使っているので、後で致命的な損害を受ける可能性もある。

 従って、最近はAIの回答を他人のために使用するときはその旨明示してから使用することにしている。

 理想的にはAI各社がソースを公開し、そのアルゴリズムをチェックできる体制を作れればいいのだが、現状では無理だろう。例えば自分で生成AIコードを開発できればいいのだが、実際にはデータ入手も含めまず可能性はない。

 単純なプログラム作成をAIに頼むときはその動作確認を実際にやってから利用するなどのチェックが必要だ。

 Pythonなどの公開システムを使うときにはあまり一般的でないモジュールを利用するとバグがあるかもしれないのでその前提で利用する必要がある。

 モンテカルロコードのように誤差幅を考慮して使うことも重要だ。

結論として、不安のあるAI回答を使用する場合には、それが間違っていても、結果が致命的にならない範囲で利用するよう心掛けなければならない。従来の人主体の仕事でも致命的な事象が生じないよう注意していたはずである。それと同じことだが、便利なだけにチェックをせずに使用してしまうことが増える。

逆に簡単なことでもAIの回答には一定のミスやバグが入ることを前提により慎重な対応とチェックが必要だということになる。

被ばく影響が2次曲線だとするとどうなるか2026年04月22日 03:40

 RERFのLSS(Life Span Study)-2009研究のまとめが下記論文に示されている。
Preston, Dale L. et.al, "Solid cancer incidence among the LSS of atomic bomb survivors: 1958–2009",Radiation Research 187(2017)

この論文では広島・長崎の被曝生存者の長期追跡調査結果を用い、被ばく量とがん発生率の関係を統計学的に明らかにしようとしている。その結論として、

 男性被ばく者の被ばく量と年間がん発生率は2次式の関係が良くフィットするーと記されている。

 即ち、ERR(Excess Relative Risk):被ばくによるがん発生過剰相対リスクは以下の式で良く表されると結論したのである。

 ERR=a*R*R+b*R・・・・・・・・(1)
   R:直腸線量(Gy)
   a,bはfitting係数

この意味するところは、国際放射線委員会(ICRP)が主張してきたLNT(Linear Non-Thread)仮説の否定でもありうる。LNT仮説とは線量がいくら低くても高線量被ばくと同様の直線的関係があり、被ばく影響がないというしきい線量は存在しないという仮説であり、これが各国の被ばく基準の設定に採用されている。

 (1)式は一見、Rが0ならERRが0となり、LNT仮説と矛盾しないように思えるが、そうだろうか。

 2次式で定数項がないという事象はめったに出会わない。
即ち、仮に(1)式を

 ERR=a*R*R+b*R+c ・・・・・・・・(2)

の一般的な2次式にしたらもっと良く調査データにfitすると考えるのが常識的であろう。なぜこれをしなかったのかーLNT仮説との矛盾が明らかになるためだろう。なぜなら(1)式よりも(2)式がよりよくfitするということはRが0に近い範囲でERRが負になるということが明らかになるということでもある。これは生物学的にはホルミシス効果と言われているが、小線量では被ばく影響がないという以上に健康上の好影響もあるという仮説である。

 この(2)式が良くデータに合うかどうかを上記論文と同様の手法を用いて第3者が検証しようとしても現在は不可能に近い。

 なぜなら、RERFは元の被ばく者調査データLSS-2009データを非公開扱いにしているためである。

 この非公開扱いとしている真の理由はこのようなLNT仮説を否定するような評価が発表されることを恐れたためとも考えられる。是非、RERFはこの非公開扱いを撤回してもらいたい。LNT仮説を最初に主張したICRPは、石油と自動車産業に密着しているFORD財団が主たるスポンサーであることを自らのホームページで明らかにしている。仮にRERFがスポンサーである米国政府の意向を汲んだものならなおさらこのエネルギー危機の時代に庶民に対する裏切り行為とも見られかねないのだから。

広島原爆の入市被爆者70年後の体内からウラン検出2026年04月20日 04:32

4/19のNBC長崎放送の報道によると「広島で入市被爆し70年後に亡くなった女性の体内から、死後原爆由来の放射線が検出され、さらにその周辺で「デスボール」と名付けられた細胞の空洞が確認されたことが長崎大学の研究でわかった」そうである。

 この患者は爆発の瞬間は市外におり、その2日後に広島市内に入り、爆発ののち上空から降下したウランの燃え残りを吸入したと考えられる。原爆内の約9割のウランは大気中に核分裂しないまま拡散したと言われているので十分ありうる想定である。

 広島の放射線影響研究所(RERF)は、原爆による被ばく者のがん発症者の調査データを独占的に管理しており、各国の被ばく制限に関わる放射線被ばく基準のベースとなっているLSS(LifeSpanStudy,寿命研究)を長年行っている。最近のLSS研究報告は2009年になされている。これはLSS-2009と呼ばれている。

 このLSS-2009研究では、爆発の瞬間に市外にいた住民は被ばく者ではなく、NIC(NotInCity)と分類され、市内にいた被ばく者のがん発症例のコントロール(比較対象者)として扱われている。

 問題はこの患者がLSS-14でがん発症事例に含まれているのかどうかで被ばくによるがん発症確率が変わることになる。

 現在LSS-2009データは、RERFから非公開の扱いになっている。なぜそうしたかは不明確なままである。仮に一事例であれ、この患者の事例が現在の法律にどのように反映されているのか第三者が検証する手段は断たれている。

 RERFは日米両国政府の資金で運用されているのだが、このような事例による現在の法規制基準への影響確認のためにも、LSSデータの速やかな再公開が望まれる。

小説国宝で読み解く長崎原爆被爆データの特異性2026年01月01日 21:20

 話題の映画「国宝」の原作、吉田修一著「国宝」朝日文庫のP.50 に主人公喜久雄の恋人春江とその母親との3人の会話が描かれている。喜久雄が母親に対し、「3人でスパスパ吸えば(タバコは)直ぐなくなるさ。」といっている。昭和40年ごろの長崎の花街での会話である。

 被ばく者データで疑問に思っていたのは女性の喫煙率の高さである。喫煙はがん発生の主要因のため、喫煙効果と被ばく効果が混在する被ばく者発がんデータでは喫煙履歴を詳細に調べ、非喫煙者の発がんデータとの比較から放射線被ばくの影響を分離するのだが、喫煙者割合が多ければ、同じ発がん率であっても放射線影響が大きいと分析されることになる。

 放射線影響協会の公表した被ばく者関連データLSS-14の中に両都市の女性被ばく者の喫煙分類データが含まれている。その値を集計すると
(1)人数
         喫煙状況不明者 非喫煙者 過去喫煙者 現在喫煙者
長崎女性   8615人      6048人   5331人   9954人
広島女性   11661人     7585人  12588人   51787人

(2)人数割合(%)
         喫煙状況不明者 非喫煙者 過去喫煙者 現在喫煙者
長崎女性   28.8%      20.2%   17.8%   33.2%
広島女性   22.5%      14.7%   24.3%   38.5%

となっている。

 即ち、長崎女性調査者のうち、喫煙経験者は約51%であるが
広島女性は約63%であり、10%以上大きい。

 そこで、小説「「国宝」の背景の話となるのだが、もともと長崎は工場が多く、花街も大規模だったので、女性喫煙者割合が多いのが自然だと思われる。この小説の喜久雄や春江などの会話の描写は納得できる。戦前は進歩的な女性ほど喫煙していたようなので、長崎のほうが一般的な都市よりも喫煙者比率が多いと思われる。

ではなぜ、長崎女性で喫煙データが不正確になったのか。

 それは、長崎の若年層の多さだと考えられる。未成年者が法律に違反しているという喫煙申告をするものだろうか。それも女性である。「国宝」の菊枝のように未成年者でも喫煙するものは実際には当時多かったが、その通り申告することは勇気がいる。上記の表で喫煙状況不明者が長崎のほうが約6%多いのは未成年者が多かったということの傍証でもある。

 同じRERFのデータを用いて、20歳未満の女性比率を比較すると

       20歳未満/全調査対象女性
長崎女性:15473人/29948人(51.7%)
広島女性:22459人/51787人(43.4%)
 
となり、長崎女性が約10%未成年者割合が大きい。

 喫煙者比率が、実際には、長崎の女性が多いのに、上記のような理由で広島より小さめになるようにLSS-14データができていたとすれば、がん発生に対する被ばくの寄与が大きくなり、詳細な統計解析の結果、広島女性に比べ、長崎女性のほうが被ばくによる発がんリスクが大きくでることになる。(下記参考記事1参照)

 更に、長崎と広島の原爆のガンマ線スペクトル特性差から女性特有の乳がん発症率の差も加わるのである。(下記参考記事2参照)

 その結果、ほとんど被ばくしていない女性も発がんリスクが大きくなり、放射線に対する発がんリスクの閾値が現れないという結果になったと考えられる。これが各国政府が採用している国際放射線防護委員会ICRPのベースデータになっているが、福島の事故被害者が有害無益な避難を強いられているとすれば、大きな問題だろう。

(参考記事1)
本ブログ2024年8月7日、8月8日、10月18日、12月6日、2025年6月5日記事
(参考記事2)
本ブログ2025年12月16日記事

核を保有したら貧困国になるワケ2025年12月21日 06:24

2025年08月02日の本ブログ記事「核保有で軍事費を安くできるという幻想」でも記載したが、某首相補佐官は核保有の困難さと不利益について理解ができていない。それは一部マスコミと国民も同じだろう。

整理すれば核兵器開発には以下の課題があり、これを行えば日本は北朝鮮やパキスタン以下の貧乏国になり果てるということである。

(1)日本には核兵器に使えるプルトニウムはない。
(2)核兵器を運搬できる手段もない。
(3)核兵器の小型化技術もない。
(4)他国から小型化技術を入手する方法もない。

独自にこれらの課題を解決しようとすれば長期かつ膨大な予算が必要になり、諜報能力のない日本国は北朝鮮以上の貧困国になる。核兵器を保有しても経済的な利益はゼロに等しいうえ、その維持には膨大な軍事費が必要になる。以下、上記の課題の詳細を示す。

(1)プルトニウム問題
 一部国民には日本がプルトニウムを保有しているので原爆は簡単に作れるとの誤解がある。ところが実際には日本の保有しているプルトニウムは原爆にはなりえない組成のものである。これは軽水炉で生成されるプルトニウムの同位体の中のプルトニウム-240が自発核分裂をすることに起因する。プルトニウム原爆が爆発するにはプルトニウム-240比率をプルトニウム全体の3%以下にする必要がある。(米DOEの核兵器プルトニウム組成基準)
 原爆は超臨界(実効増倍率が2以上)になった後に中性子を投入することで爆発するのであるが、自発核分裂により発生する中性子が超臨界になる前に自然に発生するため、核分裂による熱膨張のためすぐに未臨界になり爆発できないのである。
 しかし、軽水炉で生成されるプルトニウム-240比率は20%以上であり、核兵器用のプルトニウムを生産するには新たな原子炉を建設し、長期間運転する必要がある。米国ワシントン州には発電しないプルトニウム生産専用の原子炉が6基ほどあるが、これを日本が国家予算で開発しようとすれば十兆円以上の費用を超える。
 広島型の濃縮ウラン原爆はどうかと言えば、ウラン-235を93%以上に濃縮する必要があり、軽水炉ウラン(ウラン-235約5%以下)より20倍以上の大きい濃縮プラントが必要になるため、米国でもこの開発はあきらめ、長崎型のプルトニウム原爆に絞っているのである。

(2)運搬手段問題
 運搬手段は核兵器の実用化に欠かせない。自国においてあるだけではかえって自分自身が危ない。暴発の危険があるためである。現在、実用化されている運搬手段はICBMと原潜である。これらはいずれも日本は保有していない。大型輸送機はあるが、他国からのロケット攻撃で国内で落下する可能性のほうが大きい。ではICBMの開発にどの程度の費用が掛かるのか、H-8型ロケットで苦労しているJAXAに聞いても答えられないのではないだろうか。北朝鮮のような貧困国になる覚悟が必要だろう。原潜も米国が核兵器つきで日本に渡すとは考えられない。

(3)小型化技術問題
 仮にICBMや原潜が開発できたとしても原爆を小型化できなければ乗せることはできない。現在、米国やロシアの原爆はテラー型という小型水爆とプルトニウム原爆を組み合わせた精密な中性子制御技術を用いて小型化を図っているが、その詳細は機微技術そのものである。自主開発にはテラー並みの天才と高度なIT技術が必要である。現在の日本にはそのような人材も技術も見当たらない。国立大学の予算を削らざるを得ない日本政府にその能力を期待することは幻想だろう。

(4)他国からの導入
 北朝鮮はその諜報能力の高さでこの技術を何処かから入手したと思われるが、日本の諜報能力では世界最低レベルである。
 現在の日本に核技術を提供してくれる国がどこかにあるだろうか。同盟国であったとしても、核兵器を安全に維持することに手間と技術と費用が掛かることは常識である。
 そんな費用があるのならそれを我々核保有国に提供してくれと日本に要求するはずだ。

 核保有の能力も余力もない日本が核保有と言い出すことは、北朝鮮のような国が一つ増えるだけであり、非現実的でどこの国にとっても利益にならないことである。

長崎の女性被ばく者だけがしきい値が出ないワケ2025年12月16日 09:56

被ばく者の発がん状況データは日米政府が出資した原爆影響研究所(RERF)が多くの研究報告書や調査データを公開してきた。その中にLSS-14と呼ばれる2014年の報告があり、比較的詳細なデータを提示してきた。

これを統計分析すると、長崎の女性では、どんなに低線量でも発がんリスクは.正である。広島の男性女性、長崎男性にはしきい値が現れtgているのに。(本ブログ2024年12月06日記事等)

ここではRERFのベースデータから非喫煙者に限定して固形がん発がん症例数と観察対象人年の総計をもとめ、発がん症例数を人年で割った値(発がんリスク比)を原爆の被ばく線量領域ごとに求めた。このデータベースでは、被ばく者の被ばく線量は結腸における線量で整理されている。

下記表で縦軸は各線量領域の最大値(最小値は0)、横軸は固形がん症例数を観察人数と観察年数の積で割った値の各都市ごと、性別ごとの値である。

結腸線量範囲 発がん率(solid/pyr)
(mGy)  広島_男性 長崎_男性 広島_女性 長崎_女性
 0~5   0.0105   0.0105   0.0074   0.0071
 0~20   0.0103   0.0105   0.0074   0.0072
 0~40   0.0102   0.0103   0.0074   0.0073
 0~60   0.0104   0.0104   0.0075   0.0074
 0~80   0.0104   0.0103   0.0075   0.0074
0~100   0.0103   0.0102   0.0075   0.0074
0~125   0.0103   0.0102   0.0075   0.0074
0~150   0.0102   0.0102   0.0075   0.0074
0~175   0.0103   0.0101   0.0076   0.0074
0~200   0.0103   0.0100   0.0076   0.0075
0~250   0.0104   0.0100   0.0076   0.0075
0~300   0.0104   0.0099   0.0076   0.0075
0~500   0.0104   0.0102   0.0077   0.0076
0~750   0.0103   0.0100   0.0078   0.0077
0~1000   0.0103   0.0102   0.0078   0.0078
0~1250   0.0104   0.0104   0.0079   0.0078
0~1500   0.0104   0.0104   0.0079   0.0079
0~1750   0.0104   0.0106   0.0079   0.0079
0~2000   0.0104   0.0105   0.0079   0.0079
0~2500   0.0104   0.0106   0.0080   0.0079
0~3000   0.0105   0.0107   0.0080   0.0079
0~3400   0.0105   0.0107   0.0080   0.0079     

本表から分かることは,両市の男性及び広島女性についてはほぼ被ばくしていない0~5mGyでの発がん率よりも小さい値となる線量領域があるが、長崎女性だけは全て0~5mGyでの発がん率よりも大きいことである。
即ち、低線量であるほど発がんリスクが小さくなっており、発がんにおける被ばく線量のしきい値がないということと整合している。

これらの要因により、国際放射線防護委員会の被ばく基準に関する各国政府への勧告としては、安全側にしきい値無し仮説(どんなに低線量でも発がんリスクがある)が採用され、福島事故での避難区域設定でも用いられた。

なぜこうなるかについてはいろいろな考え方があるが、以下の二つの要因が効いていると思う。

(1)広島と長崎の原爆の構造差
(2)男女の発がん臓器と原爆線源位置の関係

(1)については、長崎の原爆では、発がんの主要因と考えられる即発ガンマ線のエネルギー分布が高エネルギー側に偏っていることが特徴となっている。これはプルトニウム原爆のため、爆縮装置という熱膨張を防ぐ機構が劣化ウラン金属でできており、プルトニウムの爆発により発生する中性子がその劣化ウランと反応して大量のガンマ線が発生するためである。(RERFの線源評価資料DS-86、p.43)

(2)については、女性では乳がん比率が大きいと推定されるが、これが長崎女性のみ特異な結果になっている主要因と考えられる。
 即ち、LSS-14ではデータベースの発がん発症数は各被ばく者の結腸線量ごとに整理分類されていることが一因となっている。
 胸部と結腸部との距離は、男性においてがん発生例数で多いと考えられる前立腺や胃と結腸部の距離に比べ長い。高エネルギガンマ線ではガンマ線の減衰が大きいので(1)のような長崎型原爆では、被ばく線量の実効的な減衰比が広島型原爆の場合よりも大きくなると考えられる。このため、体内の透過距離が長い結腸で評価した場合、胸部の線量は結腸線量よりかなり大きな線量を浴びることになる。
 原爆のガンマ線は上方から地上のヒトを照射するのである。高エネルギーガンマ線の場合には減衰比の小さい低エネルギーガンマ線よりもその差は大きい。広島女性に比べ長崎女性は見かけ上(結腸線量で)低線量であっても乳がんなどの固形がんがより多く発生することになる。
このような理由で長崎女性でのしきい値が生じにくくなったと考えられる。

化学の曖昧さを克服する2025年11月26日 05:38

化学は高校以来あまり好きにはなれなかった。

亀の子記号の複雑な結合と物質名の関係をイチイチ記憶する気になれなかったし、その結合の仕方に法則性も感じられなかったからである。

また、酸性―アルカリ性を表すpHがなぜ0から14までなのかという疑念も試験嫌いな私の心の奥でトラウマのように渦巻いていた。(大げさすぎるか?)

その化学の曖昧さを最近受け入れることができるようになった。そのきっかけは放送大学のインターネット授業の「初歩からの化学」(講師安池 智一放送大学教授、鈴木 啓介東京工業大学栄誉教授)である。

その第3回授業に化学結合を統一的に説明するという内容の講義があり、その中で以下のような説明がある。

(1)元素ごとに電気陰性度という電子との親和力を示す指標があり、その電気陰性度の差の絶対値が二つの元素の結合の種類と関係するというものである。

各元素の電気陰性度の差の絶対値が

0~0.4なら共有結合
0.4~2.0なら極性共有結合
2.0~4.0ならイオン結合

ということになっている。この数値の差も曖昧であるし、結合の区切りも曖昧なのだが、ポイントは結合の原因である。これが第2回授業の解説でもあるように量子論で説明されるものだからである。

即ち、量子論のように確率的な存在であるのが電子の実態であると理解(承服)できれば、その曖昧さ、電子のやり取りを通した結合の様態の曖昧さも受け入れられる(と思い)明確さを諦められる。

このような理解で化学の曖昧さを克服したのであった。