n次元と分かりやすさと脳構造の関係について2025年06月02日 05:21

 内田樹氏のブログ
http://blog.tatsuru.com/
を読んでいて感じた。文章がどれも異常に分かりやすいのである。

 なぜ分かりやすいのか、現実世界も悪夢の世界も映画の世界も、すべて文章にして一刀両断にできるだけの文章力をお持ちなのである。それは長年の文学者・哲学者の経歴の中で獲得したものであろう。

 これを理科系の視点でいえば、3次元の世界(4次元かもしれないが)、2次元の世界を1次元である文章という世界に落とし込める能力である。

 我々は、構造を分かりやすく説明するために、良く図面を用いるが、意外に分かりにくい。確かに複雑なものを一目で見えるように説明するには2次元の図面を使用するが納得するにはそれなりの時間が必要だ。

 しかし、文章で事物を説明する際には、場合によってはたった一言で複雑怪奇な世界を他者に納得させることも可能だ。

 このことが、データを言葉で解説する論文や解説書の命だろう。複雑なデータがいくらあっても、画像やモデルがいくらあっても、それは他人を納得させることはできない。

 分かるということは頭で理解することである。頭脳は悲しいことに言葉を容易に理解できるようにできている。3次元や2次元の映像を見ていても納得できるようにはできていない。(少なくとも私には)

 一番わかるのは文章なのである。即ち、文字の一次元配列である。
4次元、3次元、2次元の各世界を1次元の文章に落とし込める能力、それも簡潔で適切に表現できる能力こそ、哲学者に必須の能力だが、それは複雑な事象を論文化、説明書化する科学者、技術者にも同様に求められるものなのだろう。

 残念ながら、我々の脳はニューロンのネットワークとはいっても一次元的な構造をよく理解できるようになっているようだ(少なくとも私には)。

 地形図のような2次元的なマップもある程度は理解できる。しかし、うっかりすると頭から消えてしまう。その場にいればまだいいのだが、過去の事物との3次元的なつながりや宇宙の次空構造などを想像するのはほぼ不可能だ。

 そこを1次元の文章で自他ともに納得させる言語能力を知性というのかもしれない。

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