長崎原爆が福島でも被害を広げたワケ ― 2025年03月24日 05:15
昨日、記したのオッペンハイマーの映画では、彼がトリニティ実験を行った後、同じ型のプルトニウム原爆を長崎に落とすよう依頼されるまでの経緯が描かれていた。
オッペンハイマーはネバダの砂漠でトリニティと呼ばれる、長崎の原爆のための爆発実験を責任者として行ったわけだが、その際に、爆心から数キロの距離に兵士を多数配置し、被ばくの影響を調べる様、軍部から依頼されていた。トリニティの実験は成功したのだが、その出力は精度よくわかってはいなかったので兵士は3キロほどの距離にいたため、殆ど急性の症状はでなかったのである。映画でも各研究者がバラバラの出力を予測したことが描かれている。
日本の敗戦ののち、米ソの冷戦が本格化すると考えていたトルーマン大統領は、原爆が兵士に及ぼす影響のデータを確実なものと従ったのだが、プルトニウム原爆はプルトニウム240のために、濃縮ウランほど確実には爆発しない。そこで、広島で濃縮ウランで確実に日本にダメージを与えた3日後に長崎にプルトニウム原爆を落とし、被ばくデータを日本人を使った人体実験を再度行ったのである。
従って、米軍首脳としてもオッペンハイマーらにとっても、長崎原爆とトリニティの爆発力は同一でないといけないはずである。現に、現在、両者の爆発力をネットで調べると、
長崎原爆(ファットマン):約 21キロトン(21,000トン)
トリニティ実験:約 20キロトン(20,000トン)
と5%の差しかない。これはプルトニウム原爆の不安定さ(プルトニウム240などの自然崩壊の統計的変動や爆縮装置の微妙な差)を考慮すれば異常なほどよく一致した値となっている。
トリニティか、長崎原爆かどちらか或いは両方とも間違った値になっていることは以上の経緯からほぼ確実である。
このよく一致した数値は米政府向けに当時の米軍やオッペンハイマーらロスアラモスの上層部が相談して作った数値だとしか考えられない。
これを現在でも証明できる方法を見つけることができた。
広島の放射線影響研究所(RERF)が公開している広島・長崎の被ばく者発がんデータを各市毎に分けて分析すると最後の表に示したように、全く異なる結果になることが分かったのである。
このデータの被ばく線量はRERFの米国人側担当者が評価した値なのである。(原爆の爆発力は軍事機密ということで日本側は米側から供給されたデータをそのまま受け取ることしかできない仕組みになっている。)
ところが、RERFから公表されている人体への被ばく影響関連データは、広島;長崎の両市のデータを合わせた評価値だけである。各市毎に分離して評価したデータは出されていない。
この結果、低線量領域では、発がんの被ばく線量にしきい値があるのかないのか不確かになっているのである。本来、被ばく線量により両者を評価しているのだから、被ばくの場所でこの値が異なることはあり得ないはずで、どちらかのデータが操作されたとしか考えられない。広島の被ばく生存者と長崎の被ばく生存者の数は同程度である。
この表の低線量領域(1000mGy以下)での発がんに関する過剰相対リスクは広島では負と長崎では概ね正で傾向が逆転している。即ち、両市を合わせて評価すれば不確かさは大きくなり、線量0でちょうど過剰相対リスクが0近くになるようにできており、線量が低くても人体影響が生じるとするLNTモデル(しきい値なし直線影響モデル)仮説を支持するかのようなデータになっている。
上記の経緯を考慮すれば、長崎の被ばくデータ、即ち、長崎の線源データには何らかの意図的、系統的な操作がされたと考えるのが自然である。
福島事故など原子力災害時の対応への影響はここから生じている。このような操作されたデータが現在の低線量での被ばく影響を法的にも保証しているLNTモデル(しきい値なし直線影響モデル)のベースデータになっている。LNTモデルはどんな低線量被ばくでも発がんリスクがあるというモデルでなのである。
即ち、このLNTモデルが国際放射線防護委員会が各国政府に勧告している被ばく量規制の基準の評価法に採用されており、福島事故での避難区域の線引きにも用いられている。そして多数の事故関連死者が出ている。
日本は、長崎でも多数の被害者を出したうえ、福島事故への対応でも米軍による原爆の間接的被害を受けているのである。
以下は、統計ソフトRによる広島と長崎の男性被ばく生存者の固形がん発症リスクの計算結果である。この表でERRとは過剰相対リスクであり、被ばくしていない住民に対し、どの程度発がん事象が生じるかの比率から1.0を引いた数値である。この値が0になった線量範囲の最大値がしきい値に相当するが両市で傾向が全く異なるのが分かる。
対象被ばく線量
範囲(mGy) 広島男性ERR 長崎男性ERR
0-3400 0.53229 0.55920
0-3000 0.52917 0.54893
0-2500 0.57073 0.55257
0-2000 0.60734 0.62076
0-1750 0.57683 0.62492
0-1500 0.56950 0.49506
0-1250 0.68868 0.56793
0-1000 0.68024 0.54412
0-750 0.57822 0.2096
0-500 0.36171 -0.07064
0-300 -0.28841 0.89491
0-250 -1.12378 -1.37368
0-200 -1.52555 1.51706
0-175 -2.32424 2.23158
0-150 -2.44334 2.20752
0-125 -1.37516 1.92733
0-100 -1.53605 2.19552
0-80 -3.14243 0.98108
0-60 -2.66847 -2.03801
0-40 -12.4006 -10.3098
0-20 -12.6825 13.0406
0-5 -61.4725 119.8396
オッペンハイマーはネバダの砂漠でトリニティと呼ばれる、長崎の原爆のための爆発実験を責任者として行ったわけだが、その際に、爆心から数キロの距離に兵士を多数配置し、被ばくの影響を調べる様、軍部から依頼されていた。トリニティの実験は成功したのだが、その出力は精度よくわかってはいなかったので兵士は3キロほどの距離にいたため、殆ど急性の症状はでなかったのである。映画でも各研究者がバラバラの出力を予測したことが描かれている。
日本の敗戦ののち、米ソの冷戦が本格化すると考えていたトルーマン大統領は、原爆が兵士に及ぼす影響のデータを確実なものと従ったのだが、プルトニウム原爆はプルトニウム240のために、濃縮ウランほど確実には爆発しない。そこで、広島で濃縮ウランで確実に日本にダメージを与えた3日後に長崎にプルトニウム原爆を落とし、被ばくデータを日本人を使った人体実験を再度行ったのである。
従って、米軍首脳としてもオッペンハイマーらにとっても、長崎原爆とトリニティの爆発力は同一でないといけないはずである。現に、現在、両者の爆発力をネットで調べると、
長崎原爆(ファットマン):約 21キロトン(21,000トン)
トリニティ実験:約 20キロトン(20,000トン)
と5%の差しかない。これはプルトニウム原爆の不安定さ(プルトニウム240などの自然崩壊の統計的変動や爆縮装置の微妙な差)を考慮すれば異常なほどよく一致した値となっている。
トリニティか、長崎原爆かどちらか或いは両方とも間違った値になっていることは以上の経緯からほぼ確実である。
このよく一致した数値は米政府向けに当時の米軍やオッペンハイマーらロスアラモスの上層部が相談して作った数値だとしか考えられない。
これを現在でも証明できる方法を見つけることができた。
広島の放射線影響研究所(RERF)が公開している広島・長崎の被ばく者発がんデータを各市毎に分けて分析すると最後の表に示したように、全く異なる結果になることが分かったのである。
このデータの被ばく線量はRERFの米国人側担当者が評価した値なのである。(原爆の爆発力は軍事機密ということで日本側は米側から供給されたデータをそのまま受け取ることしかできない仕組みになっている。)
ところが、RERFから公表されている人体への被ばく影響関連データは、広島;長崎の両市のデータを合わせた評価値だけである。各市毎に分離して評価したデータは出されていない。
この結果、低線量領域では、発がんの被ばく線量にしきい値があるのかないのか不確かになっているのである。本来、被ばく線量により両者を評価しているのだから、被ばくの場所でこの値が異なることはあり得ないはずで、どちらかのデータが操作されたとしか考えられない。広島の被ばく生存者と長崎の被ばく生存者の数は同程度である。
この表の低線量領域(1000mGy以下)での発がんに関する過剰相対リスクは広島では負と長崎では概ね正で傾向が逆転している。即ち、両市を合わせて評価すれば不確かさは大きくなり、線量0でちょうど過剰相対リスクが0近くになるようにできており、線量が低くても人体影響が生じるとするLNTモデル(しきい値なし直線影響モデル)仮説を支持するかのようなデータになっている。
上記の経緯を考慮すれば、長崎の被ばくデータ、即ち、長崎の線源データには何らかの意図的、系統的な操作がされたと考えるのが自然である。
福島事故など原子力災害時の対応への影響はここから生じている。このような操作されたデータが現在の低線量での被ばく影響を法的にも保証しているLNTモデル(しきい値なし直線影響モデル)のベースデータになっている。LNTモデルはどんな低線量被ばくでも発がんリスクがあるというモデルでなのである。
即ち、このLNTモデルが国際放射線防護委員会が各国政府に勧告している被ばく量規制の基準の評価法に採用されており、福島事故での避難区域の線引きにも用いられている。そして多数の事故関連死者が出ている。
日本は、長崎でも多数の被害者を出したうえ、福島事故への対応でも米軍による原爆の間接的被害を受けているのである。
以下は、統計ソフトRによる広島と長崎の男性被ばく生存者の固形がん発症リスクの計算結果である。この表でERRとは過剰相対リスクであり、被ばくしていない住民に対し、どの程度発がん事象が生じるかの比率から1.0を引いた数値である。この値が0になった線量範囲の最大値がしきい値に相当するが両市で傾向が全く異なるのが分かる。
対象被ばく線量
範囲(mGy) 広島男性ERR 長崎男性ERR
0-3400 0.53229 0.55920
0-3000 0.52917 0.54893
0-2500 0.57073 0.55257
0-2000 0.60734 0.62076
0-1750 0.57683 0.62492
0-1500 0.56950 0.49506
0-1250 0.68868 0.56793
0-1000 0.68024 0.54412
0-750 0.57822 0.2096
0-500 0.36171 -0.07064
0-300 -0.28841 0.89491
0-250 -1.12378 -1.37368
0-200 -1.52555 1.51706
0-175 -2.32424 2.23158
0-150 -2.44334 2.20752
0-125 -1.37516 1.92733
0-100 -1.53605 2.19552
0-80 -3.14243 0.98108
0-60 -2.66847 -2.03801
0-40 -12.4006 -10.3098
0-20 -12.6825 13.0406
0-5 -61.4725 119.8396
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