AIで個人が特定される日2025年06月05日 05:27

 報道によればトランプ大統領が留学希望者のSNS発信情報履歴から米国へ不利益な学生の入国拒否ができるよう関係機関に指示しているらしい。

 少なくとも民主主義国家では、政治家の選挙において、投票者の個人名は匿名となっている。これは個人名を明らかにした場合には、自由意思による選挙が不可能になるからであろう。憲法もそれは保証しているはずである。

 SNS等で個人を特定するには、名誉棄損など発信内容に法的な問題があり、且つ、裁判所が認めた場合のみプロバイダーが発信者のIPアドレスを通報するという一連の手続きが必要になる。

 SNSなどで匿名が許されるのは投票で許されるのと同様、社会的公正の実現のためには必ずしも個人情報をすべて明らかにする必要はないということだろう。特に日本のような個人の主権が明確に確立していない社会では発言の自由を確保するために必要なことである。

 SNSで匿名を必要としない人々は芸能人や評論家のような個人名で仕事をすることでメリットを得る場合が多いと思う。実名で発信するほうが内容に責任を持たせやすいが、そのような場合が社会の公正さにどの程度影響するかはケースバイケースだろう。

 しかし、トランプ大統領の政策では、主義主張により、個人を差別することになる。現在は、留学生だけだが、そのうち、某社会主義国家のように一般人も含めて入国拒否される可能性もある。

 その際に用いる手段として、AIというものもありうる。膨大なネットの発信情報から、個人を特定するのは計算機と最近AIで利用されているある種のアルゴリズムを使えば比較的容易である。しかも、すでに多くの人々がSNSで様々な主張をしている。このブログも例外ではない。

 米国がそのような個人情報とSNS発信情報を結びつけるのはそれほど難しくない。何しろネット情報のほとんどがサーバーに蓄積され、それを所有し利用できるのは大手IT企業主であるマスク氏などのクラウド領士と呼ばれる数名の人物である。

 クラウド領士と政治権力が結びついているのが現在の米国の姿である。米国に自由に渡航することが、ロシア以上に困難になる日は意外に近いかもしれない。

 AIも過去の様々な技術と同様、権力者のみが自由に使用できる状況は不幸な結果をもたらすだろう。それを防止できる簡単な手段はまだ見つかっていない。

 AIなんて、使用者が賢ければ問題はないと思っていたが、権力者だけが自由にできるようなAI技術は防ぐ必要がある。

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