長崎と広島の発がんリスク差の原因は? ― 2025年07月26日 10:24
昨日の朝のNHKでも長崎の女性被ばく者のがん発症率が高いという趣旨の報道があった。
なぜ、長崎女性被ばく者の発がん率が高いのか、広島被ばく女性ではそこまで高くないようなのに、その差はどこから来るのか。
統計データ上は確かにかなりの差があるようだ。
男女平均でも大きな傾向の違いがある。(本ブログ1月27日記事等)
ではこの原因はどこにあるのか、1月27日ブログでは線量評価データ自体の問題を指摘したが、ほかにも可能性はありそうだ。
それは以下の3点である。
(1)残留α放射能の違い
(2)中性子源の違い
(3)爆発時間の違い
(1)残留α放射能の違い
広島原爆はTNT換算で約16キロトン、長崎原爆は約21キロトンと言われており、核分裂生成物の発生量には大きな差はない。また、核分裂生成物からの放射能は1か月単位で崩壊していくので仮に空気中に残っていても被ばく影響は小さく、広島長崎の発がんリスクの差を説明できそうにない。
しかし、両原爆の核物質には大きな相違がある。
広島原爆は主にウラン‐235であり、長崎原爆はプルトニウムー239
である。原爆が爆発してもすべてのこれらの物質が核分裂するわけではなく、その消費割合は下記のChatGPTとのQ&A1によれば広島で最大1.5%、長崎原爆で最大約20%である。即ち、
残留量は
広島で約63kg
長崎で約5kgとなる。
これらは重金属なので簡単には拡散せず、爆心付近に落下した可能性がある。各物質の半減期と放出されるα粒子のエネルギーは
ウラン‐235 7億年 αエネルギー約4.3MeV
プルトニウム‐239 7万4千年 αエネルギー約5.1MeV
で長崎原爆のほうが量は一桁少ないが、半減期は4桁小さいので、残留放射能のα線源強度としては、広島原爆に比べ
長崎原爆が3桁高く、
ベクレル数では
広島原爆 20MBq
長崎原爆 1.2GBq
になる。仮に爆心付近に落下したこれらのα放射体を吸入したとすれば、α粒子による発がんリスクは長崎のほうが3桁高いということになる。
しかし、現在の被ばく評価では、爆発時の即発ガンマ線及び即発中性子による被ばく量しか対象にしておらず、この被ばく量と発がんリスクだけを関係づけているので、両原爆におけるこのα粒子吸入による効果は無視されている。
福島事故でも放出されたセシウムの強度は半減期とは関係なく低下している。同様に、仮に両原爆の残留放射能が爆心付近に落下しても現在では検出されないであろう。
(2)中性子源の違い
長崎型原爆はプルトニウム原爆であるため、不完全爆発を防ぐために中性子源を広島型(ウラン原爆)より数倍多く含んでいた。即ち、爆縮後に中性子を大量にプルトニウムに注入して、瞬間的に爆発させるという工夫である。このため、下記ChatGPTとのQ&A2によれば、長崎型では
ポロニウム(Po-210)は約50Ci(1.9GBq)
含まれており、
一方、広島型は明確ではないが
ポロニウム(Po-210)は数Ci(0.1GBq程度)
しか含まれていないようである。
Po-210とは半減期138日で5.2MeVのα粒子を発生する放射性物質である。このα粒子がベリリウムと爆発の瞬間に混合して大量の中性子を発生する。
すべてのポロニウムが瞬時になくなるわけではない。半減期が138日ということは、爆発の瞬間にはほぼ製造時と同じだけ残っており、爆発後も付近に拡散してしまったために、被ばく者が吸入した可能性も考えられる。
要因(1)(2)をまとめると、長崎型原爆ではポロニウムは上記のプルトニウムよりもベクレル数では1.6倍大きいので爆心付近に落下して吸入した場合にはプルトニウムよりも影響が大きい。
ポロニウム、プルトニウムともに長崎原爆の被ばく評価では無視されている。測定もすでにできない状態だが、仮に爆心付近に落下して被ばく者が吸入していれば、広島との発がんリスクの差を説明する有力な要因となろう。
(3)の爆発時間については、特に定量化は困難だが、放射線影響研究所による各原爆の爆発時間は1μ秒以下とされている。
ChatGPTによる下記Q&A3によれば、爆発時間(即発放射線を放出している時間)は
広島原爆:0.8μ秒
長崎原爆:0.5μ秒
である。長崎原爆/広島原爆の出力比はTNT換算で21/16=1.3
なので、長崎原爆/広島原爆の時間線量率としては、
0.8/0.5×1.3=2.1倍
となる。
下記リンクに引用されている論文で解説されているように、時間線量率ががんリスクに影響するとすると、数倍の相違の影響の可能性がある。但しマウスとヒトでは影響度が異なるかもしれない。
https://www.tandfonline.com/doi/full/10.1080/00223131.2016.1164635
Q&A1
***************************
Q:広島原爆、長崎原爆の各々について、核分裂したウラン、プルトニウムの割合はどの程度だったでしょうか。
ChatGPT:
はい、ご質問の「広島原爆・長崎原爆において、投下された核物質のうち実際に核分裂した割合」は、非常に重要な工学的・物理学的ポイントです。
✅ 結論:核分裂した核物質の割合(推定)
原爆 使用核物質 全体の核物質量 核分裂した量 核分裂割合
広島(リトルボーイ) ウラン-235 約 64 kg 約 0.6~1 kg 約 1%〜1.5%
長崎(ファットマン) プルトニウム-239 約 6.2 kg 約 1 kg 約 15%〜20%
****************************
Q&A2
**************************
Q:LittleBoyに中性子源はないということでしたが、https:/en.wikipedia/wiki/Little_Boy#Assembly_detailsの図にはPolonium-Beryllium Initiatorが含まれていますがどちらが正しいですか
ChatGPT:
結論(先にポイントだけ)
最終的に実戦で投下された Little?Boy には、確かにポロニウムーベリリウム (PoーBe) の内部中性子源が取り付けられていました。
コードネーム “ABNER”。4 個の小型カプセルがターゲット側(細い「スパイク」=インサート)の周囲にねじ込まれていました。
ウィキペディア
ただし 設計当初は「中性子源は不要」と考えられており、後から“保険”として追加された ため、
① 一部の技術史・解説書は「Little?Boy にはイニシエータが無かった」と書く
② Wikipedia などの図面には “Polonium?Beryllium Initiator” が描かれている
という 二つの記述が混在 しています。
両方とも背景を踏まえれば矛盾しません。
なぜ「不要」とされていたのか
ウラン?235 は自発核分裂で毎秒約70n/g の中性子を放出します。
ガン型は部材が合体するまで約1ms かかるので、「背景中性子だけでも連鎖反応はほぼ確実に発生する」と見積もられていました。
したがって ABNER が無くても爆発は起きる → 1945 年の Smyth Report や戦後しばらくの公開資料では中性子源に触れていません。
それでも「付けることにした」理由
課題 ABNER 追加で得られたメリット
統計ゆらぎ:背景中性子が少ない瞬間に合体すると出力が数 % 落ちる恐れのため、衝突と同時に 10の2~10の3乗 個の中性子を一括注入し、再現性を確保
早期暴発(プレデトネーション):合体途中で中性子が入ると出力が下がる Po‐Be カプセルは衝突時の衝撃で初めて混合→タイミングを固定
安全性:機体事故時に臨界にならないよう余剰反応度は小さい 追加しても臨界裕度への影響は無視できる程度
ABNER は Po‐210 を数Ci 程度しか使わず、プルトニウム爆弾の「Urchin」(約50Ci)よりずっと小さい簡易な構造でした。
“後付け・少量” という経緯が「無かった」とする誤解を助長した、と言われます。
ウィキペディア
情報が食い違う背景
機密指定の長期化
Fat?Man 用「Urchin」は 1940?50 年代に断片的に公開されたのに対し、ABNER の詳細は 1990 年代後半まで公式には言及されませんでした。
早期の技術史が Smyth Report に依存
そこにイニシエータが載っていないため、派生解説も「Little?Boy には無い」と記述しがち。
近年の再構築研究(J.Coster Mullen など)
散逸していた組立手順の図面・Tinian での証言を統合し、Po‐Be カプセルの存在を実証。
この成果が Wikipedia の図や最新の専門書に反映され、「ある」説が主流になった。
まとめ
観点 内容
最終仕様 4 個のポロニウムーベリリウム (ABNER) イニシエータあり
技術的必須性 ほぼ不要 だったが出力の安定化と保険のため追加
資料の食い違い 初期公開資料に記載が無かった + 機密解除時期の差
したがって 「イニシエータなし」も「あり」も、どの段階の情報を指しているかによって正否が変わる、というのが結論です。
**************************
Q&A3
*****************************
広島型原爆の爆発時間は?
ChatGPT:
広島型原爆(リトルボーイ:Little Boy)の「爆発時間」とは何を意味するかによって異なりますが、主に次の3段階に分けて説明できます。
🔷 ① 核分裂連鎖反応の持続時間
本当の「核爆発時間」、すなわち連鎖反応によってエネルギーが放出されている時間です。
ウラン235の核分裂は1世代ごとにおよそ 10ナノ秒(ns)= 0.00000001秒。
核爆発ではおよそ40〜80世代の連鎖反応が続くとされているため:
10 ns×80=約0.8 μs
10 ns×80=約0.8 μs
▶ 答え:核爆発そのものの持続時間は約0.7〜1マイクロ秒(μs)程度。
🔷 ② 光・放射線の初期放出時間
放出されるガンマ線、中性子、X線は光速で放出されるため、発生直後の1マイクロ秒以内に周囲数百メートルに達します。
このため、「初期放射線の照射時間」もおおよそ1〜2マイクロ秒程度です。
🔷 ③ 火球形成・爆発として目に見える時間
核分裂で発生した熱と圧力が空気を加熱して火球(fireball)を形成。
火球が10メートル超に膨らむまでに約1ミリ秒(0.001秒)。
数百メートルに達するのに約1秒前後かかります。
▶ 目に見える「爆発の時間」は数ミリ秒〜数秒。
🔶 まとめ表
現象 広島型原爆での時間
核分裂連鎖反応 約 0.7〜1 マイクロ秒
初期放射線の放出 約 1〜2 マイクロ秒
火球形成開始 約 0.1〜1 ミリ秒
火球の最大展開 約 1〜2 秒
衝撃波が地上に到達 爆心直下なら 0.1〜0.3 秒程度
🔍補足
爆発時間という言葉が「核エネルギーの解放に要する時間(連鎖反応の時間)」を意味するなら、1マイクロ秒以内です。
広島の原爆では、約63 kgのウランのうち約800 gが核分裂し、そのほとんどのエネルギーが1マイクロ秒足らずで一気に放出されたと考えられています。
必要であれば、**火球の温度・成長モデル(Taylor–Sedov解)**や、DS02の放射線パルスモデルについてもご紹介できます。
あなた:
長崎型原爆の爆発時間は?
ChatGPT:
長崎型原爆(ファットマン:Fat Man)の「爆発時間」も、広島型と同様に、次のように3つの段階で考えると正確に理解できます。
🔷 ① 核分裂連鎖反応の持続時間(=本当の核爆発時間)
使用核種:プルトニウム239(Pu-239)
プルトニウムの核分裂連鎖反応もウラン同様、1世代あたり約10ナノ秒(ns)。
連鎖反応は約40〜50世代で終了(Puの特性上、世代数はやや少ない)。
10 ns×50=約0.5 μs
10 ns×50=約0.5 μs
▶ 答え:核分裂反応そのものの持続時間は約 0.5 マイクロ秒(μs)以内
🔷 ② 初期放射線の放出時間
核反応と同時に、中性子線・ガンマ線・X線が光速で周囲に放出される。
**爆縮が完了し、臨界状態に到達した瞬間(μs単位)**に全方向に放出。
▶ およそ 1〜2 マイクロ秒以内に放射線放出が完了。
🔷 ③ 火球形成と爆風拡散(視覚的な爆発時間)
核分裂で放出されたエネルギーが周囲の空気を加熱し、**火球(fireball)**を形成。
初期の膨張速度は超音速。直径10メートル以上に膨張するまでに:
約1ミリ秒(0.001秒)
約1ミリ秒(0.001秒)
最大火球(200〜300 m)には1〜2 秒程度かかる。
衝撃波は空気中を秒速330 m程度で進むため、爆心地近傍への衝撃波到達は0.1〜0.5秒。
✅ 時間スケールまとめ(長崎型)
現象 時間
核分裂連鎖反応 約 0.5 μs(マイクロ秒)
初期放射線放出 約 1〜2 μs
火球形成開始 約 0.1〜1 ms(ミリ秒)
火球最大膨張 約 1〜2 秒
衝撃波到達(地表) 約 0.1〜0.5 秒(距離に依存)
🔍 特徴的な違い(広島型との比較)
要素 広島型(ウラン) 長崎型(プルトニウム)
核分裂持続時間 約 0.7〜1 μs 約 0.5 μs
反応の速さ やや遅い 非常に速い(爆縮による高密度)
爆発効率 約 1.38%(約800g分裂) 約 13%(約1.0kg分裂)
中性子源 不使用(自然中性子) Po-Be中性子源を精密タイミングで使用
🔬 補足:ファットマンの爆縮過程
ファットマンは爆縮型で、爆薬による対称圧縮でプルトニウム球を臨界まで縮小。
この爆縮プロセスは約10〜20マイクロ秒で完了し、その直後に核反応が一気に開始。
爆縮タイミングが早すぎても遅すぎても、核反応が不完全になってしまうため、中性子源の発火タイミングが極めて重要。
なぜ、長崎女性被ばく者の発がん率が高いのか、広島被ばく女性ではそこまで高くないようなのに、その差はどこから来るのか。
統計データ上は確かにかなりの差があるようだ。
男女平均でも大きな傾向の違いがある。(本ブログ1月27日記事等)
ではこの原因はどこにあるのか、1月27日ブログでは線量評価データ自体の問題を指摘したが、ほかにも可能性はありそうだ。
それは以下の3点である。
(1)残留α放射能の違い
(2)中性子源の違い
(3)爆発時間の違い
(1)残留α放射能の違い
広島原爆はTNT換算で約16キロトン、長崎原爆は約21キロトンと言われており、核分裂生成物の発生量には大きな差はない。また、核分裂生成物からの放射能は1か月単位で崩壊していくので仮に空気中に残っていても被ばく影響は小さく、広島長崎の発がんリスクの差を説明できそうにない。
しかし、両原爆の核物質には大きな相違がある。
広島原爆は主にウラン‐235であり、長崎原爆はプルトニウムー239
である。原爆が爆発してもすべてのこれらの物質が核分裂するわけではなく、その消費割合は下記のChatGPTとのQ&A1によれば広島で最大1.5%、長崎原爆で最大約20%である。即ち、
残留量は
広島で約63kg
長崎で約5kgとなる。
これらは重金属なので簡単には拡散せず、爆心付近に落下した可能性がある。各物質の半減期と放出されるα粒子のエネルギーは
ウラン‐235 7億年 αエネルギー約4.3MeV
プルトニウム‐239 7万4千年 αエネルギー約5.1MeV
で長崎原爆のほうが量は一桁少ないが、半減期は4桁小さいので、残留放射能のα線源強度としては、広島原爆に比べ
長崎原爆が3桁高く、
ベクレル数では
広島原爆 20MBq
長崎原爆 1.2GBq
になる。仮に爆心付近に落下したこれらのα放射体を吸入したとすれば、α粒子による発がんリスクは長崎のほうが3桁高いということになる。
しかし、現在の被ばく評価では、爆発時の即発ガンマ線及び即発中性子による被ばく量しか対象にしておらず、この被ばく量と発がんリスクだけを関係づけているので、両原爆におけるこのα粒子吸入による効果は無視されている。
福島事故でも放出されたセシウムの強度は半減期とは関係なく低下している。同様に、仮に両原爆の残留放射能が爆心付近に落下しても現在では検出されないであろう。
(2)中性子源の違い
長崎型原爆はプルトニウム原爆であるため、不完全爆発を防ぐために中性子源を広島型(ウラン原爆)より数倍多く含んでいた。即ち、爆縮後に中性子を大量にプルトニウムに注入して、瞬間的に爆発させるという工夫である。このため、下記ChatGPTとのQ&A2によれば、長崎型では
ポロニウム(Po-210)は約50Ci(1.9GBq)
含まれており、
一方、広島型は明確ではないが
ポロニウム(Po-210)は数Ci(0.1GBq程度)
しか含まれていないようである。
Po-210とは半減期138日で5.2MeVのα粒子を発生する放射性物質である。このα粒子がベリリウムと爆発の瞬間に混合して大量の中性子を発生する。
すべてのポロニウムが瞬時になくなるわけではない。半減期が138日ということは、爆発の瞬間にはほぼ製造時と同じだけ残っており、爆発後も付近に拡散してしまったために、被ばく者が吸入した可能性も考えられる。
要因(1)(2)をまとめると、長崎型原爆ではポロニウムは上記のプルトニウムよりもベクレル数では1.6倍大きいので爆心付近に落下して吸入した場合にはプルトニウムよりも影響が大きい。
ポロニウム、プルトニウムともに長崎原爆の被ばく評価では無視されている。測定もすでにできない状態だが、仮に爆心付近に落下して被ばく者が吸入していれば、広島との発がんリスクの差を説明する有力な要因となろう。
(3)の爆発時間については、特に定量化は困難だが、放射線影響研究所による各原爆の爆発時間は1μ秒以下とされている。
ChatGPTによる下記Q&A3によれば、爆発時間(即発放射線を放出している時間)は
広島原爆:0.8μ秒
長崎原爆:0.5μ秒
である。長崎原爆/広島原爆の出力比はTNT換算で21/16=1.3
なので、長崎原爆/広島原爆の時間線量率としては、
0.8/0.5×1.3=2.1倍
となる。
下記リンクに引用されている論文で解説されているように、時間線量率ががんリスクに影響するとすると、数倍の相違の影響の可能性がある。但しマウスとヒトでは影響度が異なるかもしれない。
https://www.tandfonline.com/doi/full/10.1080/00223131.2016.1164635
Q&A1
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Q:広島原爆、長崎原爆の各々について、核分裂したウラン、プルトニウムの割合はどの程度だったでしょうか。
ChatGPT:
はい、ご質問の「広島原爆・長崎原爆において、投下された核物質のうち実際に核分裂した割合」は、非常に重要な工学的・物理学的ポイントです。
✅ 結論:核分裂した核物質の割合(推定)
原爆 使用核物質 全体の核物質量 核分裂した量 核分裂割合
広島(リトルボーイ) ウラン-235 約 64 kg 約 0.6~1 kg 約 1%〜1.5%
長崎(ファットマン) プルトニウム-239 約 6.2 kg 約 1 kg 約 15%〜20%
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Q&A2
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Q:LittleBoyに中性子源はないということでしたが、https:/en.wikipedia/wiki/Little_Boy#Assembly_detailsの図にはPolonium-Beryllium Initiatorが含まれていますがどちらが正しいですか
ChatGPT:
結論(先にポイントだけ)
最終的に実戦で投下された Little?Boy には、確かにポロニウムーベリリウム (PoーBe) の内部中性子源が取り付けられていました。
コードネーム “ABNER”。4 個の小型カプセルがターゲット側(細い「スパイク」=インサート)の周囲にねじ込まれていました。
ウィキペディア
ただし 設計当初は「中性子源は不要」と考えられており、後から“保険”として追加された ため、
① 一部の技術史・解説書は「Little?Boy にはイニシエータが無かった」と書く
② Wikipedia などの図面には “Polonium?Beryllium Initiator” が描かれている
という 二つの記述が混在 しています。
両方とも背景を踏まえれば矛盾しません。
なぜ「不要」とされていたのか
ウラン?235 は自発核分裂で毎秒約70n/g の中性子を放出します。
ガン型は部材が合体するまで約1ms かかるので、「背景中性子だけでも連鎖反応はほぼ確実に発生する」と見積もられていました。
したがって ABNER が無くても爆発は起きる → 1945 年の Smyth Report や戦後しばらくの公開資料では中性子源に触れていません。
それでも「付けることにした」理由
課題 ABNER 追加で得られたメリット
統計ゆらぎ:背景中性子が少ない瞬間に合体すると出力が数 % 落ちる恐れのため、衝突と同時に 10の2~10の3乗 個の中性子を一括注入し、再現性を確保
早期暴発(プレデトネーション):合体途中で中性子が入ると出力が下がる Po‐Be カプセルは衝突時の衝撃で初めて混合→タイミングを固定
安全性:機体事故時に臨界にならないよう余剰反応度は小さい 追加しても臨界裕度への影響は無視できる程度
ABNER は Po‐210 を数Ci 程度しか使わず、プルトニウム爆弾の「Urchin」(約50Ci)よりずっと小さい簡易な構造でした。
“後付け・少量” という経緯が「無かった」とする誤解を助長した、と言われます。
ウィキペディア
情報が食い違う背景
機密指定の長期化
Fat?Man 用「Urchin」は 1940?50 年代に断片的に公開されたのに対し、ABNER の詳細は 1990 年代後半まで公式には言及されませんでした。
早期の技術史が Smyth Report に依存
そこにイニシエータが載っていないため、派生解説も「Little?Boy には無い」と記述しがち。
近年の再構築研究(J.Coster Mullen など)
散逸していた組立手順の図面・Tinian での証言を統合し、Po‐Be カプセルの存在を実証。
この成果が Wikipedia の図や最新の専門書に反映され、「ある」説が主流になった。
まとめ
観点 内容
最終仕様 4 個のポロニウムーベリリウム (ABNER) イニシエータあり
技術的必須性 ほぼ不要 だったが出力の安定化と保険のため追加
資料の食い違い 初期公開資料に記載が無かった + 機密解除時期の差
したがって 「イニシエータなし」も「あり」も、どの段階の情報を指しているかによって正否が変わる、というのが結論です。
**************************
Q&A3
*****************************
広島型原爆の爆発時間は?
ChatGPT:
広島型原爆(リトルボーイ:Little Boy)の「爆発時間」とは何を意味するかによって異なりますが、主に次の3段階に分けて説明できます。
🔷 ① 核分裂連鎖反応の持続時間
本当の「核爆発時間」、すなわち連鎖反応によってエネルギーが放出されている時間です。
ウラン235の核分裂は1世代ごとにおよそ 10ナノ秒(ns)= 0.00000001秒。
核爆発ではおよそ40〜80世代の連鎖反応が続くとされているため:
10 ns×80=約0.8 μs
10 ns×80=約0.8 μs
▶ 答え:核爆発そのものの持続時間は約0.7〜1マイクロ秒(μs)程度。
🔷 ② 光・放射線の初期放出時間
放出されるガンマ線、中性子、X線は光速で放出されるため、発生直後の1マイクロ秒以内に周囲数百メートルに達します。
このため、「初期放射線の照射時間」もおおよそ1〜2マイクロ秒程度です。
🔷 ③ 火球形成・爆発として目に見える時間
核分裂で発生した熱と圧力が空気を加熱して火球(fireball)を形成。
火球が10メートル超に膨らむまでに約1ミリ秒(0.001秒)。
数百メートルに達するのに約1秒前後かかります。
▶ 目に見える「爆発の時間」は数ミリ秒〜数秒。
🔶 まとめ表
現象 広島型原爆での時間
核分裂連鎖反応 約 0.7〜1 マイクロ秒
初期放射線の放出 約 1〜2 マイクロ秒
火球形成開始 約 0.1〜1 ミリ秒
火球の最大展開 約 1〜2 秒
衝撃波が地上に到達 爆心直下なら 0.1〜0.3 秒程度
🔍補足
爆発時間という言葉が「核エネルギーの解放に要する時間(連鎖反応の時間)」を意味するなら、1マイクロ秒以内です。
広島の原爆では、約63 kgのウランのうち約800 gが核分裂し、そのほとんどのエネルギーが1マイクロ秒足らずで一気に放出されたと考えられています。
必要であれば、**火球の温度・成長モデル(Taylor–Sedov解)**や、DS02の放射線パルスモデルについてもご紹介できます。
あなた:
長崎型原爆の爆発時間は?
ChatGPT:
長崎型原爆(ファットマン:Fat Man)の「爆発時間」も、広島型と同様に、次のように3つの段階で考えると正確に理解できます。
🔷 ① 核分裂連鎖反応の持続時間(=本当の核爆発時間)
使用核種:プルトニウム239(Pu-239)
プルトニウムの核分裂連鎖反応もウラン同様、1世代あたり約10ナノ秒(ns)。
連鎖反応は約40〜50世代で終了(Puの特性上、世代数はやや少ない)。
10 ns×50=約0.5 μs
10 ns×50=約0.5 μs
▶ 答え:核分裂反応そのものの持続時間は約 0.5 マイクロ秒(μs)以内
🔷 ② 初期放射線の放出時間
核反応と同時に、中性子線・ガンマ線・X線が光速で周囲に放出される。
**爆縮が完了し、臨界状態に到達した瞬間(μs単位)**に全方向に放出。
▶ およそ 1〜2 マイクロ秒以内に放射線放出が完了。
🔷 ③ 火球形成と爆風拡散(視覚的な爆発時間)
核分裂で放出されたエネルギーが周囲の空気を加熱し、**火球(fireball)**を形成。
初期の膨張速度は超音速。直径10メートル以上に膨張するまでに:
約1ミリ秒(0.001秒)
約1ミリ秒(0.001秒)
最大火球(200〜300 m)には1〜2 秒程度かかる。
衝撃波は空気中を秒速330 m程度で進むため、爆心地近傍への衝撃波到達は0.1〜0.5秒。
✅ 時間スケールまとめ(長崎型)
現象 時間
核分裂連鎖反応 約 0.5 μs(マイクロ秒)
初期放射線放出 約 1〜2 μs
火球形成開始 約 0.1〜1 ms(ミリ秒)
火球最大膨張 約 1〜2 秒
衝撃波到達(地表) 約 0.1〜0.5 秒(距離に依存)
🔍 特徴的な違い(広島型との比較)
要素 広島型(ウラン) 長崎型(プルトニウム)
核分裂持続時間 約 0.7〜1 μs 約 0.5 μs
反応の速さ やや遅い 非常に速い(爆縮による高密度)
爆発効率 約 1.38%(約800g分裂) 約 13%(約1.0kg分裂)
中性子源 不使用(自然中性子) Po-Be中性子源を精密タイミングで使用
🔬 補足:ファットマンの爆縮過程
ファットマンは爆縮型で、爆薬による対称圧縮でプルトニウム球を臨界まで縮小。
この爆縮プロセスは約10〜20マイクロ秒で完了し、その直後に核反応が一気に開始。
爆縮タイミングが早すぎても遅すぎても、核反応が不完全になってしまうため、中性子源の発火タイミングが極めて重要。
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