最も怖い天災2023年06月19日 11:24

先ごろ、地震が滅多に起こらないと思われていたフランスでM5級の地震が起こり、多くの家が倒壊したとのニュースがあった。

 地球はどこでもなんでも起こりうるということだろう。

 地震雷火事親父とはよく言ったものである。現代の親父はプーチン大統領ではないだろうか。勝手に怒って多くの市民と財産を犠牲にしている。

 ここでは、それとは関係のないもっと怖い天災としての小天体の地球への衝突を考えてみる。

 年間10個程度は地球に隕石が落ちてきているらしい。その中には、数年前にシベリアに落ちた100kgレベルの隕石もあるし、恐竜をほぼ絶滅させたという巨大隕石もある。

 NASA等はそのような事態を検知するため、観測を続けているが、実際に小天体が衝突すると予測された場合、どのようなシナリオがありうるだろうか。

 小天体といっても大きさも重さも発生源もさまざまである。大部分は大気との摩擦でもえてしまうのだが、地表まで到達するものも確率的にはそれなりにあるので隕石が見つかるということになる。

 従って、対応シナリオといっても、どのようなサイズのものがいつ頃落ちてくるのかを分類して議論するべきだろう。

 やはり、恐竜を絶滅させたような巨大隕石が予想された場合が、最悪シナリオである。
 地球はしばらくは全面核戦争以上の運動エネルギーを受けた結果、高温状態になり、大気も殆ど失われることになる。地上にいても、地下であったも人類はほぼ死滅するだろう。恐竜も小型の鳥以外は生き延びられなかったのである。

 ここで参考になるのは、小松左京のSF「復活の日」である。映画でしかこのSFは知らないが、この映画では、人類をほぼ絶滅に追いやったのは生物兵器である致死性ウイルスである。それを積載したジェット機の墜落により世界中にウイルスが拡散し、隔離された南極越冬隊のみが生き延びることができたというシナリオである。

 このシナリオを小天体衝突に当てはめると、現在の国際宇宙ステーション(ISS)に滞在する宇宙飛行士が南極越冬隊員に相当する。従って、ISSの飛行士は常に複数の男女である必要がある。これらの男女は、映画のオリビア・ハッセイと草刈正雄よろしく、男女の情を抑えて、多くの子孫を生産する義務を負う。
 地上に残された我々は、その支援を最後の日まで続ける義務を負う。分かりやすいシナリオである。

 その次に分かりやすいシナリオは影響が機微な通常の隕石レベルの小天体である。
 ある程度の確率で人や家屋に衝突するが、運が悪いとあきらめてもらうしかない。

 そして、最も分かりにくく争いになりそうなのが、その中間のレベルの小天体である。

1910年のハレー彗星接近では、フランスの天文学者の説により、地球の空気が失われるといううわさが流れ、大パニックになったそうだ。天文学の重要性が分かる逸話である。現代では、次回のハレー彗星接近でこのような間違いはないだろう。

 高性能の観測が整備されている現在、最も怖いのは、未発見の小天体が突然現れ、その小天体との衝突が避けられないということが数日~数年前に分かった場合である。数日前なら原爆シェルターか地下街に避難し、後は運を天に任せる以外にないだろう。その時点で地球のどの地点に落ちそうか分かれば、それ以外の土地や海上にヒトが押し寄せ、大混乱になるだろう。しかし、死者数を抑制するという意味では、高精度の軌道予測は重要である。

 結構対応が難しいのは、数年前にかなりの大きさの小天体の衝突が予測された場合である。衝突日は分かるだろうが、それまでのタイムスケジュールの中で、大混乱が予測される。その中身は、国際関係や国の存立を揺るがすものになるだろう。ある程度、落下位置が分かり、それが仮に日本だったとすると、再度、小松左京のSF「日本沈没」が参考になる。日本から大陸に避難しようと大勢の日本人が中国や韓国に渡ろうとするが、それまでの歴史的な問題から、入国を拒否されるのである。今、日本国は難民認定を厳しく制限しているが、このような状況が生じることを想像すれば、せめて世界の標準レベルの難民政策をとるべきだろう。

 即ち、宇宙の小天体衝突というような、非現実的とも思える状況というものが、現在国会で審議されている身近な法律問題に直結しているものであるということを再認識すべきだろう。