長崎被ばく者の歯の線量によるしきい値問題 ― 2024年12月06日 07:42
長崎原爆被ばく者の発がん情報に関し、長崎大学関係の下記サイトのP.27のAに発がん影響の図があった。
https://www.genken.nagasaki-u.ac.jp/abomb/data/panf.pdf
横軸は、11月21日の本ブログでも記載したNHKスペシャル拓洋の白血病死亡船員の歯の測定と同じく、被ばく者の歯を測定した被ばく線量で、長崎大学での測定法は、歯の被ばく量を電子スピン共鳴法で測定したものである。
縦軸はがんによる死亡相対リスクで、男性では50cGy(500mGy)程度に閾値があり、女性ではしきい値がないことになってる。
がん死亡リスクにおいて、男性でしきい値があり、女性ではしきい値がないという結果は本ブログ8月8日や10月18日での男女差解析と似ている。
8月8日、10月18日のブログで解析で用いたデータは、広島の放射線影響研究所(RERF)の広島・長崎をまとめた両市共通データであり、被ばく線量は結腸線量の評価値で表示されている。
歯の線量と結腸線量では、歯の方が体表面に近いので、定性的には整合している。
8月8日の解析では広島では男女ともしきい値が現れ、広島男性では350mGy、広島女性の場合は男性よりもかなり低い150mGy付近になっている。一方、長崎女性ではしきい値が現れていない。
線量とがん発症リスクの関係が両市間で異なるのは本来あってはならないことである。ガンマ線の特性がプルトニウム爆弾とウラン爆弾で異なるとすれば、線量換算の時に考慮すべきであるが、即発ガンマ線スペクトルに大きな差はない。また、ウランとプルトニウムの即発中性子の線量影響がガンマ線に比べ十分小さいことはRERF自身が報告している。
では何が両市のこの特性差の原因なのだろうか。
実態は不明だが、長崎大学のこのデータをRERFが採用していたと仮定すると(採用したかどうかはわからないが)、結腸線量に換算する際に何らかの問題が生じたか、或いは換算評価誤差が入り、広島と長崎で線量評価値に不整合が生じたのではないかと推定される。
更に深堀すれば、これも真相は不明だが、トルーマン大統領がトリニティ実験で兵士たちに対し行った人体実験が兵士の配置位置が遠すぎて失敗したので、長崎で実験した際に原爆の出力を同じにしろとめいれいしたため、長崎の線量が実際の線量よりも小さめに評価されて報告書に残っているとも考えられる。いずれにせよこれは冷戦時のプルトニウム爆弾実験の軍事機密に関わることなので、なかなか真相にはたどり着けないままである。RERFも線源データの評価は米国側の値をそのまま使用しているのである。
https://www.genken.nagasaki-u.ac.jp/abomb/data/panf.pdf
横軸は、11月21日の本ブログでも記載したNHKスペシャル拓洋の白血病死亡船員の歯の測定と同じく、被ばく者の歯を測定した被ばく線量で、長崎大学での測定法は、歯の被ばく量を電子スピン共鳴法で測定したものである。
縦軸はがんによる死亡相対リスクで、男性では50cGy(500mGy)程度に閾値があり、女性ではしきい値がないことになってる。
がん死亡リスクにおいて、男性でしきい値があり、女性ではしきい値がないという結果は本ブログ8月8日や10月18日での男女差解析と似ている。
8月8日、10月18日のブログで解析で用いたデータは、広島の放射線影響研究所(RERF)の広島・長崎をまとめた両市共通データであり、被ばく線量は結腸線量の評価値で表示されている。
歯の線量と結腸線量では、歯の方が体表面に近いので、定性的には整合している。
8月8日の解析では広島では男女ともしきい値が現れ、広島男性では350mGy、広島女性の場合は男性よりもかなり低い150mGy付近になっている。一方、長崎女性ではしきい値が現れていない。
線量とがん発症リスクの関係が両市間で異なるのは本来あってはならないことである。ガンマ線の特性がプルトニウム爆弾とウラン爆弾で異なるとすれば、線量換算の時に考慮すべきであるが、即発ガンマ線スペクトルに大きな差はない。また、ウランとプルトニウムの即発中性子の線量影響がガンマ線に比べ十分小さいことはRERF自身が報告している。
では何が両市のこの特性差の原因なのだろうか。
実態は不明だが、長崎大学のこのデータをRERFが採用していたと仮定すると(採用したかどうかはわからないが)、結腸線量に換算する際に何らかの問題が生じたか、或いは換算評価誤差が入り、広島と長崎で線量評価値に不整合が生じたのではないかと推定される。
更に深堀すれば、これも真相は不明だが、トルーマン大統領がトリニティ実験で兵士たちに対し行った人体実験が兵士の配置位置が遠すぎて失敗したので、長崎で実験した際に原爆の出力を同じにしろとめいれいしたため、長崎の線量が実際の線量よりも小さめに評価されて報告書に残っているとも考えられる。いずれにせよこれは冷戦時のプルトニウム爆弾実験の軍事機密に関わることなので、なかなか真相にはたどり着けないままである。RERFも線源データの評価は米国側の値をそのまま使用しているのである。
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