古いインフラを今後効率的に保全していくには2021年10月11日 05:54

 7日の地震での都内各所での漏水事故、その前の和歌山の紀ノ川の水道橋破損など、水道関係の事故に続き、昨日は、JRの変電所での火災も発生した。
 このようなインフラの事故は、単に経年劣化だけではなく、まれに発生する地震などの特異事象時に発生することが多い。
 その事故の防止と早期の修復のためには、単に継続的な点検だけでは不十分に思う。以下のような方策に重点を置くべきではないだろうか。

(1)インフラビッグデータの収集と活用
 全国のインフラ事故データベースを国土交通省が中心に収集整理し、確率的に事故要因分析を行い、点検、保全方法に反映させる。
(2)保守技術移転のためのデータベース化とネット公開
 古いインフラには、独特の技術が用いられていることが多い。社会構造の変化やハイテク重視の風潮から、ローテクと見なされている、しかし、重要な技術が十分に伝承されていない。今回の漏水事故の多くは空気弁の垂直地震動による誤作動だった。このような古いが多数使用されている技術を関係者だけでなく、一般人にも周知できるよう、データベース化とネット公開が重要である。空気弁の構造を知っていたら先の地震時の混乱は多少は防げたかもしれない。首都圏JRが直流電源を用いていることを多くの住民が知っていれば、JR変電所事故時の交通機関の選択や人流がよりスムーズになっていたかもしれない。
 特にインフラで用いられる多くの技術は、熟練技術者が所有しているので、IT化やネット公開が容易ではない。この繋ぎをうまく公的機関が支援すべきだろう。
 各地の水道博物館や電気博物館などインフラ関係博物館の展示内容をネットで見られるようにすることも重要である。
(3)インフラ技術の地震、災害適応のための高度化
 特に水道、下水道関連のシステムは、空気弁や水道橋のフランジ構造など古い技術がそのまま適用されている。構造解析ツールや流動解析ツールの高度化により、航空機や原子力関連技術に用いられている流体関連構造、部品はインフラで用いられているシステムとは大きく変わっている。インフラ関連構造を最新技術ベースで早急に見直し、システム、部品交換が経済的に可能かその妥当性を検討すべきである。

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