永井隆博士の白血病原因と「長崎の鐘」の謎2026年08月03日 21:20

今日のNHK昭和の選択を見るまでは
永井博士は原爆で白血病になったと思っていたが、
長崎医科大で物理的療法科に所属し、X線を大量に浴びたためと放送されていた。

X線撮影は原爆と同様、瞬間被ばくである。これも20世紀になるまでは人類が経験したことのない被ばく形態である。

フィルム不足で直接X線透視をしていたとも語られていた。これでは白血病になるだろう。原爆を何度も受けたようなものである。

「長崎の鐘」は永井による原爆の記録だが、この番組で言うようにGHQによる検閲に2年かかったということは、被ばく者解析をしている立場からは米国、GHQが広島原爆とは異なる、対ソ連戦略上プルトニウム原爆の記録であり、GHQが気を使ったことは確かのようだ。

「長崎の鐘」を読んでみると軍事機密の開示に近い記述がある。
https://www.aozora.gr.jp/cards/000924/files/50659_42787.html
それは被ばくの翌日米軍機から落とされたビラに
「日本国民に告ぐ!
 このビラに書いてあることを注意して読みなさい。
 米国は今や何人もなし得なかった極めて強力な爆薬を発明するに至った。今回発明せられた原子爆弾は只その一箇を以てしても優にあの巨大なB‐29二千機が一回に搭載し得た爆弾に匹敵する。」
と書かれていたとの記述である。
現在の放射線影響研究所RERFの長崎原爆の威力の評価値は21キロトンTNT(その予備実験だったネバダのトリニティは20キロトンTNT)となっている。
2000機と20キロトンTNTが妙に符合する。

この本により、Pu原爆エネルギー規模の情報が当時の仮想敵国ソ連に亘るかもしれないとの米軍内の危惧から検閲が遅れたという想像もできる。

では被ばく者データにはGHQの干渉はなかったのだろうか。広島と長崎の被ばく者発がんデータの不整合の解析結果と、この「長崎の鐘」出版への対応と合わせ考えると、GHQ,米軍部によるかなりの編集がされたのではないだろうか。疑いが残るところだ。

その結果が、ICRPの勧告や各国の被ばく防護関連法規に反映され、現在の航空業界の従事者の発がんリスクまで影響しているとすれば、その基準の見直しを早急にすべきだろう。

司会者は原子力と核兵器の区別がつかないというがそれは放射線の線量率が8桁も違う、即ち、単位時間当たりの被ばく線量の違いにより区別できるのである。それを一緒にしたのが、被ばく者データを年間被ばく者線量基準に適用したICRPや各国の法規制値なのである。


この番組では浦上天主堂の上に原爆が落ちたのは神の意思だったといった神学論争的発言も多かったが、長崎は三菱の造船所があり、「長崎の鐘」の冒頭には兵器工場が沢山あったとの記述もある。また、広島には海軍の江田島と呉に造船所があるのは周知のはずだ。

原子力の利用について原爆の被害と原子力平和利用の狭間で揺れ動いていたという趣旨の番組の狙いに比べ、永井博士のほうがずっと理性的だったように思う。

コメント

コメントをどうぞ

※メールアドレスとURLの入力は必須ではありません。 入力されたメールアドレスは記事に反映されず、ブログの管理者のみが参照できます。

※なお、送られたコメントはブログの管理者が確認するまで公開されません。

名前:
メールアドレス:
URL:
コメント:

トラックバック

このエントリのトラックバックURL: http://yokoyamashindo.asablo.jp/blog/2026/08/03/9869079/tb

※なお、送られたトラックバックはブログの管理者が確認するまで公開されません。