なぜ女性の方が瞬時被ばくに弱いのか2024年09月15日 07:16

 米国の調査で女性機内乗務員(CA)が乳がんや白血病に一般女性の1.5倍から4倍程度なりやすい(下記サイト)のは、太陽フレアの被ばく機会が多いからではないかと昨日書いた。
https://www.arpansa.gov.au/cancer-prevalence-among-flight-attendants-compared-general-population

 太陽フレアは年に数回発生する太陽表面でのプラズマ現象によるエネルギーの異常放出のようなものであるが、最近この太陽フレアには初期段階でX線を高線量率で短時間で放出するインパルシブ型フレアという事象があることが観測されている。


https://www.nict.go.jp/publication/shuppan/kihou-journal/kihou-vol35no7/0203.pdf

 このような瞬時放出X線は、荷電粒子や中性子などと異なり、光速で地球に到達するため、現代の科学では予測や防護は不可能で、高空でのCAは被ばくせざるを得ない。しかし、ICRPの年間基準は満足している。では、パイロットはどうなのか。調べてみてもあまり一般人との差はないようなのである。

 即ち、瞬時被ばくでは、男女差があるということになる。
(これは統計的な、即ち平均的な話であり、男性内でも女性内でも個人差があることは当然の前提としてあるので、海上保安庁のがんに罹患した乗組員が男性であっても矛盾はしない。)

実際、広島・長崎の被ばく者のがんリスクの男女差データを比較すると、
女性の方が200mSvくらいしきい値が低い。
http://yokoyamashindo.asablo.jp/blog/2024/08/08/9707665

これは、生物学史的に見れば、女性は太陽フレアなどの瞬時被ばくにさらされる機会が少なかったので、急に高空での被ばくを受けるようになったCAがその免疫機能が瞬時被ばくには適応しにくかったということと推定できる。

https://www.arpansa.gov.au/cancer-prevalence-among-flight-attendants-compared-general-population

しかし、長時間の慢性被ばくでは男女差はあるのだろうか。
実際、女性が長時間被ばくして男性よりがんになりやすいというデータは調べた限り見つからない。差があるのは原爆被ばくデータや太陽フレア関係データだけである。



 慢性被ばくは有史以来男女が地球表面で生活してきた、特に、地殻内の放射性物質から大部分の被ばくを受けてきた。一方、太陽フレアや原爆、水爆による瞬時被ばくの問題は20世紀以降に出現した問題だからであろう。

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