ある風邪感染の予防法2026年01月26日 07:26

 のどが突然いがらっぽくなり、風邪をひきそうになった時、いつも行う習慣である。

 それは、60℃程度の温水で鼻や口腔、顔全面を両手で何度も洗い、嗽を繰り返すことである。

 単純な嗽というよりも、顔及び鼻腔、口腔、手についたウイルスをできるだけ完全に温水で洗い流す。5分程度繰り返すと、なぜか、のどのいがらっぽさが消えてくる。

 この方法で、風邪やインフルエンザの感染を何度も防いできた。

 同僚が電車の向かいの席で咳を繰り返した時も、洗面所にいって、この方法でインフルエンザ感染に罹らずに済んだ。

 ちょっと手間だが、有効なようだ。

ある背中の痒みの解消法2026年01月26日 07:03

 汗をかいた後、背中を流したのだが寝ていて痒みが止まらない。
孫の手を使ってみたが痒みは収まらない。

 そこで、ポリエステルの下着を脱いで、面のパジャマのみにしてみた。

なぜか痒みは収まったのである。合成繊維は化学式が単純なせいか、静電気を通すようだ。これが痒み神経を刺激していたのだろう。

箱根の道が志賀高原より危険なワケ2026年01月24日 02:36

 箱根は標高1,438m(神山)で、雪も少ない。一方、志賀高原は標高2,307m(横手山)で豪雪地帯でもある。

 ところが、最近のニュースでも見るように箱根はたとえスタッドレスタイヤであっても車は良く滑り、事故を起こす。志賀高原もスリップ事故はあるのだが、あのニュースのようにどこまでも車が坂を滑り落ちていくという事態は少ない。

 なぜだろうか。それは志賀高原と異なり、箱根のほうが気温も地温(地面温度)も高いからである。志賀高原は温泉が少ない。箱根は温泉だらけである。このため地表温度は高めに推移する。日射もあり、気温も日中は零度以上になる。即ち、降った雪が日中は解けて、水の膜になり、明け方は日射がなく、気温、地表温度も零下になって氷の膜になる。即ち、氷の斜面の上に車が乗っかった状態になるので滑り落ちるのである。

 一方、志賀高原では常に地表温度は零下である。車の排気などで表面が零度以上になって、水になり、それが夜間に氷になることはあるが、その下は雪が残っているので舗装面全体が氷に覆われるような状況にはならない。雪と氷が混在した状態で舗装面を覆っている。雪というものは空気が混入しているので、断熱性が氷よりも高い。即ち、車が乗った状態でボイルシャルルの法則で雪面の圧力が上がり、一時的に接触面は水になる。雪が雪面に多少残っている方が地面との温度差ができるので、氷だけの場合より表面の温度が上がりやすく、水膜ができやすい。その水膜はスタッドレスのサイプ(タイヤ表面の排水用溝)が排除するので、その結果、雪とタイヤ表面が直接接触し、雪のほうが氷より摩擦係数は大きいのでスリップを防ぐのである。

 地熱のある箱根では雪が全て溶けて氷の板のみ舗装面に残っているので多少表面が溶けても、下は氷のままのため、スタッドレスタイヤでも摩擦は生じない。

 この差が箱根のほうが志賀高原より危険な路面になりやすい理由である。即ち、箱根では路面温度が零度を挟んで上下するので氷の単層が暑く生成され、スタッドレスが効かなくなる路面状態になりやすいということである。

原子炉による金の作り方2026年01月24日 01:45

 核融合炉による金の作り方については下記サイトに記載されている。
https://www.itmedia.co.jp/news/articles/2507/23/news084.html#utm_source=yahoo_v3&utm_medium=feed&utm_campaign=20260123&utm_term=072&utm_content=rel4-0

 これは錬金術といっても関係者にとっては核融合炉発生中性子の核変換反応であり、あまり現実味はない。

 しかし、現在実用化されている原子炉を使えば実際に水銀から金を生産することは可能である。即ち、水銀を容器に入れて原子炉内で中性子を照射すれば、(n,2n)反応という中性子を2個放出する核反応を利用して生成される水銀同位体が崩壊し、金の安定同位体が生成される。

(n,2n)反応は高速中性子でしか生じないので、高速炉というもんじゅタイプの原子炉を用いれば十分な生成率を得ることが可能である。このタイプの原子炉は、ロシアや中国では実用化されている。古くなった現在の原子炉を高速炉に置き換えるだけで電気だけでなく、大量の金やレアアース、レアメタルも同時に生産できるようになる。

 これらの核変換技術が今後の日本の経済安保上重要で緊急性の高い開発対象となる。原子炉は電気だけを生み出すわけではない。同時に中性子も大量に生じるのでその核変換利用による新元素生産のための技術開発が日本の生きる道であろう。

中性子を用いたインフラ健全性検査の改良案2026年01月13日 15:14

 今朝のNHKニュースで、理化学研究所(理研)などが開発した中性子を用いたインフラ健全性検査技術の開発について報道されていた。

 理研は得意の加速器技術を用いて、下水管などの構造物の劣化を中性子照射と中性子検出の組み合わせで、計測する技術を開発している。システムはRANSと呼ばれている。陽子加速器で発生させた中性子を構造物(下水管の場合はコンクリートなど)に照射し、その反射強度を測定する。中性子なので反射した中性子は後方散乱中性子と呼ばれている。中性子の原子核による散乱は、玉突きでのボールと似ていて360度方向のどの角度にも散乱可能である。入射した方向に戻る散乱が後方散乱と呼ばれている。これを測定することで、散乱体の厚さが推定できる。散乱中性子を中性子検出器で測定してその強度から下水管のコンクリートの厚みを測定したりできる。

 このような検査方法は放射線非破壊検査と呼ばれており、よく使用されている方法は、イリジウムなどの放射性物質から発生するガンマ線を検査対象の構造物に透過させてその透過率から構造物の残った厚さを測定することである。しかし、この方法では下水管の厚さを測るには下水管の下に検出器を置かなければならない。

 RANSでは中性子の反射強度を測るので中性子線源、中性子検出器共に下水管内に配置できることが売りになっている。

 問題は、陽子加速器である。近年小型化が進んだとはいえ、小型でも加速器の全長は5m程度ある。
https://www.riken.jp/press/2019/20191118_4/index.html?utm_source=chatgpt.com

 これは、BNCTという中性子を用いたがん治療装置と同様、中性子を発生させるために、陽子を当てるターゲットを、従来用いられてきたベリリウムからリチウムに変更することで、中性子発生率を向上させたことによる。

 しかし、5mでも日本の入り組んだ道路下の下水管内にこのシステムを潜り込ませたり移動させたりするのは困難だろう。

 そこで、別の中性子源を利用することを考えたらどうだろうか。
一般には軽水炉ではカリフォルニウム中性子源という自発的に核分裂をする中性子源が用いられているが、RANSチームもそれは検討したらしい。しかし、中性子線源強度が弱く、米国から大量に輸入する必要があるが陽子加速器並みに強くするには軽く数百億はかかるという。また、被ばくを避けるための遮へいや、RANSで用いるための線源のパルス化も難しいという欠点がある。

 ここで改良提案は以下のとおりである。

(1)アンチモン-ベリリウム中性子源を用いる。
(2)パルス化装置については、エネルギーが決まった単色中性子なので、不要となる。

(1)のアンチモン-ベリリウム中性子源とは、アンチモンの金属棒を原子炉で照射して、その棒をベリリウムの円筒容器の内部に挿入すると放射化したアンチモンからガンマ線がベリリウムと反応して中性子を発生する装置である。したがって、挿入しない限り中性子は発生しないので遮へいは容易である。ただ、照射したアンチモンは発熱するので適当な徐熱装置が必要だが、ブロワーで空気冷却すれば良い。アンチモン棒は長さが0.5m程度なので、都市空間での下水管への適用は容易だ。
(2)については、ガンマ線エネルギーが決まっているのでパルス化もエネルギー測定に必要なTOF装置も必要なく、十分な精度で散乱中性子を測定できる。

問題はアンチモンのガンマ線強度をいかに上げるかだが、これは実用レベル原子炉の中性子束を使えば十分可能であろう。

理研は原子炉を所有していないので、加速器のみで何とかしようとしているのかもしれないが、ALL JAPANでJAEAや電力などの協力も含めてRANSの高度化、実用化を図ってもらいたいものだ。

ChatGPTの手なづけ方2026年01月08日 10:41

 放射線物理関係の研究をしているため、中性子物理のための計算コードをよく使う。しかし、無料版のせいか、ChatGPTに質問しても十分な回答が得られないことが多かった。あまりに専門的すぎてそこまでマスターしていないのかもしれないと思っていた。

 しかし、Q&Aのやり方を変えたところ、かなり専門的なことも対応してくれるようになった。それはある核変換計算コードのデータ作成にかかわることである。

 その具体的なQ&Aの段取りは以下のとおりである。

(1)Q:私から「当該コードは理解しているか」と尋ねる。
(2)A:ChatGPTは当然のごとく「知っている」と応答する。
(3)Q:私から「そのコードの必要データの一部を変更追加したいと質問する。
(4)A:ChatGPTは有名な類似コードの同様データを用いた回答を表示する。(注)それは当該コードでは読み取れないデータ形式である。))
(5)Q:私から「その形式は使えない。添付のデータファイルを学習してくれ」と返答し、当該コードでのデータファイル例(但し、データの変更追加はされてないもの)を添付して送る。
(6)A:ChatGPTからは「先ほどの回答と私から送ったデータ形式は物理的には同じものだ」と言い訳をしてきた。
(7)Q:私からは「送ったデータ形式で回答してくれ」と改めてコメントした。
(8)A:数分待ったのち、ChatGPTから私が希望した通りの形式で必要な修正追加データが送られてきた。また、更に関連部分の詳細化したデータも作れるとの応答があった。

このように、ChatGPTとのやり取りの中で、ChatGPTがまだ学習していないと思われる関連情報を添付ファイルなどで送ってやると、これまで不可能だった又は適合していなかった回答を修正して、適切な作成できるようになる。

 これは新発見だった。これまでは単純にChatGPTに詳細データ作成を依頼していたが、途中で有料バージョンに誘導されるか時間切れになって1日待ってから次の質問をするよう応答されることが多かったが、こちらからできるだけ関連情報を送ったうえでQする方が早く結果が得られるようです。

放射線に関わる宇宙と人類の歴史2026年01月08日 05:22

https://drive.google.com/file/d/1Ehn02gQ8vx_-s_vMdlkOvIFtxkHeE4Ke/view?usp=sharing

このファイルのChatGPTによる要約

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1011放射線に関わる宇宙の歴史と人類の歴史r3r1.pdf
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ChatGPT:

この資料(「放射線に関わる宇宙の歴史と人類の歴史」2023.9.14)は、放射線を宇宙史・地球史・生物進化・近代史の流れの中で位置づけ、現行の放射線防護基準(ICRP)への問題提起と新基準案を示すことを目的とした講演資料です。要点を整理して要約します。
全体の主旨

放射線は本来、宇宙と地球の誕生以来存在してきた自然現象であり、生物はその中で進化してきた。

20世紀の**原爆による「瞬時・高線量率被ばく」**を基に作られた基準を、慢性・低線量率被ばくにも一律適用している点に問題がある。

「がん治療では高線量を許容するのに、低線量環境被ばくを過度に恐れる」というがんパラドックスが生じている。

時間線量率と総線量を同時に考慮した新しい放射線防護基準が必要だと提案している。

1. 地球になぜ放射線があるのか

地球の放射線の起源は

ビッグバン

超新星爆発

中性子星合体
などの宇宙現象に由来。

地球は超新星由来の重元素(ウラン・トリウムなど)から形成され、
地殻・マントル中の放射性元素の崩壊が現在も続いている。

地熱の約95%は放射性崩壊由来。

約20億年前には、ガボンのオクロ天然原子炉が実際に稼働していた。

世界には自然放射線量が高い地域(ケララ、ラムサールなど)が存在。

2. 生物はなぜ放射線の中で生存できたのか

放射線は水を分解し活性酸素を生む → DNA損傷の原因。

しかし生物は進化の過程で

DNA修復機構

がん抑制遺伝子(p53など)
を獲得。

重要な点:

修復は時間を要する化学反応。

瞬間的な高線量被ばく(原爆)には対応できないが、
低線量・低線量率の慢性被ばくには対応可能。

多数のがん抑制遺伝子の具体例が提示されている。

3. 20世紀になって人類の被ばくが変わった

原爆(広島・長崎)は

ミリ秒以下

数千ミリシーベルト
という極端な高線量率被ばく。

放射線影響研究所(RERF)のデータは、**軍事目的(兵士・民間人の被害評価)**として整備された。

そのデータが、後に

原子力施設

医療

福島事故対応
などの平和利用の基準に流用された。

ICRP設立の歴史的背景(米国資金、Atoms for Peace)にも言及。

4. がんパラドックスと問題提起

現実には:

放射線治療:数十Gy(=数万mSv相当)

一般被ばく規制:1mSv以上でリスクあり

同じ放射線なのに、扱いが矛盾している。

問題の核心:

瞬時被ばく基準を慢性被ばくに適用していること

時間線量率を考慮していないこと

太陽フレア問題

大気は通常、宇宙線・X線を遮蔽。

しかし:

航空機搭乗中

宇宙飛行
では遮蔽が弱く、太陽フレアの硬X線を直接被ばく。

太陽フレアの「インパルシブ相」は

予測不能

原爆ガンマ線と類似した被ばく形態。

CA(客室乗務員)の乳がんリスク増加報告に言及。

結論・提案

現行ICRP基準は
核戦争を想定した瞬時被ばく基準に強く依存。

福島のような慢性・低線量率被ばくに単純適用するのは不適切。

日本には放射線治療という長時間・高線量被ばくの豊富な医療データがある。

提案:

総線量 × 時間線量率を同時に考慮する新基準

活性酸素生成量と生体修復能力のバランスを基準化

太陽フレア頻発期(2025年前後)の航空被ばく対策にも有効。

一言まとめ

「放射線は本来、生命と共存してきた。問題は線量そのものではなく、“どれだけの速さで浴びたか”である」
という立場から、現行の放射線防護基準の再考を強く主張する資料です。

必要であれば

科学的主張と一般的コンセンサスとの差

ICRP批判の妥当性

LSS(被爆者データ)との関係整理
なども詳しく解説できます。


ChatGPT の回答は必ずしも正しいとは限りません。重要な情報は確認するようにしてください。cookie の設定を参照してください。

小説国宝で読み解く長崎原爆被爆データの特異性2026年01月01日 21:20

 話題の映画「国宝」の原作、吉田修一著「国宝」朝日文庫のP.50 に主人公喜久雄の恋人春江とその母親との3人の会話が描かれている。喜久雄が母親に対し、「3人でスパスパ吸えば(タバコは)直ぐなくなるさ。」といっている。昭和40年ごろの長崎の花街での会話である。

 被ばく者データで疑問に思っていたのは女性の喫煙率の高さである。喫煙はがん発生の主要因のため、喫煙効果と被ばく効果が混在する被ばく者発がんデータでは喫煙履歴を詳細に調べ、非喫煙者の発がんデータとの比較から放射線被ばくの影響を分離するのだが、喫煙者割合が多ければ、同じ発がん率であっても放射線影響が大きいと分析されることになる。

 放射線影響協会の公表した被ばく者関連データLSS-14の中に両都市の女性被ばく者の喫煙分類データが含まれている。その値を集計すると
(1)人数
         喫煙状況不明者 非喫煙者 過去喫煙者 現在喫煙者
長崎女性   8615人      6048人   5331人   9954人
広島女性   11661人     7585人  12588人   51787人

(2)人数割合(%)
         喫煙状況不明者 非喫煙者 過去喫煙者 現在喫煙者
長崎女性   28.8%      20.2%   17.8%   33.2%
広島女性   22.5%      14.7%   24.3%   38.5%

となっている。

 即ち、長崎女性調査者のうち、喫煙経験者は約51%であるが
広島女性は約63%であり、10%以上大きい。

 そこで、小説「「国宝」の背景の話となるのだが、もともと長崎は工場が多く、花街も大規模だったので、女性喫煙者割合が多いのが自然だと思われる。この小説の喜久雄や春江などの会話の描写は納得できる。戦前は進歩的な女性ほど喫煙していたようなので、長崎のほうが一般的な都市よりも喫煙者比率が多いと思われる。

ではなぜ、長崎女性で喫煙データが不正確になったのか。

 それは、長崎の若年層の多さだと考えられる。未成年者が法律に違反しているという喫煙申告をするものだろうか。それも女性である。「国宝」の菊枝のように未成年者でも喫煙するものは実際には当時多かったが、その通り申告することは勇気がいる。上記の表で喫煙状況不明者が長崎のほうが約6%多いのは未成年者が多かったということの傍証でもある。

 同じRERFのデータを用いて、20歳未満の女性比率を比較すると

       20歳未満/全調査対象女性
長崎女性:15473人/29948人(51.7%)
広島女性:22459人/51787人(43.4%)
 
となり、長崎女性が約10%未成年者割合が大きい。

 喫煙者比率が、実際には、長崎の女性が多いのに、上記のような理由で広島より小さめになるようにLSS-14データができていたとすれば、がん発生に対する被ばくの寄与が大きくなり、詳細な統計解析の結果、広島女性に比べ、長崎女性のほうが被ばくによる発がんリスクが大きくでることになる。(下記参考記事1参照)

 更に、長崎と広島の原爆のガンマ線スペクトル特性差から女性特有の乳がん発症率の差も加わるのである。(下記参考記事2参照)

 その結果、ほとんど被ばくしていない女性も発がんリスクが大きくなり、放射線に対する発がんリスクの閾値が現れないという結果になったと考えられる。これが各国政府が採用している国際放射線防護委員会ICRPのベースデータになっているが、福島の事故被害者が有害無益な避難を強いられているとすれば、大きな問題だろう。

(参考記事1)
本ブログ2024年8月7日、8月8日、10月18日、12月6日、2025年6月5日記事
(参考記事2)
本ブログ2025年12月16日記事

原潜とは何か2025年12月28日 05:24

 政府が原潜について必要性を検討するらしい。

 ある先生が、原子力潜水艦は原子力の利用で最も成功した例だと言っていたが、深宇宙を旅する原子力ロケットもそうだろう。いずれも太陽光の届かない、酸素もない環境で、要求にこたえるだけの長時間のエネルギー供給を行える唯一の物理的装置である。

 宇宙探査が平和目的なら原子力ロケットは、太陽の膨張に地球が飲み込まれた後、人類の生存のための唯一の手段となる可能性があると思う。

 一方、原子力潜水艦には、そのような可能性を期待できるだろうか。

 嘗て、米国の原潜ノーチラス号が北極海を浮上することなしに横断することに成功したニュースを聞いたとき、米国民は沸き立った。ソ連にスプートニクショックで後れを取った宇宙開発に対し、海洋の軍事利用では大きくリードしたと感じたからだろう。

 ICBMの分野でソ連が優位であっても、原潜があればソ連の近海からモスクワやペテロスブルグを狙うことが可能だからである。しかもそれはソ連に感知されない深海に潜むこともできる。本土が焦土と化しても敵国主要都市に原爆を落とすことも可能だ。

 原潜は原子炉を駆動源とする潜水艦である。原子炉では他のエネルギー源と異なり、酸素を必要としない。太陽も風も必要としない。スクリューを回すことも電気を起こすことも可能である。必要ならその電気で海水を電気分解し酸素を製造することも可能である。しかも数十年の長期航海も十分可能だ。

 このような潜水艦を持てたら国防上有利だと一部政治家が発想することは理解はできる。理解はできるがそれがいい手段かどうかは別問題だ。

 技術というものは国境を越えて広がるものである。どんな技術も金と時間と情報能力があればどこにもでも拡散していく。したがって、日本が原潜を持ったとしても仮想敵国はそれ以上の原潜と対潜水艦能力を持つことも可能なのである。

 このようなチキンレースをやっても軍事費が膨大になるだけで、電気料金やエネルギー価格が下がるわけではない。国際競争力が上がるわけでもない。国民経済は疲弊する一方、一部政治家の安心感の自己満足だけが残る。核保有と同じ構造である。北朝鮮の例を見れば理解できるだろう。あるいは、北と同様、その原潜との引き換えに、同盟国のために国民の命を差し出すのだろうか。そんなことにならないように歴代政権はうまくやってきたのだが。

核を保有したら貧困国になるワケ2025年12月21日 06:24

2025年08月02日の本ブログ記事「核保有で軍事費を安くできるという幻想」でも記載したが、某首相補佐官は核保有の困難さと不利益について理解ができていない。それは一部マスコミと国民も同じだろう。

整理すれば核兵器開発には以下の課題があり、これを行えば日本は北朝鮮やパキスタン以下の貧乏国になり果てるということである。

(1)日本には核兵器に使えるプルトニウムはない。
(2)核兵器を運搬できる手段もない。
(3)核兵器の小型化技術もない。
(4)他国から小型化技術を入手する方法もない。

独自にこれらの課題を解決しようとすれば長期かつ膨大な予算が必要になり、諜報能力のない日本国は北朝鮮以上の貧困国になる。核兵器を保有しても経済的な利益はゼロに等しいうえ、その維持には膨大な軍事費が必要になる。以下、上記の課題の詳細を示す。

(1)プルトニウム問題
 一部国民には日本がプルトニウムを保有しているので原爆は簡単に作れるとの誤解がある。ところが実際には日本の保有しているプルトニウムは原爆にはなりえない組成のものである。これは軽水炉で生成されるプルトニウムの同位体の中のプルトニウム-240が自発核分裂をすることに起因する。プルトニウム原爆が爆発するにはプルトニウム-240比率をプルトニウム全体の3%以下にする必要がある。(米DOEの核兵器プルトニウム組成基準)
 原爆は超臨界(実効増倍率が2以上)になった後に中性子を投入することで爆発するのであるが、自発核分裂により発生する中性子が超臨界になる前に自然に発生するため、核分裂による熱膨張のためすぐに未臨界になり爆発できないのである。
 しかし、軽水炉で生成されるプルトニウム-240比率は20%以上であり、核兵器用のプルトニウムを生産するには新たな原子炉を建設し、長期間運転する必要がある。米国ワシントン州には発電しないプルトニウム生産専用の原子炉が6基ほどあるが、これを日本が国家予算で開発しようとすれば十兆円以上の費用を超える。
 広島型の濃縮ウラン原爆はどうかと言えば、ウラン-235を93%以上に濃縮する必要があり、軽水炉ウラン(ウラン-235約5%以下)より20倍以上の大きい濃縮プラントが必要になるため、米国でもこの開発はあきらめ、長崎型のプルトニウム原爆に絞っているのである。

(2)運搬手段問題
 運搬手段は核兵器の実用化に欠かせない。自国においてあるだけではかえって自分自身が危ない。暴発の危険があるためである。現在、実用化されている運搬手段はICBMと原潜である。これらはいずれも日本は保有していない。大型輸送機はあるが、他国からのロケット攻撃で国内で落下する可能性のほうが大きい。ではICBMの開発にどの程度の費用が掛かるのか、H-8型ロケットで苦労しているJAXAに聞いても答えられないのではないだろうか。北朝鮮のような貧困国になる覚悟が必要だろう。原潜も米国が核兵器つきで日本に渡すとは考えられない。

(3)小型化技術問題
 仮にICBMや原潜が開発できたとしても原爆を小型化できなければ乗せることはできない。現在、米国やロシアの原爆はテラー型という小型水爆とプルトニウム原爆を組み合わせた精密な中性子制御技術を用いて小型化を図っているが、その詳細は機微技術そのものである。自主開発にはテラー並みの天才と高度なIT技術が必要である。現在の日本にはそのような人材も技術も見当たらない。国立大学の予算を削らざるを得ない日本政府にその能力を期待することは幻想だろう。

(4)他国からの導入
 北朝鮮はその諜報能力の高さでこの技術を何処かから入手したと思われるが、日本の諜報能力では世界最低レベルである。
 現在の日本に核技術を提供してくれる国がどこかにあるだろうか。同盟国であったとしても、核兵器を安全に維持することに手間と技術と費用が掛かることは常識である。
 そんな費用があるのならそれを我々核保有国に提供してくれと日本に要求するはずだ。

 核保有の能力も余力もない日本が核保有と言い出すことは、北朝鮮のような国が一つ増えるだけであり、非現実的でどこの国にとっても利益にならないことである。