瞬時少量暴露と長期少量暴露の違い ― 2025年09月06日 08:45
暴露とはある外部環境に対し、生体がさらされた場合に影響されることをいう。
その外部環境は何でもよいが、ここでは飲食物と放射線を取り上げる。
飲食物の中には薬も含まれる。医食同源ともいうように、体内に摂取するあらゆる物質は飲食物である。
一般に薬は、摂取間隔に厳密な時間間隔を設定し、一度に大量摂取しないように制限されている。これは、たとえ健康に良いといわれる飲食物であっても、瞬時に大量摂取することで悪影響を及ぼすことがあるためである。
わかりやすい例でいえば、醬油を一度に2リットル飲むと、死亡することがある。酒の一気飲みと同じである。しかし、醤油も毎日少量摂取することで、健康を維持できる。
紫外線はどうか。紫外線は適度に毎日浴びることで、ビタミンDが体内に生成され、健康維持に役立つが、紫外線発生器で強力な紫外線を浴びれば瞬時であってもがん発生リスクは上昇する。
では放射線はどうか。これも紫外線や飲食物と同様なのではないだろうか。
広島・長崎の被ばく者のがん発生リスクはある被ばく線量以上では明らかに増加している。
原爆被ばくは瞬時(1マイクロ秒以下)の被ばくである。爆発時間は放射線影響研究所の線源評価報告書DS02に示された値である。
瞬時被ばくの例としては、年に数回起こる太陽フレアの発生時の瞬時X線被ばくがある。この瞬時被ばくは光速で太陽フレア発生後地球上空に到達し、宇宙飛行士はX線被ばくを受ける。(谷口義明「太陽と太陽系の科学」(放送大学出版会)p.32)
一方、空気によるX線の減衰は減衰係数μと透過する距離dの積の指数関数として表せる。
I=Io×exp(-μ・d)
μは空気の全吸収係数で約1.08㎝2/g(プライス、西口監修、関野訳、「放射線計測」、(コロナ社)、p.29)であり、密度を乗じることで単位長さ当たりの減衰係数に出来る。
各コードの空気密度から減衰係数を単位計算して求めると
高度 密度 ρ (kg/m3) μ (/cm)
Sea level (0 km) 1.225 2.21E-4
10 km (ジェット巡航高度) 0.4135 7.45E-5
100km 1.0E-7 1.80E-16
200km 2.0E-9 3.6E-8
400 km (ISS付近) 1.0E-12 1.80E-11
となる。ここでE-4は10のマイナス7乗を示す。
透過中の平均密度をその平均高さでの密度とし、これを上式を用いて各位置間の減衰を求めると、
ISS(国際宇宙ステーション)でのIをIoとすると
I(10㎞)≒Io
I(海水面)=I(10㎞)*3.57E-71
となり、ISS高度とジェット巡航高度では差は殆どない。
一方、海面レベルでのジェット巡航高度に対する比率は3.57E-71倍 となり、大きく減衰するのである。
大気圧は地表で1kg/cm2だから鉛の比重を10g/cm3とすると空気が鉛厚さで1m程度の遮へいと同等の効果となる。
これが8月25日の記事で書いた女性客室乗務員(CA)のがん発生率が一般人(海面レベルで殆どを過ごす女性)の3倍程度(下記サイト)になる理由だと考えられる。
https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/29940975/
しかし、瞬間被ばくはCAや頻回高空旅行客だけの問題でも、被ばく者だけの問題でもない。特に日本人は医療被ばくで瞬間被ばくを受ける機会が多い。
それもX線撮影が多い。CTやがん治療は瞬間ではなく、数分から数時間かけた被ばくだが、X線撮影だけは数μ秒の瞬間被ばくである。
もちろん、医療での被ばく量を低減する努力は行われているし、総線量に対する制限は満足している。
しかしそれは年間総線量に対する制限値である。瞬間被ばくはそれでは規制対象にならない単位時間当たりの被ばく線量である。 年間総線量制限は満足していながら、数マイクロ秒で被ばくする高線量率被ばくなのである。現在の国際放射線委員会(ICRP)勧告による法規制には線量率に対する規制条件はない。即ち、海外旅行者や頻回X線撮影を受ける人々に対する瞬時被ばくによるがん発生リスクの防護措置はなされていない。
一方、福島事故などの長時間被ばく(年間)被ばくに対する基準は厳しく存在している。これが放射線被ばく基準の矛盾した現状であり、21世紀を生きる我々、即ち航空機利用や医療被ばくで瞬間被ばくを受ける我々にとって、無益な規制を強いていていることになる。
なぜなら、福島事故のような年間数百mシーベルトレベルの被ばくには人類の歴史の中で免疫が出来ている。P53など数十のDNA修復遺伝子が知られている。
しかし、DNA修復は細胞内の化学反応であり、時間がかかる。瞬間的に大量に被ばくを受けると免疫機能が間に合わない。
原爆も上空での太陽フレア被ばくもX線撮影も20世紀になって初めて人類が経験する被ばく形態なので、免疫がないということである。
その外部環境は何でもよいが、ここでは飲食物と放射線を取り上げる。
飲食物の中には薬も含まれる。医食同源ともいうように、体内に摂取するあらゆる物質は飲食物である。
一般に薬は、摂取間隔に厳密な時間間隔を設定し、一度に大量摂取しないように制限されている。これは、たとえ健康に良いといわれる飲食物であっても、瞬時に大量摂取することで悪影響を及ぼすことがあるためである。
わかりやすい例でいえば、醬油を一度に2リットル飲むと、死亡することがある。酒の一気飲みと同じである。しかし、醤油も毎日少量摂取することで、健康を維持できる。
紫外線はどうか。紫外線は適度に毎日浴びることで、ビタミンDが体内に生成され、健康維持に役立つが、紫外線発生器で強力な紫外線を浴びれば瞬時であってもがん発生リスクは上昇する。
では放射線はどうか。これも紫外線や飲食物と同様なのではないだろうか。
広島・長崎の被ばく者のがん発生リスクはある被ばく線量以上では明らかに増加している。
原爆被ばくは瞬時(1マイクロ秒以下)の被ばくである。爆発時間は放射線影響研究所の線源評価報告書DS02に示された値である。
瞬時被ばくの例としては、年に数回起こる太陽フレアの発生時の瞬時X線被ばくがある。この瞬時被ばくは光速で太陽フレア発生後地球上空に到達し、宇宙飛行士はX線被ばくを受ける。(谷口義明「太陽と太陽系の科学」(放送大学出版会)p.32)
一方、空気によるX線の減衰は減衰係数μと透過する距離dの積の指数関数として表せる。
I=Io×exp(-μ・d)
μは空気の全吸収係数で約1.08㎝2/g(プライス、西口監修、関野訳、「放射線計測」、(コロナ社)、p.29)であり、密度を乗じることで単位長さ当たりの減衰係数に出来る。
各コードの空気密度から減衰係数を単位計算して求めると
高度 密度 ρ (kg/m3) μ (/cm)
Sea level (0 km) 1.225 2.21E-4
10 km (ジェット巡航高度) 0.4135 7.45E-5
100km 1.0E-7 1.80E-16
200km 2.0E-9 3.6E-8
400 km (ISS付近) 1.0E-12 1.80E-11
となる。ここでE-4は10のマイナス7乗を示す。
透過中の平均密度をその平均高さでの密度とし、これを上式を用いて各位置間の減衰を求めると、
ISS(国際宇宙ステーション)でのIをIoとすると
I(10㎞)≒Io
I(海水面)=I(10㎞)*3.57E-71
となり、ISS高度とジェット巡航高度では差は殆どない。
一方、海面レベルでのジェット巡航高度に対する比率は3.57E-71倍 となり、大きく減衰するのである。
大気圧は地表で1kg/cm2だから鉛の比重を10g/cm3とすると空気が鉛厚さで1m程度の遮へいと同等の効果となる。
これが8月25日の記事で書いた女性客室乗務員(CA)のがん発生率が一般人(海面レベルで殆どを過ごす女性)の3倍程度(下記サイト)になる理由だと考えられる。
https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/29940975/
しかし、瞬間被ばくはCAや頻回高空旅行客だけの問題でも、被ばく者だけの問題でもない。特に日本人は医療被ばくで瞬間被ばくを受ける機会が多い。
それもX線撮影が多い。CTやがん治療は瞬間ではなく、数分から数時間かけた被ばくだが、X線撮影だけは数μ秒の瞬間被ばくである。
もちろん、医療での被ばく量を低減する努力は行われているし、総線量に対する制限は満足している。
しかしそれは年間総線量に対する制限値である。瞬間被ばくはそれでは規制対象にならない単位時間当たりの被ばく線量である。 年間総線量制限は満足していながら、数マイクロ秒で被ばくする高線量率被ばくなのである。現在の国際放射線委員会(ICRP)勧告による法規制には線量率に対する規制条件はない。即ち、海外旅行者や頻回X線撮影を受ける人々に対する瞬時被ばくによるがん発生リスクの防護措置はなされていない。
一方、福島事故などの長時間被ばく(年間)被ばくに対する基準は厳しく存在している。これが放射線被ばく基準の矛盾した現状であり、21世紀を生きる我々、即ち航空機利用や医療被ばくで瞬間被ばくを受ける我々にとって、無益な規制を強いていていることになる。
なぜなら、福島事故のような年間数百mシーベルトレベルの被ばくには人類の歴史の中で免疫が出来ている。P53など数十のDNA修復遺伝子が知られている。
しかし、DNA修復は細胞内の化学反応であり、時間がかかる。瞬間的に大量に被ばくを受けると免疫機能が間に合わない。
原爆も上空での太陽フレア被ばくもX線撮影も20世紀になって初めて人類が経験する被ばく形態なので、免疫がないということである。
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