ICRPが年間線量しか基準に出来なかったワケ ― 2024年09月20日 12:44
9月15日夜に放送されたNHKスペシャル「第四の被ばく」によれば、被ばくした測量船拓洋が1956年の7月に危険地域に近づく前に、米国は日本に対し被ばく基準を定めるよう要求していました。これは、1954年のビキニで被ばくした第5福竜丸事件で日本の反核運動が盛り上がり、反米運動となって在日米軍や冷戦での米国の立場が弱くなることへの懸念が下地にあったとのことです。
しかし、これを受けて日本の厚生省の委員会で当時採用された基準はICRP(国際放射線防護委員会)が1954年に定めた放射線作業従事者に対する年間50ミリシーベルトを流用しただけのものでした。
ではなぜICRPは急性障害で問題となる瞬間被ばくでの時間線量率制限を設けなかったのでしょうか。
ChatGPTによる答えは**************行の下にしめしますが、要約すると、
「本当は白血病など急性障害に対する基準を決めたかったが、データがなく、瞬間被ばくの測定法もないので広島・長崎で測定された被ばく量からできるだけ小さめに年間被ばく量制限を決めた。これにより、瞬間被ばくでの急性障害も防護できると考えた。」
ということです。しかし、この基準は2重の意味で有害無益でした。瞬間被ばく対策として、年間被ばく線量を小さめに決めたのです。現在の基準では多少小さく、年間20ミリシーベルト(従事者、また、事故後の特定状態)或いは年間1ミリシーベルト(一般人)となっていますが、有害無益であることは変わりません。
これは、元々が水爆などの瞬間的な被ばくのために、定量的な根拠も無く、無意味に小さくしているため、この基準を守って無理な避難を行ったため、核爆発のような瞬間被ばくの恐れがない福島事故では事故関連死につながってしまいました。
一方、急性障害についてはどうかと言えば、確かに、年間被ばく量を小さく設定するのは傾向としては良いのですが、1年は秒で表せば3153600秒です。このような長い時間により50ミリシーベルトを割ったとしても、原爆や水爆のようなミリ秒以下で割った時間線量率よりも数ケタ小さくなります。(1ミリシーベルトを年間秒数で割った場合は、3.2×10のマイナス7乗ミリシーベルト/秒、1ミリシーベルトを1ミリ秒で割った場合は1000ミリシーベルト/秒)
即ち、原爆や水爆の瞬間被ばくの時間線量率に対する制限にはならず、実際の被ばくよりも10桁も小さい時間線量率制限になり、無意味です。なぜなら、このような瞬間被ばくを受けた人は1ミリシーベルト/年制限は守っていることになりますが、急性障害で問題となる時間線量率は10桁も高い被ばくを受けているということになるからです。
このため、水爆の瞬間被ばくを受けた拓洋船員は当然として、水爆と同様の反応である太陽フレアのプレパルシブ相の高エネルギーX線被ばくを受ける高空で勤務するCAも同様に白血病リスクが増えます。CAはICRP基準で20ミリシーベルト/年の制限を受けてはいますが、瞬間被ばくに対する時間線量率制限は現在もICRP勧告にはありません。
恐ろしいことにこれは、CAだけでなく、運悪く太陽フレアを浴びた一般旅客も同じです。(詳しくは先週以前の本ブログを参照ください。)
現在も短時間被ばくを正確に測定するのは難しいかもしれませんが、関係官庁や放射線管理関係の関係者は、ICRPの基準さえ守っていれば、マスコミにも文句は言われませんので、瞬間被ばくは無視したままです。
しかし、今年から、太陽フレアは活動期に入っています。また、無意味な放射線事故関連死も防ぐ必要があります。早急に瞬時被ばく時間線量率制限を考慮した新基準を整備し、同時に、最近の半導体技術、AI技術を駆使した小型の放射線測定装置、太陽フレア予測システムを開発して、実効的な放射線防護法を構築することが、市民の健康と経済を守るために重要だと思います。
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質問:
1954年勧告は、なぜ急性障害対策なのに年間線量限度しか決めなかったのでしょうか?
ChatGPT
1954年のICRP勧告で、急性障害対策にもかかわらず年間線量限度しか設定されなかった理由は、以下のいくつかの要因が関与しています。
1. 放射線の影響に対する当時の理解の限界
1954年当時、放射線の人体に対する影響についての科学的知識は、主に高線量の急性被ばくによる影響(皮膚の損傷、白血病、急性放射線症など)に焦点が当てられていました。しかし、低線量の被ばくが長期間にわたってどのような影響を及ぼすかについては、まだ十分に理解されていませんでした。
急性障害を防ぐための基準としては、被ばく量の「しきい値」以上の放射線量を浴びたときに急性症状が出ると考えられていました。このため、年間線量限度として、急性影響を引き起こすしきい値の手前に線量制限を設けることで、安全マージンを確保しようという考え方があったのです。
2. 実務的な理由:累積線量の管理が現実的
ICRPが急性障害対策として年間線量限度を設定した理由の1つは、累積線量を管理する方が実務的だったためです。放射線防護においては、短期間に集中して放射線を浴びる急性被ばくよりも、年間を通じた累積被ばく量を追跡することの方が、実際の職場環境で実行しやすかったのです。
年間線量限度を設定することで、放射線作業従事者が1年間にどれだけ被ばくしているかを監視し、長期間にわたる被ばく量がしきい値を超えないようにすることができました。これは、当時の放射線防護の管理が手動で行われ、短期間の線量制限を正確に管理することが技術的に難しかったため、年間単位での管理が現実的な方法だったという背景もあります。
3. 急性障害と慢性障害の両方への対応
1954年勧告は、急性障害を防ぐことを主な目的としていましたが、ICRPは慢性障害の可能性も考慮に入れていました。広島・長崎のデータやそれまでの放射線被ばくに関する知見から、低線量被ばくでも長期的に健康に影響がある可能性があることが示唆されていました。
ICRPは、急性障害だけでなく、長期的なリスクも低減するために、年間の累積線量限度を設定しました。これは、急性影響のしきい値を超えない範囲に抑えつつ、慢性影響のリスクも可能な限り最小限に抑えるという意図がありました。
4. 急性線量限度の実用性と職業環境での管理
急性障害に対する対応として、1回の被ばくに対する限度を設定するという方法もありますが、1954年当時の技術や監視システムでは、職業被ばくにおける一回ごとの短期間の被ばく量を正確に測定・管理することは難しかったため、累積的な被ばく量を監視する方が現実的でした。
また、職業上の被ばくは1度に高線量を浴びることよりも、比較的低い線量を長期間にわたって受けることが多い環境でした。そのため、短期間の線量限度を設定するよりも、年間を通じての総被ばく量を管理することがより実践的だったのです。
5. 安全マージンの確保
年間線量限度は、急性障害を引き起こすしきい値から大幅に低いレベルに設定されており、実質的に安全マージンを確保する形で設計されています。このため、急性障害を防ぐには十分な基準だと考えられていました。実際、職業被ばくの線量限度は当時、急性障害を引き起こすような短期間の高線量被ばくが起こらないことを前提に設定されました。
まとめ
1954年のICRP勧告では、急性障害を防ぐことが主な目的だったにもかかわらず、年間線量限度が設定されたのは、急性被ばくを避けるための安全マージンを確保しつつ、長期間の累積被ばくを管理するという実務的な理由が背景にあります。また、当時の技術や監視方法により、短期間での被ばく管理が難しかったため、年間単位の累積線量管理が最も適していたと考えられます。
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しかし、これを受けて日本の厚生省の委員会で当時採用された基準はICRP(国際放射線防護委員会)が1954年に定めた放射線作業従事者に対する年間50ミリシーベルトを流用しただけのものでした。
ではなぜICRPは急性障害で問題となる瞬間被ばくでの時間線量率制限を設けなかったのでしょうか。
ChatGPTによる答えは**************行の下にしめしますが、要約すると、
「本当は白血病など急性障害に対する基準を決めたかったが、データがなく、瞬間被ばくの測定法もないので広島・長崎で測定された被ばく量からできるだけ小さめに年間被ばく量制限を決めた。これにより、瞬間被ばくでの急性障害も防護できると考えた。」
ということです。しかし、この基準は2重の意味で有害無益でした。瞬間被ばく対策として、年間被ばく線量を小さめに決めたのです。現在の基準では多少小さく、年間20ミリシーベルト(従事者、また、事故後の特定状態)或いは年間1ミリシーベルト(一般人)となっていますが、有害無益であることは変わりません。
これは、元々が水爆などの瞬間的な被ばくのために、定量的な根拠も無く、無意味に小さくしているため、この基準を守って無理な避難を行ったため、核爆発のような瞬間被ばくの恐れがない福島事故では事故関連死につながってしまいました。
一方、急性障害についてはどうかと言えば、確かに、年間被ばく量を小さく設定するのは傾向としては良いのですが、1年は秒で表せば3153600秒です。このような長い時間により50ミリシーベルトを割ったとしても、原爆や水爆のようなミリ秒以下で割った時間線量率よりも数ケタ小さくなります。(1ミリシーベルトを年間秒数で割った場合は、3.2×10のマイナス7乗ミリシーベルト/秒、1ミリシーベルトを1ミリ秒で割った場合は1000ミリシーベルト/秒)
即ち、原爆や水爆の瞬間被ばくの時間線量率に対する制限にはならず、実際の被ばくよりも10桁も小さい時間線量率制限になり、無意味です。なぜなら、このような瞬間被ばくを受けた人は1ミリシーベルト/年制限は守っていることになりますが、急性障害で問題となる時間線量率は10桁も高い被ばくを受けているということになるからです。
このため、水爆の瞬間被ばくを受けた拓洋船員は当然として、水爆と同様の反応である太陽フレアのプレパルシブ相の高エネルギーX線被ばくを受ける高空で勤務するCAも同様に白血病リスクが増えます。CAはICRP基準で20ミリシーベルト/年の制限を受けてはいますが、瞬間被ばくに対する時間線量率制限は現在もICRP勧告にはありません。
恐ろしいことにこれは、CAだけでなく、運悪く太陽フレアを浴びた一般旅客も同じです。(詳しくは先週以前の本ブログを参照ください。)
現在も短時間被ばくを正確に測定するのは難しいかもしれませんが、関係官庁や放射線管理関係の関係者は、ICRPの基準さえ守っていれば、マスコミにも文句は言われませんので、瞬間被ばくは無視したままです。
しかし、今年から、太陽フレアは活動期に入っています。また、無意味な放射線事故関連死も防ぐ必要があります。早急に瞬時被ばく時間線量率制限を考慮した新基準を整備し、同時に、最近の半導体技術、AI技術を駆使した小型の放射線測定装置、太陽フレア予測システムを開発して、実効的な放射線防護法を構築することが、市民の健康と経済を守るために重要だと思います。
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質問:
1954年勧告は、なぜ急性障害対策なのに年間線量限度しか決めなかったのでしょうか?
ChatGPT
1954年のICRP勧告で、急性障害対策にもかかわらず年間線量限度しか設定されなかった理由は、以下のいくつかの要因が関与しています。
1. 放射線の影響に対する当時の理解の限界
1954年当時、放射線の人体に対する影響についての科学的知識は、主に高線量の急性被ばくによる影響(皮膚の損傷、白血病、急性放射線症など)に焦点が当てられていました。しかし、低線量の被ばくが長期間にわたってどのような影響を及ぼすかについては、まだ十分に理解されていませんでした。
急性障害を防ぐための基準としては、被ばく量の「しきい値」以上の放射線量を浴びたときに急性症状が出ると考えられていました。このため、年間線量限度として、急性影響を引き起こすしきい値の手前に線量制限を設けることで、安全マージンを確保しようという考え方があったのです。
2. 実務的な理由:累積線量の管理が現実的
ICRPが急性障害対策として年間線量限度を設定した理由の1つは、累積線量を管理する方が実務的だったためです。放射線防護においては、短期間に集中して放射線を浴びる急性被ばくよりも、年間を通じた累積被ばく量を追跡することの方が、実際の職場環境で実行しやすかったのです。
年間線量限度を設定することで、放射線作業従事者が1年間にどれだけ被ばくしているかを監視し、長期間にわたる被ばく量がしきい値を超えないようにすることができました。これは、当時の放射線防護の管理が手動で行われ、短期間の線量制限を正確に管理することが技術的に難しかったため、年間単位での管理が現実的な方法だったという背景もあります。
3. 急性障害と慢性障害の両方への対応
1954年勧告は、急性障害を防ぐことを主な目的としていましたが、ICRPは慢性障害の可能性も考慮に入れていました。広島・長崎のデータやそれまでの放射線被ばくに関する知見から、低線量被ばくでも長期的に健康に影響がある可能性があることが示唆されていました。
ICRPは、急性障害だけでなく、長期的なリスクも低減するために、年間の累積線量限度を設定しました。これは、急性影響のしきい値を超えない範囲に抑えつつ、慢性影響のリスクも可能な限り最小限に抑えるという意図がありました。
4. 急性線量限度の実用性と職業環境での管理
急性障害に対する対応として、1回の被ばくに対する限度を設定するという方法もありますが、1954年当時の技術や監視システムでは、職業被ばくにおける一回ごとの短期間の被ばく量を正確に測定・管理することは難しかったため、累積的な被ばく量を監視する方が現実的でした。
また、職業上の被ばくは1度に高線量を浴びることよりも、比較的低い線量を長期間にわたって受けることが多い環境でした。そのため、短期間の線量限度を設定するよりも、年間を通じての総被ばく量を管理することがより実践的だったのです。
5. 安全マージンの確保
年間線量限度は、急性障害を引き起こすしきい値から大幅に低いレベルに設定されており、実質的に安全マージンを確保する形で設計されています。このため、急性障害を防ぐには十分な基準だと考えられていました。実際、職業被ばくの線量限度は当時、急性障害を引き起こすような短期間の高線量被ばくが起こらないことを前提に設定されました。
まとめ
1954年のICRP勧告では、急性障害を防ぐことが主な目的だったにもかかわらず、年間線量限度が設定されたのは、急性被ばくを避けるための安全マージンを確保しつつ、長期間の累積被ばくを管理するという実務的な理由が背景にあります。また、当時の技術や監視方法により、短期間での被ばく管理が難しかったため、年間単位の累積線量管理が最も適していたと考えられます。
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