ミラノ・コルチナ冬季五輪のスキ-モと日本のスキー場の再生2026年02月06日 06:15

米国ニュースサイトNPRによれば

今年のミラノ・コルチナ冬季五輪では、スキー登山のデビュー、通称「スキ-モ」が登場し、状況は一変するそうだ。

山をハイキングしたりスキーをしたりするこの競技には、女子スプリント、男子スプリント、混合リレーの3つの競技が開催される。

新スポーツ:スキー登山(略称スキーモskimo)

スキーの登山コースでは、選手たちが険しい地形に設定コースを周回する。登りでは、スキーの底に滑り止めのため、表面は起毛され、裏面は粘着ノリが付いたシールと呼ばれる布を貼り、急斜面ではスキーを担いで徒歩で更に登り、頂上では素早くスキーからシールを剥がして滑降する。

スプリントレースは、タイムトライアルを行い、6人グループで登行と滑降で競う。で構成されています。混合リレーでは、男性1人、女性1人のチームが、長いコースを4周(2回の登りと2回の滑降)を交互に行う。(標高差は460フィート、スプリントの230フィートと比べて高い)。

米国チームによると、スキー登山は「旧史時代にはヨーロッパの雪に覆われた地形を横断する必要がある」ことにルーツを持っており、1897年のスイスのアルプスで最初に行われたらしい。

日本でも、戦前の著名な単独行登山者加藤文太郎は北アルプスなどの登山で、スキーを使っていたことが知られている。

「スキーモ」と呼ばれるこの競技は21世紀になって本格的に発展し、2002年にフランスで初の世界選手権を開催し、2年後にワールドカップを開催した。

2020年には冬季ユースオリンピックに追加され、翌年にはミラノ・コルティナ大会での実施が承認された。フランスが強いが、イタリアも国際チャンピオンがでているらしい。

スキーの登山競技は、アルペンスキーと同じ会場にあるバルテリーナ・バレーのボルミオ町で開催されるとのことである。


ところで私も山スキーは半世紀前から行っていた。加藤文太郎と同様、東北の峰々を皮の登山靴とかかとの上がる締め具を使い、登りではアザラシの皮でできたシールを使っていた。当時はワシントン条約がなかったのでアザラシの皮(これがシールの語源であるが)が使えたのである。スキーの形に合わせて切ったアザラシの皮の各所に要所に平紐が縫い付けられており、平紐先端のフックを縛ってスキーに縛り付けていた。

ある時、3人で北アルプスの黒部川近くの林道をこのシールを付けたまま歩いていた。私がトップで後ろに2人いるはずだったが、叫び声を聞いて振り返ると一人しかいない。林道から左側の谷に滑り落ちていたのだった。
その理由が、この平紐なのである。そこの林道の雪は硬く、左側に傾斜して積もっていたので、本来ならスキーの右側のエッジを効かせて左側に滑り落ちないようにしなければならないのだが、エッジの一部にシールからスキー上面に巻くように伸びた平紐が掛かるため、エッジが十分機能しなくなっていたのである。

幸いなことに、2人目のメンバーは、谷の斜面にまばらに生えていた大木の根元の雪の穴に落ちて、10mくらい下で止まっていた。春先で雪が解け始めていたのである。運が悪ければ谷底まで300メートルは落ちていっただろう。

シールも進歩したが、一番の道具の進歩は締め具である。下記リンクにあるように、選手の足元の締め具は一般のスキーの締め具とは大きく異なる。
https://www.npr.org/2026/02/05/nx-s1-5637261/winter-olympics-new-sports-ski-mountaineering

軽量化とかかとを上げるための複雑だが小さいTLT(tour light tech)と呼ばれるDynafit社が開発した山スキー専用の締め具である。スキー靴のほうもこれに対応した山スキー専用のスキー靴である。
https://wildsnow.com/backcountry-skiing-history/binding-museum-backcountry-skiing/dynafit-tourlite-tech-1993/

靴底先端の両側に円錐状の溝があり、締め具のほうは両側からこの溝に嵌まるように円錐状の突起が出ており、ばねを利用して左右から締める構造になっている。これでかかとが自由に上下できる。

靴のかかとには後方に2本の溝が掘ってあり、その溝の上部は内側に曲がっている。即ち、逆L字状の溝が掘ってってある。一方、かかとを固定するために、かかとの締め具には2本の太い金属棒が前方に突き出ており、かかとを上から押しこむことで、棒が溝に入り、更にばねの力で棒が内側に押され、靴のかかとの逆L字状の溝に嵌まるので、かかとが固定される構造になっている。

これで、かかとが上がる登行とかかと固定の滑降が両方可能になるのである。では、締め具を外すにはどうするか。これは、靴の先端を左右から押し付けているばねを広げることで靴を前方に押して外す;
そのためのてこ状の金具がつま先の金具の先端についており、ストック先端でこのてこ状の金具を下に押せばよい。(転んだ時にこれを行うには体の柔軟性が要求される。特に雪が深いときはスキーからの反力がないので苦労する。)

スキー板自体もかなり軽い。クロスカントリーの板ほどではないが、私の持っているTLT締め具付きBLIZZARD ATTACKというスキーモ用板で片側1.35㎏である。重めの長ブーツといったところだろうか。通常のスキーの3分の1程度だろう。

但し、いいことばかりではない。BLIZZARD ATTACKはカービングはほとんどないので、簡単には曲がらない。急斜面では特に曲げにくいので動画を見ていると選手はほとんどジャンプターンをしているようだ。これは疲れる。また、軽いので、雪を押し込むのに力がいる。雪面が荒れていると弾かれて転倒しやすくなる。トライアスロンのような場面の転換が多いのが見どころだろう。日本からもスキーモに6人参加する。応援したい。

https://joc.or.jp/athletes/?name=&sports=&page=2
日程は
13日目2月19日(スプリント)、15日目2月21日(混合リレー)
とのこと。JOCのほうではスキーモではなくスキーマウンテニアリング
と呼んでいるようだ。

https://www.joc.or.jp/milano_cortina2026/schedules/


アルペンでの高速に耐える筋力より持久力のほうが重要なので勝負できるはずだ。頑張って。

ところでスキーモの日本での普及にも役立つはずだが、全国のスキー場をスキーモスキー場にしてはどうだろうか。

各地のスキー場の閉鎖が相次いでいるが、その大きな要因はリフトなどの設備更新に多額の費用が掛かることである。一説には数億かかるとのことだ。先日の栂池のリフト事故に見られるように、昔設置されたリフトは特に安全性に弱いことところある。

スキーモなら、登りは各自の自力なのでリフトやゴンドラは不要だ。山頂で休憩のための展望レストランと下山後の温泉付き民宿のセットで十分に日本の雪山が楽しめるがどうだろうか。スキー場なら本物の冬山のような遭難のリスクは十分抑えられる。
以前、志賀高原を前記の道具と最新のシールでリフトなどを使わずブナ平、西館山、一ノ瀬、東館山と周遊したことがあるがゲレンデ横でのコーヒータイムを含め、最高の半日だった。ゲレンデスキーに飽きた人にはお勧めである。ボーダーもスプリットボードを使えば同じように楽しめるだろう。

勝敗と善悪は別か2026年02月09日 05:39

ケネディ家の遺訓にも佐藤優氏が言うように「勝ち負けと善悪は別のカテゴリーである」という趣旨の言葉がある。「常に正しいものが勝つとは限らない」という言葉である。

ミラノ・コルチナ冬季五輪では勝ったものが正しい選択をしたというところだろうが、社会はより複雑だ。

今回の衆院選では与党が圧勝し、中道は壊滅的敗戦だった。このようにして、日本は普通の国になっていくのだろうか。米国が普通の国ならば、戦後一貫してその後追いをしてきた日本はその通り普通の国になる選択をしたのかもしれない。

自分の信じる道を進むーそれしかない。そのためには、修業が必要だ。宇宙のあらゆる現象を勉強し、善悪とは何か、それを実践するには何が必要か修業を通して把握することが生き残る道だ。戦争が起こったら弱いものから死んでいく。