マウスとヒトの差2023年11月10日 13:35

 コロナワクチンの問題点として治験が十分されたのかという疑問が上がっているが、マウスではいろいろ実験をしているはずである。マウスとヒトは同じ哺乳類でよく治療薬などの実験には使われるが、免疫機能はどの程度似ているのだろうか。体型も違うし、進化系統樹での分岐以来の歴史も異なる。

マウスはヒトと7500万年前に分岐したらしいが、現在までの免疫獲得の年数は同じはずである。但し、DNAの構成は大きく異なる。
 各種ウイルスに対しては暴露環境が同じなら両者の免疫獲得に対して大きな差はないのかもしれない。
 しかし、放射線の被ばくに対する免疫については、少なくとも体系が大きく異なるので、同じ空間線量に対して被ばく線量は大きく異なる。即ち、マウスは体系が球に近いので、表面積/体積比が小さい。一方、ヒトは背が高い円柱状なので表面積/体積比が大きくなる。即ち、同一の空間線量なら、ヒトのほうがマウスよりも被ばく量が大きく、獲得免疫も大きくなるはずである。

 孤立系の円柱での放射線の被ばく量Rは、表面積S、体積Vならば、被ばく量はSに比例することになる。

即ち、ヒトの場合は円柱で半径0.3m、胴長1.0mならば表面積は1.88m2
マウスの場合は円柱で半径0.05m、胴長0.1mならば0.047m2であり、
約40倍の差となる。

 即ち、進化において、ヒトとDNAは約40倍の被ばく刺激を経験していることになる。この経験差が獲得免疫の差になっているとしたら、マウスよりも人のほうが40倍は放射線に耐性があることになり、ウイルス同様、マウスでの実験結果をそのまま受け入れるのは合理的とは言えない。

 しかし、マウスと異なり、ヒトでの照射実験は倫理的に問題がある。原爆の被ばく経験はあるが、原爆の場合は瞬間被ばくなので、原子炉事故などの長時間慢性被ばくに適用できるかに問題がある。
 では、どうすればよいか。
 医療被ばくでは原爆と異なり、慢性被ばくに近い長時間での被爆である。医療被ばくの実態を調査し、データベース化することで多少は影響の程度が明らかになるかもしれない。
 現状では、統計的に意味のある医療被ばくでの免疫応答に対する定量的データで公開されたものは見つからなかった。