札幌アクア暴走事故とプリウス暴走事故2022年08月01日 16:39

 アクアとプリウスのハイブリッドシステムは共に遊星歯車でエンジンと電動モーターと駆動系を直結して電子制御するという基本的に同じシステムである。ブレーキも電気系で制御しているので、ブレーキペダルとブレーキパッドの機械的な結合は途中で切れている。
 今日札幌で暴走した車はアクアのようである。
 池袋事故は2代目プリウスであるが、ちょうど1年ほど前に、運転していた3代目プリウスに以下の不具合が生じてきた。その3代目プリウスは10年ほど乗っていたのだが、電源をいれたら、エンジンも同時に起動した。プリウスは駆動用蓄電池の容量が減ると自動でエンジンが起動する設計になっている。しかし、いつもと異なり、エンジン音が高く、高速で回っている感じである。この状態で、サイドブレーキを外し、次にフットブレーキを緩め始めた途端に、車がかなりの力で前に進もうとした。いわゆるクリープによる前進力が異常に強いのである。怖いので、フットブレーキの緩め方を微妙にコントロールしてゆっくり前進することができた。その数日前にもエンジン回転数は低めだが同じような現象が起きていた。この時も、ちょっとずつフットブレーキを緩めたり、強めに踏んだりの繰り返しで、何とか発進できた。
 普段は電源スイッチを押しても、駆動用蓄電池の容量は十分なので、エンジンはかからず、クリープも普通に制御できている。二回目に不具合を生じたときは、駐車時にエンジンをかけずに、車内でラジオなどを聞いていたので電池容量不足になったのかもしれない。その結果、電源スイッチを押した途端にエンジンが強くかかったようである。プリウスは通常のAT車と異なり、エンジン力と電気モーターの駆動力を同時に流星歯車により駆動系に伝えるように制御系ができているため、エンジンがかかった状態ではクリープ力が強くなるのは理解できるが、それが強すぎで、安全にフットブレーキを緩めることができない状況になったというわけである。いつも通りのようにフットブレーキを緩めたら、急発進していたかもしれない。
 国土交通省の車両リコール・不具合情報サイトを見ると、同じようなトラブルが大量に表示される。中には、フェイクのものや勘違い、不正操作などもあるのかもしれないが、それにしても、プリウスの制御装置だけで350件を超える不具合情報がリストされている。
 今回札幌で暴走したアクアであるが、かなりの経年車のように見える。上記の三代目プリウスのように、機械的な不具合が生じ、電気的な制御系の予測を上回る故障が生じていた可能性はないのだろうか。今回も単にブレーキとアクセルの踏み間違いとして処理されるのだろうか。
 因みに上記の三代目プリウスの不具合について、後日ドライブレコーダー(CDRらしい)を調査したディーラーの工場責任者の回答は、ブレーキペダルとアクセルペダルの2重踏みというものであった。確かにスタート時にブレーキを踏んでいる状態で異常にエンジン回転数が上がっていたので、エンジン回転数の上昇理由としてはアクセルをふんでいたとドライブレコーダー(CDR?)のデータを解釈できるのであろう。しかし、どのようにしたら2重踏みができるのだろうか。私の足の幅は広いところでも10㎝である。トゥーアンドヒールで2重踏みができるほど体が柔らかければ、プリウスなどには乗らなかった。床付近にもマットも含め2重踏みの原因になるような障害物はなかった。
 ディーラー責任者に、今回の不具合が運転者の2重踏みが原因であるというのが結論ならば、口頭ではなく、その旨書類に書いてくれと言ったら、それは拒否されたのである。その理由を聞いても何も答えなかった。
 推定するに制御系のソフトは、車のハードの不具合をすべて予測してプログラムすることは不可能なものであるということは分かっていたようだ。
 暴走事故を起こしてからでは遅いので、このディーラー責任者の対応を見て、その場で、そのプリウスを手放すことを決心した。
 札幌のアクアのドライブレコーダーの記録もこのような解釈がされるのだろうか。運転者も、アクアを永年乗る前に手放した方が良かったのではないかと同情する。

 https://kuruma-news.jp/post/148331/2
によれば、クラッシュデータレコーダー(CDR)かイベントデータレコーダー(EDR)は3代目プリウスには設置されているので、アクアも設置されているだろう。
 問題は、エンジンの回転数以外にアクセルペダルの動きが記録されているのかどうかである。
 池袋事故ではその点があいまいだった。2代目プリウスではどのようなレコーダーだったのか上記の3代目プリウスやアクアはどうなのか。トヨタは警察や裁判所の発表をどう見ているのかはっきりさせるべきだろう。トヨタの公式見解としては運転ミス以外にはありえないだろうが、上記のような書面回答を拒否する無責任なディーラーもいるのである。真実を知りたいたいところだ。
 なお、札幌のアクア事故では、暴走前に一度衝突事故を起こしたらしいので、。その際に車両の制御装置に不具合が生じ暴走に至ったという可能性もある。制御装置の衝突事故時安全性はどう担保されているのかも回答してもらいたい。