シーサイドラインと自動運転車の事故責任2023年06月15日 12:52

 Yahooニュースによれば、2019年に起こった横浜シーサイドラインの逆走事故(16人負傷)について、設計・製造過程で過失があったとして、関係会社の3人が書類送検されたとのことである。

 これは国土交通省の運輸安全委員会の報告では、ターミナルの新杉田駅に到着した際、列車の連結部で断線が起こっており、駅からの転換指令が社内制御装置に伝わっていなかったということで、設計製造ブロセスで安全性の検証が十分行われていなかったとも記載されているらしい。

 しかし、ちょっと待ってほしい。より大きな責任があるのは、国土交通省の方なのではないか。国土交通省が許可したから運行が可能になったのではないのか。

 運行開始は1989年である。事故まですでに30年経過している。30年前の基本設計システムや経年劣化の責任を設計製造会社の担当者が取らされているのは明らかに問題がある。

 まずは、国土交通省の認可、審査、監督責任が問われるべきであろう。次は、30年間も運行管理を続けてきたシーサイドライン会社の関係者が十分な点検を続けてきたのかという運行管理者責任だろう。その次ぐらいが設計製造責任であろう。

 常識的に考えてみてもらいたい。30年前に購入・設計された自動車があったとして、その30年後の経年劣化による交通事故の責任を、その車の設計、製造責任者に問えるのもなのだろうか。車であれ、公共交通機関であれ、車検は何のためにあるのか。運行許可は何だったのか。国土交通省と神奈川県警はどこかで忖度しあっているのではないかとも疑いたくなるニュースだ。

 そして、自動運転自動車の設計製造担当の頭の良い者はこのニュースを聞いて、30年後の我が身を考え、みな転職を考えだすのではないだろうか。もう少し分かり易く言えば、今回の神奈川県警の対応は、日本の自動車産業の将来=日本の製造業の将来を潰す可能性もある過ちなのではないだろうか。これが極端な意見なのか実際にそうなのか、現役の設計製造担当に尋ねてみたいところだ。