日本における意見の異なる人への説得方法2024年06月07日 04:11

 ある社会的課題について、人々の意見は様々であり、議論がかみ合わないことは普通にある。
 
 そこで、人々は更に論争し、決着をつけたがるのであるが、決して納得はしない。議論で決着をつけるのが正統派であるいわゆる合理主義的考えが通らないのである。中島みゆきの歌のように、ヒトはみな望む答えだけを聞きたがるものなのである。(〽永遠の嘘をついてくれ)

 しかし、日本においてこの問題に対する唯一の解があるように思う。それは、自分の人柄を論争相手にわかってもらうことである。そして、自分が決して相手に対する真の敵ではないということを納得してもらうことである。

 そのためにはいわゆる腹を割って付き合うことである。決して最終目的である社会的課題に触れてはいけない。相手と共有できる関心事項についてのみ話し合って、自分の人柄を分かってもらい、相手の共感を得ることである。

 これは所謂優秀なセールスマンの客へのアプローチの方法と似ている。ただ、目的が多少異なる。セールスマンは対象とする商品のみが関心事項だが、社会的課題については、その人の心理的な立場が深く関わる。その人自身の心理的な支柱になっていることが多い。

 相手の心理的支柱を多少こちら側にずらすことができれば、ある程度説得できたことになる。そのためには自分が相手の敵ではないことを理解してもらう必要がある。そのためにはまず自分の人柄を共通関心事の話題により理解してもらうことが重要になる。

 この手順により相手は自分に心理的に関心を持つようになり、自分がなぜそのように考え、相手と異なる意見を持つのかを相手自身が考えるようになる。そして、相手の心理的支柱が徐々にずれてくるのである。

 そのタイミングで、自分の考えを伝えることができれば、相手が自分の考えに関心を持つようになる。そして、共通認識の範囲が広がるのである。このレベルまでで十分であろう。ヒトが他人と同じ意見をもつなどという幻想は早く捨てなければならない。様々な意見がある中で、どこまで共通認識の範囲を広げてられるかが、真の議論の成立性、民主化の実効性を決める。

 社会的課題を議論しているように見えて、実際には人は自分の心理的支柱を吐露をすることで、社会的な認知を願っていることがほとんどなのである。日本では(あるいは世界的にも)最初に共通の関心事を話題にすることで、相手を社会的に認知していることを納得してもらうことから始めなければならない。。

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