プリウス不具合と池袋暴走事故2021年09月04日 04:26

 池袋のプリウス暴走事故に対する有罪判決がでた。あくまで被告はプリウスの故障だと主張している。これは、一種のメンタル的な問題ではないかとも思える。刑事訴訟法では、完全な心神喪失の場合には無罪であり、心身耗弱の場合には、刑を減免すると記載されているようだが、どちらも適用された判決にはなっていない。即ち、被告は単なる過失による有罪判決と解釈できる。しかし、あくまでプリウスの故障だと主張しているということは、いまだにそれを主観的には信じているということであるから、客観的には心身耗弱に近いと解釈することも可能ではないか。或いは認知的な問題があるのではないか。この辺りは実際に裁判を傍聴しているわけではないので、裁判の結果に従うしかないかもしれない。
 ところで、池袋事故は2代目プリウスであるが、3代目プリウスに以下の不具合が生じてきた。1週間ほど前、電源をいれたら、エンジンも同時に起動した。プリウスは駆動用蓄電池の容量が減ると自動でエンジンが起動する設計になっている。かなりエンジン音が高く、高速で回っている感じである。この状態で、サイドブレーキを外し、次にフットブレーキを緩め始めた途端に、車がかなりの力で前に進もうとする。いわゆるクリープによる前進力が異常に強いのである。怖いので、フットブレーキの緩め方を微妙にコントロールしてゆっくり前進することができた。一昨日も同じことが起きた。但し、ちょっとずつフットブレーキを緩めたり、強めに踏んだりの繰り返しなので、普段のようなスムーズな発進は不可能だった。
 普段は電源スイッチを押しても、駆動用蓄電池の容量は十分なので、エンジンはかからず、クリープも普通に制御できている。不具合を生じたときは、エンジンをかけずに、車内でラジオなどを聞いていたから電池容量不足になったのかもしれない。その結果、電源スイッチを押した途端にエンジンがかかったようである。プリウスは通常のAT車と異なり、エンジン力と電気モーターの駆動力を同時に流星歯車により駆動系に伝えるように制御系ができているようなので、エンジンがかかった状態ではクリープ力が強くなるのは理解できるが、それが強すぎで、殆どフットブレーキを緩めることができない状況になったというわけである。いつも通りのフットブレーキ操作であったら、急発進していたかもしれない。
 国土交通省の車両リコール・不具合情報サイトを見ると、同じようなトラブルが大量に表示される。中には、フェイクのものや勘違い、不正操作などもあるのかもしれないが、それにしても、プリウスの制御装置だけで350件を超える不具合情報がリストされている。
 同じ国の機関である工業技術院のOBだからこそ、技術、設計への不信感が前述の認識をもったとしてもおかしくはないと感じる不具合情報サイトだった。

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