高レベル放射性廃棄物地層処分のオーラルヒストリ―2026年03月12日 04:59

報道によれば、小笠原村に高レベル放射性廃棄物の処分場の立地調査依頼があったらしい。

諸外国(米国、スイスなど)でも高レベル廃棄物の処分場の研究開発や議論が長年行われてきたが、日本でも長い歴史がある。それを当時の関係者に聞き取り、分かりやすくまとめたオーラルヒストリー資料があった。関係者よりも一般住民に読んでもらいたい資料だ。

http://www.aesj.or.jp/~snw/img/ChisouShobun-oral-history1.pdf

なお、日本などが重視しているニアフィールドアプローチとは、放射性廃棄物の近くにある範囲(人工的に放射性廃棄物を隔離する領域)を重視した手法であり、候補地の自然条件(地層など)による隔離にはできるだけ依存しない方法をさし、米国などのファーフィールドアプローチの反意語である。

ニアフィールドアプローチは核燃料サイクル全体をカバーする基本的な手法になるべきだろう。
15年前の福島事故も1960年代にこの手法が取り入れられ、土光敏夫の主張に従って、東電や国が米国GEの配置設計を見直していたら起こらなかった事故だと思う。


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Q:地層処分でニアフィールドアプローチとは

ChatGPT:
**地層処分(高レベル放射性廃棄物処分)**でいう **ニアフィールドアプローチ(Near-field approach)**とは、
処分場のごく近い領域(人工バリア周辺)に注目して安全性を評価する考え方です。
1. ニアフィールドとは何か

地層処分の安全評価では、空間を大きく2つに分けます。
① ニアフィールド(Near field)

廃棄体の周囲数メートル~数十メートル程度の領域

ここには主に 人工バリア が含まれます。

主な構成

ガラス固化体

オーバーパック(鋼や銅の容器)

緩衝材(主にベントナイト)

処分孔周辺の岩盤

つまり
**「人が設計した処分システムの部分」**です。
② ファーフィールド(Far field)

天然の地層側(広い岩盤)

地下水の流れなどによる
長距離移行を扱います。
2. ニアフィールドアプローチの考え方

ニアフィールドアプローチでは

人工バリアが放射性核種の移動を強く抑える

ことを中心に安全評価をします。

評価する主な現象

オーバーパックの腐食

ガラス固化体の溶解

緩衝材(ベントナイト)の膨潤

核種の吸着・拡散

地下水の侵入

これらをモデル化して

核種がどれくらい外へ出るか(放出率)

を求めます。
3. なぜニアフィールドが重要か

理由はシンプルで

放射性物質の大部分はここで止まるからです。

例えば

オーバーパック寿命:数万年以上

ベントナイト:低透水で移動を抑制

吸着作用

そのため

ニアフィールドがボトルネック(律速段階)

になります。
4. 安全評価の流れ

一般的な評価は

ニアフィールド解析


核種放出率を計算


ファーフィールド地下水移行解析


人間への線量評価

という順番です。
5. 日本の地層処分でも使用

日本では
原子力発電環境整備機構(NUMO)

日本原子力研究開発機構(JAEA)

の安全評価でこの概念が使われています。
6. 非常に簡単なイメージ

[ガラス固化体]

[オーバーパック]

[ベントナイト]

----ここまでがニアフィールド----

[天然岩盤]

地下水移行

----ここからファーフィールド----

もしご関心があれば、次の少し専門的な話も説明できます。

ニアフィールドでの核種移行方程式(拡散方程式)

ベントナイト拡散係数

ガラス固化体の溶解速度

NUMO安全評価の数値モデル

放射性廃棄物処分の議論では、この部分が一番技術的に重要な部分です。